2024年12月、クラダシ主催の「フードロス削減アワード2024」が開催されました。本アワードは、フードロス削減において特に優れた取り組みを行っている企業を表彰するプロジェクトです。
当日は、受賞企業やノミネート企業の皆さまにご参加いただき、セレモニーだけでなく、企業同士のネットワーキングの場としても大いに盛り上がりました。
今回のアワードでは、想定を上回る数の推薦が寄せられ、フードロス削減に対する企業の熱意と行動力の高さが改めて浮き彫りになりました。クラダシでは、こうした素晴らしい取り組みに光をあて、より多くの方々に知っていただくことが、フードロス削減の“ハブ”としての役割を果たす第一歩になると考えています。
本記事では、アワードを通じて出会った、フードロス削減に貢献するさまざまな企業やその取り組みをご紹介していきます。
▼ご紹介企業
- アサヒ飲料株式会社
- 株式会社根津
- 株式会社栄屋製パン
- 日清食品チルド株式会社
- 株式会社ニチレイフーズ
- 日本丸天醤油株式会社
- 株式会社やまやま
- 株式会社Agriture
アサヒ飲料株式会社
富士山工場で進化する十六茶の茶粕リサイクル
アサヒグループは、茶粕をはじめとする抽出残渣のリサイクルに取り組み、持続可能な循環型経済の実現を目指しています。2050年に向けた環境ビジョン「ニュートラル&プラス」に掲げるように、茶粕は産業廃棄物として捨てられることが多いですが、これを肥料や培養土として再利用することで、価値を向上させています。アサヒグループは、全社を挙げてこの取り組みを強化し、再資源化100%の実現を目指しています。
新たな環境価値を創造する
「アサヒ飲料が目指す持続可能なサイクル」
アサヒグループは、茶粕から培養土や肥料を作り、その肥料を再び十六茶の原料を育てるために活用する持続可能なサイクルの創出を目指しています。この循環型システムにより、環境負荷を削減し、地域社会に貢献することができます。また、商品を通じて人々をつなげ、コミュニティを築き、楽しい生活文化を創出することも重要なビジョンです。今後は、培養土としての普及や抽出残渣の研究を進め、再資源化を一層促進し、皆さまに愛される商品開発と環境保全の両立を目指していきます。
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株式会社根津
老舗八百屋のアップサイクルスイーツ
~地元産の素材で生まれ変わるおいしさ~
株式会社根津は、70年以上の歴史を持つ青果専門の卸問屋として、青果の卸売りや飲食店の運営を行う一方で、持続可能な社会を目指すアップサイクルスイーツ事業に取り組んでいます。地域の農産物を有効活用し、廃棄されるはずだった食材を再利用することで、価値ある商品として生まれ変わらせています。その代表的な製品である「純生スイートポテトパイ」や人気No.1の「アップルパイ」は、地域経済にも貢献しながら食品ロスの削減にもつながっています。
株式会社根津のサステナブルな挑戦
株式会社根津は、運営するパイ専門店カフェ「Adam's awesomePIE」がある立川の街をより活気づけるため、地元企業や環境団体と連携しながらサステナブルな取り組みを推進しています。今後も、アップサイクルスイーツの販売を通じて、単に商品を提供するだけでなく、その背景にある価値やストーリーをしっかりと伝えていきたいと考えております。また、短期的な成果にとらわれるのではなく、食品ロス削減や地域とのつながりを意識しながら、新たな食の可能性を発信しつづけます。
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株式会社栄屋製パン
パンの耳から生まれるクラフトビール
「Better life with upcycle」
栄屋製パン株式会社は、製造時に発生するパンの耳を活用し、食品ロス削減と新たな価値創出を目指す「Better life with upcycle」事業を展開。自社ブルワリーを設立し、パンの耳を10~60%使用したクラフトビールを発売しています。サステナブルな背景への共感だけでなく、何よりも追及するのは「おいしさ」です。理念にとどまらず、「おいしいから選ばれるビール」として、環境にやさしく味わいも楽しめるクラフトビール文化を創造しています。
サステナブルなサイクルで魅せるパン×ビールの未来
栄屋製パンは、EC販売の拡充に加え、ビアフェスやパンフェスなどのリアルな体験の場を増やし、サステナブルな想いとともに「おいしさ」を直接お届けしています。また、「パン飲み」市場をさらに盛り上げるため、自社蒸留酒の製造も検討中です。さらに、ビール醸造で生まれる麦芽粕をパンに再活用し、そこから再びビールを生み出す循環型の仕組みを構築しています。「パン×ビール」を通じて、これからの持続可能な食文化を皆さまとともに創造してまいります。取り組みの背景を知ることで、皆さまには企業やサービスを好きになって、よりサステナブルな未来に想いを馳せていただきたいと考えています。
