フラワーロスって何?美しいまま捨てられる花を減らすためのアイデア

フラワーロスって何?美しいまま捨てられる花を減らすためのアイデア

誕生日や結婚式、送別会などの節目や、クリスマスやバレンタイン、ホワイトデーなどのイベントに欠かせないお花。行事以外でも、生活に彩りを与えたいときに、花屋さんでお花を買った経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、お花の廃棄=フラワーロスが業界では課題なのだそう。フラワーロスの解決を目指している企業の取り組みを知り、私たちにできることを考えてみましょう。

フラワーロスの現状

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、結婚式をはじめ多くのイベントが中止になりました。イベント需要で成り立ってきた花き業界は大きな打撃を受け、行き先を失った花が廃棄される「フラワーロス」が問題視されるようになりました。農林水産省の発表によると、2020年3月から5月の取扱量は過去3年の平均と比較して約3,300万本以上減少、取扱金額は41億円の減少となりました。

しかし、実はフラワーロスは以前から問題視されていました。生産農家が出荷する段階で規格外と判断された花は廃棄されてしまいます。また、小売店では仕入れた量の約30%が売れ残り、廃棄される現状があったそうです。こうした慢性的なフラワーロスの発生には、花き業界の構造が関係しています。

生産された花は、農協や市場で価格が決まり、卸売業者、仲卸業者を経て小売業者が仕入れて消費者に販売されます。基本的に、生産された花は作っただけ買い取られる仕組みなので、売れ残った場合は廃棄されてしまうのです。

*参考:農林水産省一社日本花き卸売市場協会

フラワーロスの問題点

見た目には問題がないのに、農家や小売店で規格外や売れ残りを理由に毎日のようにお花が廃棄されることを想像すると、もったいない気持ちになりますよね。ただもったいないだけでなく、フラワーロスによる問題点を考えてみましょう。

  • 生産、流通にかかるコストのロス
    花は生産されてから店頭に並ぶまで、長い流通過程を経て運ばれてきます。しかし、フラワーロスにより、その過程で発生するコストが無駄になってしまいます。そのコストは結果的に花の売価に上乗せされるため、消費者が買い求めにくくなり、結果的に売れないという悪循環を生む可能性があります。
  • 配送にかかる燃料のロス
    生産者から店頭に並ぶまで、市場、卸売業者と数段階のステップを経て運ばれてくる中で、燃料を消費しています。フラワーロスにより、必要以上に燃料を消費することは、CO2の発生にもつながり、環境面で問題があると言えます。

企業によるフラワーロス削減の取り組み

こうした慢性的な花卉業界のフラワーロスを削減するために、多くの企業が取り組みを始めています。

  • FORESTY
    廃棄される予定だった花を定期便としてサブスクリプションで自宅に届けるサービス。5つのプランから選ぶことができます。定期便の売上の一部は、植林を進めるNPOを通じて寄付されます。廃棄予定の花を購入することが植林にもつながり、社会問題の解決に取り組める一石二鳥のサービスです。
  • ソーシャライジング フラワーマーケット
    等身大の社会貢献をテーマとした商業施設TRUNKでは、館内で行われる結婚式やイベント装飾で使用した、通常であれば廃棄されてしまう装花をブーケにして販売するイベントを毎週月曜日に実施(開催は不定期)。好きなお花を選ぶと花束にしてもらえて、価格もリーズナブルです。
  • RIN
    廃棄予定の花を「ロスフラワー」と名付け、「世界の花業界に新しい風を」をビジョンに、イベント装飾やスクール事業、オンラインショップを展開。UNIQLO TOKYOや六本木ヒルズなど、商業施設やホテルの装飾を手がけています。廃棄される運命だった花に新しい命を吹き込み、持続可能な花き市場を目指しています。
  • CAVIN
    「花業界をアップデートする」を掲げ、花卉業界の既存の流通システムをITを使い直接取引を実現したサービス。スマートフォンで生産者から直接花を購入することができるので、鮮度が高い状態の花が届き、フラワーロスの削減につながります。

私たちが出来ること

フラワーロスの削減に向けて、企業の取り組みも加速しています。紹介したサービスを利用したり、花のギフトを通して周りの人に伝えることも貢献の形です。

また、生花をいただいたり購入した際にも、できるだけ長持ちさせたいですよね。そこで、花を長持ちさせる方法を紹介します。

  • ラッピングを外して水切りをする
    ラッピングされている場合は丁寧に外して、茎の先を水に浸した状態で茎を切る「水切り」をしましょう。茎は斜めに切り、水を吸い上げる面が多くなるようにします。
  • 余分なつぼみ、枝葉はカットする
    花瓶に移した際に、水に使ってしまう枝葉をカットしましょう。葉が水に浸かってしまうと水の腐敗につながり、花を長持ちさせることができません。
  • 毎日水を替える
    花を長持ちさせるためには、毎日水を替えることが大切です。茎の先も少しずつカットすると、しっかり水を吸い上げることができます。
  • 風通しが良く直射日光が当たらない場所に飾る
    明るく、室温が高くなりすぎない場所を選びましょう。急激な温度変化や強い風にさらされると、花はダメージを受けてしまいます。

しっかり手入れをすれば、長くお花を楽しむことができます。しかし、花には寿命がやってきてしまうもの。生花としての役割を終えた花も活かすためには、枯れてしまう前にドライフラワーにするという方法もあります。スワッグやリースにしてお家のインテリアに飾ったり、プレゼントしても良いですね。

*参考:青山花茂

美しいまま捨てられる花を減らすために

ハレの日を飾る花ですが、見た目には問題がなくても、規格外や売れ残りのために花が捨てられているフラワーロスの現状。今回紹介したサービスを活用したり、日頃の生活にお花を取り入れてみたりと、自分にできる形でフラワーロス削減に貢献してみませんか?

くらだしマガジン編集部

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