サステナブルな行動でポイントが貯まる?環境省の「グリーンライフ・ポイント」を先取り解説

サステナブルな行動でポイントが貯まる?環境省の「グリーンライフ・ポイント」を先取り解説

「グリーンライフ・ポイント」とは、環境省が令和3年度(2021年度)補正予算で実施する事業で「環境に配慮した行動に対してポイントが付与される制度」です。

2021年度の補正予算案で101億円が計上され、国による大きなライフスタイルの転換が注目されています。

ここでは、「グリーンライフ・ポイント」推進事業によるポイント還元の仕組みや、すでに類似の取り組みを行っている企業事例などをご紹介。エコな行動が当たり前になる生活へとスムーズに変化していくために、今から身に付けておきたいサステナブルな行動についても考えていきます。

なぜグリーンライフ・ポイントを導入するの?

今回のグリーンライフ・ポイントを導入する背景には、2021年気候サミットにおいて日本が国連に提出した「温室効果ガス排出量削減目標」があります。

2030年までに温室効果ガス46%削減を目指す

日本は2030年までに温室効果ガス排出量を46%削減(2013年比)することを米国主催気候サミット(2021年)で表明しています。

期限まで残り8年と迫っているなか、日本の温室効果ガス排出源の6割以上が衣食住の分野。国や企業の努力だけでは難しく、国民一人ひとりに意識してもらう施策が必要です。

環境を配慮するライフスタイルへの変革を促す

国は日常の環境に配慮した行動をポイント化することで、一人ひとりが環境問題を自分ごと化し、環境に配慮したライフスタイルの転換を加速させようとしています。

国民が環境保全に対する意識を当たり前に持つようになれば、世界規模の温暖化問題の改善に繋がると期待しています。

*参考:日本の排出削減目標,「グリーンライフ・ポイント」に101億円 環境省|産経新聞,公募情報|地域循環共生社会連携協会食とくらしの「グリーンライフ・ポイント」推進事業|環境省,環境省「グリーンライフ・ポイント」導入へ 消費者・企業側のメリットとは? 食品ロス・プラゴミ削減も|YAHOOニュース

グリーンライフ・ポイントが貯まる仕組み

*参考:食とくらしの「グリーンライフポイント」推進事業|環境省

消費者がコンビニやスーパー、大手通販サイト、家電量販店、自治体において環境配慮行動を実践した際に、既存サービスの範囲内でポイントが上乗せされる仕組みです。上乗せ率については全事業者一律ではなく、各事業者の判断となり、国から費用が補助されます。

グリーンライフ・ポイントというものが新設されるのではなく、企業がすでに展開しているポイントサービスに上乗せされる点は消費者の多様なニーズに合わせた形といえます。具体的にどういう場合にグリーンライフ・ポイントを発行するかは、各企業・自治体等に委ねられています。

*参考:環境省が推進する「グリーンライフポイント」とは 導入予定の5分野と背景を学ぼう|ELEMINIST

グリーンライフ・ポイント制度のメリット

環境に寄与できるだけでなく、日常生活にも嬉しいグリーンライフ・ポイント制度のメリットについてみていきましょう。

コツコツ貯めて家計に嬉しい

エコな行動をするだけで既存のサービスの割引やポイントが還元されるのは嬉しいですよね。コツコツ貯めれば家計にも恩恵が受けられます。

日常的にエコ活動を続けられる

今までサステナブルに関心はあったけれど、意識だけで行動に繋げられなかった人も多いのではないでしょうか。ポイント還元など目に見える形で特典が受けられれば、エコな行動も楽しみながら自発的にできるようになるはずです。

環境に配慮した企業を選びやすくなる

今まで企業の環境に対する取り組みはわかりづらいところがありましたが、これからグリーンライフ・ポイント制度を導入していく企業は、環境問題に積極的に取り組んでいることが伝わりやすくなります。環境にやさしい会社をこれまでより選びやすくなるでしょう。

ポイント対象の5つの分野と具体例

環境省が推奨している、今後ポイント還元の対象となる5つの分野と具体例を簡単にまとめてみました。

  • 販売期限切れ間際の食品を購入する
  • 地産地消、旬産旬消の食材を購入する
  • 飲食店で食べ切れなかった料理を持ち帰る

衣類

  • 店舗でいらなくなった服を回収する
  • 購入の際にサステナブルファッションブランドを選ぶ
  • 新品の服を購入するのではなく服のサブスクサービスの利用する

循環

  • プラ製の使捨てスプーン、ストローを受けとらない
  • ばら売りで購入した商品を使い切る
  • 簡易包装商品を選択してごみを削減する
  • リユース品を購入する
  • 生活用品を修理や補修して使う

住まい

  • 高性能省エネ機器へ買換える
  • 節電を実施する
  • 再エネ電気へ切替える

移動

  • カーシェアを利用する
  • シェアサイクルを利用する

私たちの生活に密接に関わる幅広い分野で、ポイント制度が推奨されています。今からでも取り組めるものがたくさんありそうです。

*参考:食とくらしの「グリーンライフポイント」推進事業|環境省,環境省「グリーンライフ・ポイント」導入へ 消費者・企業側のメリットとは? 食品ロス・プラゴミ削減も|YAHOOニュース