日清食品チルド株式会社
おいしいeco麺プロジェクト ——地球にやさしい商品づくりへの挑戦
「おいしいeco麺プロジェクト」では、日清食品グループが2020年4月に策定したグループ環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」を進める中、食品ロス削減、エコ包装、エコ調理の3つをテーマに、環境に配慮した商品づくりに取り組んでいます。賞味期限を20日から60日※に延長したことで廃棄削減に貢献しているほか、プラスチックトレー使用量を2023年度に43%削減(2019年度比)させるなど、環境への負荷を軽減しています。
今後も3つのテーマに沿った研究開発を続けることで、環境への取り組みを強化していきたいと考えています。
※行列のできる店のラーメン、有名店シリーズ、冷たいラーメンシリーズ
おいしさと環境配慮を両立した未来志向の取り組み
日清食品チルドは、「おいしいeco麺プロジェクト」を通じて、チルド麺が持つ、本格的なおいしさに加えて、環境に配慮した地球にやさしい商品づくりや取り組みを進めています。お客さまからは「こんなに賞味期限が長くて驚いた」「賞味期限切れによる廃棄が削減できて嬉しい」といった声が届き、環境に配慮しながらもおいしい商品が選ばれる理由となっています。今後も、おいしさを追求しながら、エコな商品開発に注力していきます。また、取り組み自体を広く発信し、ステークホルダーと共に持続可能な未来を支えていくことを目指します。
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株式会社ニチレイフーズ
「焼おにぎり」から生まれた!
ニチレイフーズが挑むアップサイクル除菌ウエットティッシュ開発
ニチレイフーズは、「焼おにぎり10個入」の製造過程で発生する規格外品を活用し、斬新なアップサイクル商品「焼おにぎり除菌ウエットティッシュ」を開発しました。外部との協業により、規格外ごはんを発酵・蒸留して生成したエタノールを除菌成分として活用。さらに、エタノール抽出後の残りも、鶏の餌へと循環。パッケージには「焼おにぎり」デザインを採用し、ロフトでの販売開始と同時にSNSやメディアで大きな話題を呼びました。この取り組みは、社内風土改革「ハミダス活動」の「捨てるのではなく新たな価値を生み出したい」という想いから生まれ、食品の新たな可能性を示す革新的な事例として、フードロス削減とサステナブルな社会の実現に貢献しています。
遊び心とサステナビリティで切り開く新たな価値
「ニチレイフーズのアップサイクル革命」
ニチレイフーズは、製造過程で生じる余剰品や端数品を活用し、食品ロス削減に取り組んでいます。中でもユニークなのが、従業員発案の「焼おにぎり除菌ウエットティッシュ」。遊び心ある商品設計で、楽しみながらサステナブルな行動を促します。さらに、宮城県白石市や福岡県宗像市と連携した「環境型ふるさと納税」では、各工場で発生する端数品を返礼品として提供。地域とのつながりと環境貢献の両立を目指しています。環境問題に正面から向き合いながらも、遊び心を忘れないその姿勢が、次世代のスタンダードを築いていきます。
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日本丸天醤油株式会社
余すことなく、おいしく届ける——「YASASHIKUジェラート」
「YASASHIKUジェラート」は、まだ食べられるにもかかわらず、市場に出回らない果物を活用し、自然な甘さが際立つおいしいジェラートを提供しています。「ジャムなどの加工品だと食べる機会が少ないけれど、アイスなら多くの人が好んで食べる」という気づきから生まれたこのジェラートは、開発に5年をかけ、徹底的に味を追求しました。その結果、素材の良さを最大限に引き出した、誰もが好むやさしい味わいに仕上がりました。特に贈答用として高い需要があり、「誰かに贈りたくなる商品」として親しまれています。シンプルだからこそ素材のおいしさが際立つジェラートは、幅広い年齢層に支持され、特に「甘いものが得意でない人でも最後までおいしく食べられる」と評価されています。この事業は、食べる人、農家、そして社会にとっても良い影響を与える「三方よし」の取り組みです。おいしく食べながら、食品ロスの削減や農家支援に貢献できる、そんなジェラートをお届けしつづけます。
持続可能な食文化を創造する——日本丸天醤油のサステナブル事業
果物の規格外品や不揃い品は、十分においしく食べられるにもかかわらず、市場では価値がつかずに廃棄されることが多いのが現状です。日本丸天醤油は、こうした果物を有効活用することで食品ロスを削減するだけでなく、農家の収入を拡大する機会も提供しています。今後の展望としては、製造体制をさらに強化し、販売チャネルの拡大を図ります。現在は主にオンライン販売を行っていますが、今後は対面販売の機会を増やし、消費者に直接商品の魅力を伝える方針です。また、ジェラートのラインナップを充実させ、さらに多くの規格外果物を活用できるよう、仕組みづくりを進めていきます。「長年にわたり皆さまの近くで醤油を作りつづけてきたからこそ、愛される商品を生み出せる。」この経験が日本丸天醤油の強みです。今後も、誰もがおいしいと感じる商品を提供し続けていきます。
