食品ロス関連の2つの法律をわかりやすく解説。世界の例や罰則も紹介

食品ロス関連の2つの法律をわかりやすく解説。世界の例や罰則も紹介

食品の売れ残りや食べ残しなどにより、世界では食べられるはずの食品が日々大量に廃棄されています。食料が足りず栄養不足に陥る人々もいるなかで、食品ロスは世界的に重要な課題といえます。

こうした課題に取り組むために日本で作られた2つの法律が、食品ロス削減推進法食品リサイクル法です。この記事では、これら2つの法律について詳しく解説するとともに、世界の食品ロス削減に関する法律や取り組みも紹介します。また、食品ロスの削減に個人で貢献できる方法も取り上げているので、ぜひ参考にしてください。

日本の食品ロスに関する法律

野菜たち

食品ロスとは、本来食べられるのに廃棄される食品のことです。具体的には、形が崩れて規格外となってしまった生鮮食品や賞味期限が切れた加工食品、家庭・飲食店での食べ残しなどが当てはまります。

こうした食品ロスは経済の発展とともに年々増加し、日本でも年間およそ522万tもの食品ロスが発生しているのが現状です。このうち約半数を占める247万tは家庭から発生しており、毎日一人あたりお茶碗1杯分の重さの食料を廃棄している計算になります。

そして、これは世界全体が貧しい国や人々に援助している食料の約2倍の量に相当します。また、一般廃棄物処理費用は年間2兆円にのぼり、高い環境負荷に加えて経済面でも非合理的です。

このような食品ロスを削減するために、日本では食品ロス削減推進法と食品リサイクル法の2つの法律が制定されています。ここからはそれぞれの法律を解説します。

食品ロス削減推進法(食品ロスの削減の推進に関する法律)

まずは、食品ロス削減推進法(食品ロスの削減の推進に関する法律)について見てみましょう。概要とあわせて主な取り組みも紹介します。

食品ロス削減推進法の概要

食品ロス削減推進法は、食品ロスに関して国や地方公共団体の責任を明らかにし社会全体として食品ロスの削減を総合的に推進することを目的に定められた法律です。

日本では多くの食料の調達を輸入に依存しているにもかかわらず、まだ食べることのできる食料品を大量に廃棄しています。世界には日々栄養不足に苦しむ人々が多数存在するなかで、このような食品ロスの問題は早急に解決しなければなりません。

こうした食品ロスの削減を実現するため、食品ロス削減推進法では2つの基本的な視点を明記しています。ひとつは国民一人ひとりが食品ロスに関する意識をもち、主体的にロスを削減するための取り組みを行うこと、もうひとつはまだ食べられる食品はできるだけ廃棄せず、食料として活用することです。

食品ロス削減推進法の主な取り組み

食品ロス削減推進法では、地方公共団体と連携し、消費者や事業者に対して食品ロス削減に関する知識の普及や啓発などを行うことを明示しています。

例えば消費者に対する、食品ロスの啓発を目的としたリーフレットの作成・配布が主な活動のひとつです。また、消費者庁ウェブサイトでの食品ロス削減レシピの情報の発信や、混同しやすい消費期限と賞味期限の違いに対する正しい理解の促進なども行っています。

地方公共団体や事業者が連携して、食品ロス削減に取り組むケースも少なくありません。持ち帰りや少量メニューの提供など、食べ残し削減を推進する飲食店の登録や認定、地域学習会の開催、フードバンクなどの民間団体の活動支援など、多方面で食品ロス削減を啓発するための活動が行われています。

食品リサイクル法(食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律)

サンドウィッチ

続いて食品リサイクル法を解説します。食品ロスを削減するためには、廃棄の発生を抑えることはもちろん、すでに発生してしまったものを再生利用することも重要です。本項ではその具体的な内容を見ていきましょう。

食品リサイクル法の概要

食品リサイクル法は、食品の売れ残りや食べ残しなどで発生する食品廃棄物に関して、最終処分量の減少や再生利用の基本方針を定めた法律です。

食品リサイクル法の基本的枠組みである循環型社会形成推進基本法では、食品を含めた循環資源に関する取り組みについて、優先順位を定めています。

なかでも最も優先度が高い項目に定められているのは発生抑制であり、食品廃棄物の削減は循環型社会の形成を推進するうえでの最重要課題といえるでしょう。

そのため、食品リサイクル法では食品ロスの削減は当然ながら、抑制を行ったうえで発生してしまった食品廃棄物のリサイクルを推進しています。令和元年7月には具体的目標として、事業系食品ロスを2030年度までに2000年度比で半減させることが基本方針に盛り込まれました。

食品リサイクル法の責務や罰則

食品リサイクル法において食品関連事業者は、再生利用等の実施の原則や目標などの基準事項にしたがって、食品循環資源の再生利用等に取り組まなければなりません

食品循環資源とは、食品廃棄物のうち飼料や肥料などの原材料となるもののことです。また、再生利用等とは食品循環資源を飼料や肥料、燃料、油脂などに利用するリサイクルに加え、食品廃棄物の発生抑制や熱回収、減量のことを指します。