エコな行動でポイント付与、割引をしている企業・自治体

企業・自治体によっては、グリーンライフ・ポイント事業が導入される前から、消費者にお得になるサステナブルな取り組みを行っているところがあります。

スターバックスコーヒー

スターバックスコーヒーでは、食品を無駄にしないためドーナツやケーキ、サンドイッチなどを当日の在庫状況に応じて、閉店3時間前をめどに20%OFFにて販売。この売上の一部は認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえに寄付されます。

*参考:スターバックス コーヒー ジャパン

セブンイレブン

セブンイレブンでは、販売期限が迫ったおにぎりやお弁当などを電子マネー「nanaco」で購入すると5%割引するというエシカルプロジェクトをはじめています。対象の商品は、緑のシールが貼ってあるのが目印です。

*参考:セブンイレブン

ファミリーマート

フランチャイズチェーン(FC)加盟店に対し、消費期限が迫った商品を約2割ほど値引き販売する「エコ割」の導入を推奨しています。

消費期限が迫った商品にはバーコード付の「エコ割シール」が貼られます。1日に4回、消費期限を確認するタイミングがあり、割引価格はお店の裁量で、商品の在庫量などをみて決められます。

*参考:廃棄が迫った食品が値下げに。ファミマの「エコ割」が良いことずくめだった|Buzz Feed

東京都板橋区

東京都板橋区は、2021年度から区民や事業者の省エネ行動を促すため、「いたばし環境アクションポイント事業」を始めています。

前年と比べて電気・ガス使用量を削減した登録者に対し、削減率に応じたポイントを付与。所定のポイント数に達すると、登録者に配布された報告書を区に郵送することで区内共通商品券と交換できる取り組みを行っています。

いたばし環境アクションポイント事業の詳細はこちら

*参考:板橋区役所

静岡県

携帯電話やスマートフォンにクルポをダウンロードして、温暖化防止につながる活動(エコアクション)を行なったら、そこにあるQRコードを読み取ってクールポイントを獲得します。

具体的なエコアクションは、協力店での食べきりや、リサイクルBOXの利用、クールシェア/ウォームシェアなど。貯まったポイントは、県内で使える食事券や商品券、QUOカード等の賞品が当たる抽選に応募できます。

クルポの詳細はこちら

*参考:静岡県公式ホームページ

環境配慮行動に対してポイントが受け取れる企業や自治体は増えていますが、一部の業種や地域と限定的です。グリーンライフ・ポイント導入によって、これから参入する企業や自治体は増えていくことが期待されます。

グリーンライフ・ポイントを貯めるために意識したいこと

これから私たちの生活圏内で、さまざまな企業や自治体によるグリーンライフ・ポイントの活用が広がっていくと予想されます。この流れに乗り遅れないように、今のうちから身に着けておきたいサステナブルな行動をご紹介します。

マイ箸とマイスプーンを揃える

2030年までにワンウェイプラスチック(=1度使用してすぐに廃棄されてしまうプラスチック)の25%排出抑制を掲げる「プラスチック資源循環法」が4月1日に施行されました。

その流れを受けて、今後はスーパー等でもらうプラ製の箸やスプーンを辞退することが推奨されていくでしょう。お弁当やお惣菜を購入する際に使えるように、マイ箸やマイスプーンを揃えてみてはいかがですか。

プラスチック製品は回収ボックスへ

スーパーマーケット等では、プラスチック製トレーやペットボトルなどリサイクル資源の回収ボックスを設置しているところが増えてきました。店頭回収を利用するとリサイクルされ、ごみを出さないゼロウェイストの貢献につながります。

不要な服はリサイクルする

着なくなった服はごみとして捨てるのではなく、人に譲る・フリマアプリを使って売る・店舗回収ボックスを利用するなど、再利用する選択をしてみましょう。

再生可能エネルギーや省エネ機器の導入を検討

2009年~2012年に家電エコポイントが導入されたように、グリーンライフ・ポイント制度でもエネルギー分野での推奨をしています。

太陽光など再生可能エネルギー利用の拡大や、高性能な省エネ機器に買いかえるなどの行動を視野に入れるとよいかもしれません。

*参考:プラスチック資源循環法関連|環境省,環境省「グリーンライフ・ポイント」導入へ 消費者・企業側のメリットとは? 食品ロス・プラゴミ削減も|YAHOOニュース

今後のグリーンライフ・ポイントの動向に注目

国の補助もあり企業が本格的にポイント制度を導入すれば、今後私たちのライフスタイルに少しずつ広がっていくことが予想されます。

普段からサステナブルな行動をしている人にとって、グリーンライフ・ポイントの新規事業者が増えれば、ポイントの恩恵が得られそうですね。

グリーンライフ・ポイントの最新情報は、環境省の発信をチェックしてみましょう。グリーンライフ・ポイント導入をきっかけに、普段の買い物や生活でちょっとしたエコな行動を意識してみてはいかがでしょうか。

くらだしマガジン編集部

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