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株式会社やまやま
「無添加こどもグミぃ〜。」が社会を動かす
——ママの笑顔が未来を変える
株式会社やまやまは、 地域で廃棄されるフルーツを活用し、障がい者福祉施設で加工、子育て中のママに届ける という「ゴールデントライアングル」モデルのもと、「無添加こどもグミぃ〜。」を開発しました。開発の背景には、「子どもに安心して与えられるおやつが少ない」 という課題がありました。市販のおやつは添加物を多く含み、一方で無添加のおやつは見た目が地味で子どもが喜びにくい。このギャップを解消するため、「カラフルで無添加、かつおいしい」 おやつを作ることを決意しました。「おやつ」は、親子の大切なコミュニケーションの時間。だからこそ、安全でおいしく、子どもが笑顔になれるものであるべき。やまやまは、おやつの課題を解決することが子育て中のママの笑顔を増やし、ひいては社会全体を明るくすることにつながると考えています。
「無添加こどもグミぃ〜。」がつなぐ、
子どもたちの笑顔と地球の未来
株式会社やまやまは、「無添加こどもグミぃ〜。」を通じて、持続可能な未来を目指す「ゴールデントライアングル」モデルを世界へ広げることを視野に入れています。現在、アフリカでは大量のマンゴーが廃棄されています。やまやまは、その豊かな資源に着目し、「無添加こどもグミぃ〜。」の製造を通じて新たな価値を生み出すことに挑戦しています。この取り組みにより、現地の雇用創出にも貢献し、地域経済の活性化にもつなげていく計画です。今後も、「未来の子どもたちによいものを残す」ことを意思決定の軸に据え、ママたちの心にゆとりを生み出し、笑顔あふれる時間を増やしていきます。子どもたちの笑顔と地球の未来を育む企業として、一歩ずつ着実に歩みを進めていきます。
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株式会社Agriture
規格外野菜をもっとおいしく
——OYAOYAが生み出す新たな食のかたち
株式会社Agritureが展開する「OYAOYA」は、規格外の野菜を乾燥加工し、新たな価値を生み出すアップサイクル事業です。代表は大学時代に農業を研究し、愛媛県のみかん農家の事例から、全体収穫量の約3割が規格外品として廃棄されている現状や、傷一つで大幅に価値が下がってしまう事実などから、農家の収益向上とフードロス削減を両立できる方法として乾燥野菜の事業をスタートしました。乾燥野菜は常温で半年間保存可能なため、販売機会を逃すことなく、二次フードロスの削減にも貢献しています。現在は食品メーカーや飲食店へのBtoB販売を中心に、一般消費者向けにも広がりを見せています。
農家とともに広げる食の可能性
「OYAOYA」は単なる規格外野菜の活用にとどまらず、本質的なサステナビリティを追求していきます。構想段階ですが、農家と密接に関わりながら、地質改善を含めた持続可能な農業の実現を目指し、さらには海外での食品加工技術の展開も視野に入れています。また、乾燥野菜の社会的認知を広げるため、レシピ開発や消費者との直接的な交流にも注力します。おにぎり屋での販売などを通じて実際の体験を提供することで、消費者に「おいしさ」とともに、赤ちゃんでも敏感に感じ取れるほどの素材の良さを追求した食体験を届けていきます。
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クラダシの挑戦
~企業の想いを広げ、サステナブルな未来へ~
クラダシでは、昨年12月に開催した「フードロス削減アワード2024」を通じて、フードロスという共通のテーマに向き合い、それぞれの立場から真摯に取り組む企業の皆さんと出会いました。
クラダシは、こうした取り組みを広く発信するソーシャルグッドの“ハブ”として、企業のサステナブルな姿勢を伝えていくと同時に、社会全体に対する良い影響を波のように広げていきたいと考えています。そして、その連携が、より良い未来へつながる相乗効果を生み出していくことを目指しています。
商品やサービスの背景には、「もったいない」から生まれた工夫や、「社会を変えたい」という想いが込められていることがあります。普段何気なく手に取るものの裏側に、SDGsにつながるストーリーがあるかもしれません。
この発信が、消費者の皆さまにとって“新たな気づき”となり、「選ぶ」「買う」「体験する」際の選択肢を豊かにするきっかけとなれば嬉しく思います。
小さな気づきの積み重ねが、持続可能な未来をつくっていく。その一歩を、一緒に踏み出してみませんか?
▼くらだしマガジン
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