昔から台所用品や雑貨など、暮らしのなかで親しまれてきた竹。竹かご、ざる、竹箸など、昔ながらの日用品として親しみを感じる人も多いのではないでしょうか。そんな竹製品が、SDGsやエシカル消費が謳われるようになった現代で、サステナブルな素材として注目されています。
今回は、なぜ竹がサステナブルな素材であるのかという理由や、改めて竹製品を使ってみたくなるメリットについてご紹介します。
昔から親しまれてきた竹ですが、高度経済成長期からのプラスチックなど代替品の普及や、海外から安価で輸入されたことで近年ではあまり使われなくなりました。しかし、時代の流れとともに改めて竹がサステナブルな素材であると再注目されています。
放置竹林の解決につながる
現在、所有者の高齢化や竹製品の需要減少により、手入れされずに放置された竹林が全国で問題となっています。放置竹林は太陽の光を遮って周囲の生態系を壊したり、土砂崩れのリスクが発生したりするなど、問題の実態はあまり知られていないかもしれません。
竹材は竹炭や竹酢液などで活用されてきましたが、より付加価値の高い利用領域の開発が急がれています。そんななか、サステナビリティの浸透により竹を資源として使いたいという意識も高まってきました。
竹の需要が増えることで、竹林が十分に活用され、放置竹林の解決につながることが期待されています。
*参考:「竹害」はどうして起こるのか? 日本の放置竹林の現状と課題
脱プラスチックの流れ
日本ではレジ袋の有料化が義務付けられ、さらに2022年4月1日には「プラスチック資源循環法」が施行。脱プラスチックへと時代が進んでいます。
外食業界ではプラ製のスプーンやストローが紙・木製に切り替わったり、ホテル業界ではアメニティが代替素材のものに代わるなど、各業界で取り組みが行われています。
プラスチックからの代替品としても今、竹素材が注目されているのです。
*参考:プラスチック資源循環法関連|環境省,小売り・外食に脱プラ迫る 政府が削減12品目公表|日本経済新聞,帝国ホテル、アメニティの一部を竹や木製に切り替え プラスチック削減
竹がサステナブルである理由とは?
サステナブル素材として再注目されている竹。では具体的にどのような特長があるのでしょうか。
成長がはやい
樹木は木材として利用するのに10年以上かかる一方、竹は成長力が高く3年ほどで収穫できます。収穫サイクルが早いので、限られた土地でも十分に生産量を保つことが可能になります。樹木を安定的に生産するには、広い土地や人件費が固定で必要ですが、竹はぐんぐん成長してすぐに収穫できることから、持続可能な素材であるといえます。
農薬や化学肥料が使われていない
竹は生命力が強い植物です。あっという間に自生をしていくので、農薬や化学肥料は必要ありません。植え替えの必要もないので、土壌に負担がかからないところもメリット。
二酸化炭素を吸収してくれる
1ヘクタールの竹とその製品の植林地では、60年間で306トンの炭素を蓄えることができると試算されています。モミの木と比較して約1.7倍の吸収力があります。
さらに、竹は同量の木より酸素を35%多く放出して二酸化炭素を35%多く吸収するという結果も。酸素を放出して二酸化炭素を吸収するまさに自然に優しい素材です。
鉄やセメントの代替材料になる
竹を鉄やセメントの代替材料とすれば、鉄やセメントを生産するまでのCO2排出量を削減し、環境負担をゼロにできるかもしれません。
ヨーロッパの産業用竹製品(クラッド、フローリング、梁など)に関する研究では、竹の環境負荷は広葉樹よりも優れているという報告があります。中国では、床材から鉄道の枕木、マンホールの蓋に至るまで、あらゆるものに竹が使用されています。産業用の竹製品が増えれば、サステナブル素材として広く認知されていくでしょう。
*参考:「竹」素材はなぜエコ?脱プラスチックに対応するグッズでSDGsを実現,Fighting climate change with bamboo
竹製品のメリット
竹製品はプラスチックと比べてどのような特徴やメリットがあるのでしょうか。暮らしに活用できる竹の特長をお伝えします。
丈夫だから長期間使える
竹製品はとても軽くて丈夫。長期間大切に使うことができるので、長くアイテムを愛用したい方にはピッタリの素材です。
孟宗竹(もうそうちく)は、ヒノキと強度を比べると約1.5~2倍の強度があり、よくしなるため衝撃を吸収する能力にも優れています。
消臭効果
竹炭の表面には、微細な穴が無数に開いています。この穴が、湿気や悪臭の原因となるアンモニアを吸着してくれるのです。その威力は一般的な木炭の約 3 倍。消臭効果のある備長炭も良く知られていますが、備長炭よりも強力な消臭効果があることがわかっています。