食品廃棄物を大量に発生させる食品関連事業者は、毎年度食品廃棄物の発生量や再生利用等の取り組み状況を主務大臣に報告しなければなりません。また、基準に照らして不十分だった場合には、勧告や公表、命令などを受けることがあります。

さらに、こうした再生利用を促進するための措置として、食品循環資源の肥飼料化等を行う事業者の登録制度や、食品関連事業者が再生利用事業計画を作成し、認定を受ける仕組みも設けています。

海外の食品ロス関連の法律

ここまでは、日本における食品ロス関連の2つの法律を説明しました。ここからは、海外各国の食品ロスに関する法律の一部を紹介します。ぜひ日本の法律と比べてみてください。

イタリアの食品ロスに関する法律

イタリアには、2016年8月に成立した食品廃棄規制法という法律があります。主に余った食料を回収し、消費者の食習慣に対する意識を高め、恵まれない人々への寄付を通じて食品廃棄物を削減することが目的です。

食品廃棄規制法では、円滑な寄付を実現するために手続きを簡素化して寄付者の負担を減らすことや、当局が回収した食品を非営利組織に寄付する選択があること、また貧しい人々に食料を分配するための国家基金の拡充などが示されています。

食品廃棄規制法の施行によりイタリアでは4年間で食料の寄付が約21%増加し、一人あたりの食品廃棄物の量を95kgから65㎏まで削減することに成功しました。しかし、家庭における廃棄の削減はなお重要な課題として残っています。

フランスの食品ロスに関する法律

食品ロス削減に関する法律として、フランスにも食品廃棄規制法が存在します。こちらは主に大型スーパーを対象に賞味期限切れなどの理由による食品廃棄を禁止し、慈善団体への寄付や再利用を義務づける法律です。

フランスの食品廃棄規制法では、売れ残った食品などを路上生活者が食べられないように破壊する行為を禁止しており、違反した場合には罰金・公表といった罰則が課せられます。

また、食品廃棄を削減する取り組みの優先順位や、小売店と認定団体間での協定の締結、食に関する教育の必要性、企業の社会的責任なども明記しています。

この法律に基づきフードバンクの活動や、レストランが廃棄予定の料理を通常より低価格で提供する仲介アプリの導入など、食品ロスを削減する取り組みが盛んに行われるようになりました。

アメリカの食品ロスに関する法律

アメリカでの食品ロスに関する法律や取り組みは、州ごとに異なります。例えば、カリフォルニア州には州全域の温室効果ガスと食品ロスを削減することを目標とした、SB1383という州法があります。

この法律では生産した食品のうち75%の食品については廃棄を禁止しており、州民と事業者は余った食品を堆肥や飼料などの効果的な使用や、一定量の食品は寄付をしなければなりません

そのほか、2025年1月1日までに生ごみの廃棄量を2014年比で75%まで削減することや、2025年までにまだ食べられる食品のロスを20%以上削減することなども目標として定められています。

また適切な処理を行うために、ごみの分別方法といった情報を提供することも重要な取り組みのひとつです。

食品ロス削減のためにできること

たまねぎ

食品ロスを削減するための法律は世界各国に存在しますが、重要なことは各家庭や個人が食品ロスに対して意識をもち、削減に取り組むことです。

個人でできる取り組みにも、さまざまなものがあります。例えば、スーパーで買い物をする際はあらかじめ買うものをリストアップしておき、必要なものだけ購入するようにしましょう。余計なものを買わないようにすれば、食材を無駄にすることも減ります。

また、すぐに使う食材や品質に問題がない食品は、手前から取ることを心がけましょう。買った食材を自宅に持ち帰った後は食材が傷まないように適切な方法で保存し、調理時には皮のむきすぎに注意する、食材の使う順番に気を付けるといったことを意識すると良いでしょう。

このほかにも、廃棄予定の食材を安く購入できたり、余った食料品を寄付できたりするソーシャルグッドサービスの利用もおすすめです。まずは無理のない範囲で、気軽にできることから始めてみましょう。

家庭から食品ロス削減に取り組むには

食品ロスの削減に関して、日本には食品ロス削減推進法と食品リサイクル法があります。また、海外でも食品ロスの削減に関する法律は整備されており、イタリア・フランスの食品廃棄規制法、アメリカのカリフォルニア州のSB1383という州法でも、余った食品の廃棄の禁止や寄付が義務づけられています。

法律により食品ロスの削減を目指すことは当然大切ですが、それ以上に重要なのは一人ひとりが食品ロス削減に対して意識をもち、少しでも行動につなげることです。そこでおすすめなのが、Kuradashiのサービスです。

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くらだしマガジン編集部

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