加工食品のパッケージに記載されている、「消費期限」や「賞味期限」。袋や容器が未開封の状態で、表示されている保存方法に従って保存したときに、いつまで食べることができるのかを示しています。でも、期限を過ぎた食品は捨ててしまっているという方もいるのではないでしょうか。ふたつの期限の違いを正しく知ることで、フードロスを削減しましょう。
賞味期限は「おいしく食べられる期限」
賞味期限とは、「品質が変わらずに、おいしく食べられる期限」のこと。
スナック菓子、カップ麺、チーズ、缶詰、ペットボトル飲料など、傷みにくい食品に表示されています。賞味期限を過ぎてしまっても、すぐに食べられなくなるわけではありません。(なるべく早めに食べ切るのがおすすめです。)
*参考:農林水産省|消費期限と賞味期限
消費期限は「安全に食べられる期限」
消費期限とは、「食べ物の安全性を保証する期限」のこと。
腐敗などの劣化に伴う衛生上問題なく食べることができる期限で、目安は調理された日から5日以内。お惣菜、サンドイッチ、生麺、ケーキなど、傷みやすい食品に表示されています。
期限を過ぎてしまうと安全に食べられない可能性があるので、購入後はすぐに食べ切るようにしましょう。
*参考:農林水産省|消費期限と賞味期限、食品安全委員会|消費期限と賞味期限は、どうちがう?
賞味期限がフードロスにつながっている
賞味期限は「おいしく食べることができる期限」であり、期限が過ぎても食べられないわけではないことをご紹介しました。家庭での賞味期限によるフードロスは、一人ひとりの心がけで減らすことができそうですね。
しかし、私たちの手元に届く前に、賞味期限切れにより食材が廃棄されている現状をご存知ですか?
食品業界では「3分の1ルール」という商習慣があり、賞味期限の3分の2を経過した食材は売り場から撤去され、捨てられているのです。
賞味期限に対する国やメーカーの動き
こうした問題を受けて、少しずつ賞味期限の表示方法が見直されつつあります。
農林水産省では、令和元年に施行された「食品ロスの削減の推進に関する法律」(略称:食品ロス削減推進法)を受けて、賞味期限の表⽰を年月日表示から年月や日まとめで表示する「⼤括り化」を推進しています。
1日単位の表示では、賞味期限の古い商品は納⼊しない慣⾏となっていますが、大括り化によって物流拠点間で在庫が転送可能となり、フードロス削減につながります。現在、156事業者が大括り化に取り組んでいるそうで、フードロス削減に向けて国と食品メーカーが動きはじめていることがわかりますね。(令和2年10月30日時点)
出典:農林水産省|⾷品ロス削減に向けた賞味期限表⽰の⼤括り化事例、食品ロス削減に向けた賞味期限表示の大括り化について
賞味期限が原因のフードロスを減らすために
私たちの安心・安全を支えてくれる期限表示。しかし、賞味期限が近づいたり切れたりした食品は廃棄され、フードロスになっています。今後さらに国や食品メーカーによる賞味期限の見直しが推進されることで、販売前に捨てられてしまうフードロスが減っていくかもしれません。
消費者の私たちにできることは、「賞味期限」と「消費期限」の違いを正しく知ること。まずは必要以上に買い過ぎないことが大切ですが、もし賞味期限を過ぎてしまっても、工夫して調理して食べ切るように心がけてみましょう。
*参考:政府広報オンライン、消費者庁食品ロス削減法