*参考:竹無臭 | セイキ工業株式会社
抗菌性を備えて衛生的
竹製品は抗菌作用があるため、食品を扱うときにとても衛生的です。竹ざるなど編み方によって通気性も高く、食材の保存や水切りにも適しています。
*参考:竹製品のメリットと手入れ法
暮らしに馴染む竹素材アイテム4選
最近では、さまざまな分野で竹製品が見られるようになってきました。ここでは、キッチンやトイレなど日用品で使いやすい竹製品をご紹介します。
BALIISMのバンブーカトラリーセット
インスタアカウント:baliism_japan
主にプラスチック製品が多いカトラリーセットも、竹製品で脱プラしてみませんか。インドネシア・バリ島の計画伐採区内で採れた高品質の竹を使用しています。
竹は木材と比べて成長が早く、伐採しても環境負荷が少ない素材です。BALIISMは製品の開発だけではなく竹林の管理も合わせて行なっています。竹は伐採後、通常2-3年でまた利用できる状態に戻ります。
カトラリーは100%天然素材から作られているため、そのまま土に埋めることができます。土に埋めると自然分解され、植物を育てるための肥料になります。最終的には土に戻ります。
*参考:BALIISM
竹から作られたバンブーロール
インスタアカウント:bamboo_roll
トイレットペーパーやティッシュペーパーなどは安価で手に入りますが、その多くは木材パルプであるため、地球に大きな環境負荷がかかります。アメリカの業界大手でも再生パルプを使わず、森林を伐採して作られたバージンパルプを100%使用している現状もあります。
再生可能素材の竹繊維でつくられたバンブーロールを使うことで、森林保護にも繋がります。柔らかい3層のバンブーロールは、薬品の使用をできるだけ抑えた無漂白。バンブーロールを作る過程で使う電力も水力100%の再生可能エネルギーです。
*参考:トイレットペーパーの環境負荷は高い|SUSTAINABLE BRANDS,日本は世界第4位のトイレットペーパー消費大国。トイレットペーパーの環境への影響と代替としての“竹”の有効性|Bamboo Roll,Bamboo Roll
MEGURU 竹の歯ブラシ
インスタアカウント:fine_oralcare
歯ブラシもプラスチック製品が主ですが、プラゴミとして頻繁に捨てることが多いですよね。こちらも脱プラの動きから、ホテルのアメニティで竹の歯ブラシが採用されるなど企業でも見直しが進められています。
MEGURUの竹の歯ブラシは、三重県伊賀市で育った竹を採用。竹の歯ブラシの柄の部分は、ポリ乳酸樹脂と竹の微粉末をブレンドした素材でできており、使用後に焼却するのに必要なエネルギーが少なく、CO2の排出量は一般の樹脂に比べて少なくなります。また、売り上げの一部は環境保全団体(緑の募金)に寄付し、森林保護に役立てられます。
*参考:MEGURU
竹の洗濯水
インスタアカウント:pristine_official
一般的な洗剤は多くの薬品が使われており、水質汚染など環境負荷がかかっています。環境のために、竹由来の洗剤を使用するという選択肢もあります。オーガニックコットンやウールやヤク、カシミヤなどの動物性繊維や麻などの天然繊維が洗える洗浄剤です。
合成界面活性剤不使用で、天然の竹から抽出したミネラル水を使用しているので、優しい洗浄力で繊維を痛めず洗うことができます。
*参考:PRISTINE
台所の竹製品のお手入れ方法や保管について
一度水で濡らしてから使う
食器棚などで保管していた竹かご、ざる、竹箸などの竹製品をそのまま使うのは避けてください。次第に黒ずんできたり、食べ物の匂いがついてしまったりします。一度水で濡らし、竹製品そのものに水分を含ませます。
使用後はさっと水洗いして拭き取り、乾燥させる
竹製品を使用したら、さっと手早く水洗いして完全に水分をふき取ったあと直射日光をさけて風通しのよい場所でしっかりと乾燥させてください。竹は自然素材ですので浸け置き洗いや食器洗い機などは使用しないようにしましょう。
風通しの良いところで保管する
高温多湿の環境を避けて、定期的に換気される場所で保管しましょう。
*参考:竹製品のメリットと手入れ法,竹製品のお手入れ方法について|竹虎のある暮らし,-竹製品の特長とお手入れ-
まとめ
安価なプラスチック製品を使うことが当たり前となっている時代ですが、サステナブルの流れから日本人が昔から大切にしてきた竹製品が改めて注目されてきています。
もともと日本人にとって親しみがあり、手に取るとどこかほっとする竹製品は、日用品としてもとっても馴染みやすく取り入れやすいアイテムです。
いつも使う身近なアイテムを、少し環境のことや素材に目を向けてみて、竹製品に替えてみる。そんなエコな暮らしに竹を取り入れてみませんか。