コンビニの食品ロスの現状。大手各社の取り組みや課題も紹介

コンビニの食品ロスの現状。大手各社の取り組みや課題も紹介

コンビニはあらゆる場所に点在して24時間営業をしている上に、いつでも商品が充実しており非常に便利です。それは消費者からするとうれしい点ですが、食品ロスが多いことは大きな問題です。普段よく利用する場所だからこそ現状を知り、個人でできることに取り組みましょう。

この記事では、コンビニが抱える問題や、大手コンビニ各社で実際に行われている食品ロス対策への取り組みを解説します。また、お得に買い物ができて個人でも食品ロスに貢献できる方法も紹介するので、参考にしてみてください。

コンビニの食品ロスの現状

お弁当

食品ロスとは、まだ食べられるにもかかわらず、何らかの理由で食品が廃棄されてしまうことです。農林水産省によると、令和2年度の食品ロスの推計値は年間で522万t発生しており、そのうち60万tはコンビニを含む食品小売業から出ています

コンビニの数は全国に約57,000軒(2022年1月時点)あり、食品ロスは日々各店舗で発生していると考えられるでしょう。

食品ロスを削減するべく、日本では平成24年4月に食品ロス発生抑制の目標値が設定されたり、令和元年10月1日には「食品ロスの削減の推進に関する法律」が施行されたりしています。

食品ロスの削減に取り組まなければならない理由は、環境問題やエネルギーの無駄遣い、倫理的な問題からです。廃棄された食品の輸送や焼却でCO2が排出されるうえに、大量の食品を生産・処分するためには多量のエネルギーが必要です。

さらに、世界では約8億人(9人に1人)が栄養不足に苦しんでいるなか、これだけ大量の食品を廃棄するのは倫理的にも問題があります。

コンビニにおける食品ロスの原因

コンビニで食品ロスが起きる主な原因は、昔ながらの商慣習や陳列方法のほか、消費者の意識や需要の問題などが挙げられます。それぞれ詳しく見てみましょう。

3分の1ルール

3分の1ルールとは古くからある商売上の慣習です。食品の製造日から賞味期限までを3等分にして、3分の1ずつの期間をそれぞれ「納品期限」「販売期限」「賞味期限」とします。

例えば、賞味期限が6カ月の商品の場合、3分の1の2ヶ月以内に納品できなければ、納品前の商品であっても廃棄されかねません。

法律で定められているルールではないものの、このルールを守らなければ取引が難しいのが現状です。食品ロスを削減するために納品期限の緩和をはじめ、ルールの見直しは進んでいますが、厳しい商慣習はなくなっていません。

大量陳列

コンビニは消費者の利便性を重視しているため、売り切れの商品をなるべく作らないようにしています。よって消費者のニーズを満たすために過剰に仕入れをするとともに、レジ横に陳列する揚げ物・総菜も多めに作るのが一般的です。すべて売れるとは限らず、売れ残った商品は廃棄されます。

また、コンビニでは廃棄が発生した場合、損失を負担するのは本部ではなく加盟店となります。このコンビニ独自の「コンビニ会計」と呼ばれる会計方式も問題のひとつです。

損失が出ても本部には影響しないため、本部は加盟店に大量に発注するよう促し、結果として日々多くの食品ロスが発生しています。

陳列棚の奥から商品を取っている

小売店では基本的に消費期限・賞味期限の近い古い商品を手前に、新しい商品を奥に陳列する「先入れ先出し」と呼ばれる陳列方法を採用しています。期限の近い手前にある商品から手に取っていけば、期限が過ぎて廃棄する商品の発生を押さえられるからです。

しかし、奥にある新しい商品を選ぶ消費者は少なくありません。結果、新しい商品ばかりが売れて期限の迫った手前の商品は売れ残ってしまうため、期限が過ぎて廃棄されてしまいます

無添加食品の需要が増えている

無添加食品の需要が増えていることも、食品ロスの原因です。

これまでコンビニでは商品がなるべく日持ちするように、お弁当やおにぎりなどに食品添加物を加えていました。ところが近年は健康志向が高まっており、消費者のニーズに応える形でコンビニでも無添加食品の取り扱いが増えています。

無添加食品は消費期限が短くなるため、限られた期間に売り切れないことも多く、食品ロスを発生させる原因のひとつです。

食品ロスに対する大手コンビニ各社の取り組み

コンビニ

コンビニでは上記のような仕組み上、日々食品ロスが発生していますが、各社廃棄を減らすための取り組みを行っています。本項では、大手コンビニ各社の取り組みを見てみましょう。

セブンイレブン

セブンイレブンでは、本部・加盟店・工場それぞれで食品ロスを削減する工夫を行っています。

例えば「お弁当・おにぎり」「サラダ・サンドイッチ」「冷凍食品」など商品ごとに温度管理を徹底して品質を維持したり、期限が迫った商品を購入するとポイントを多めに付与したりする取り組みなどが代表的です。

また、2021年以降は先述した「3分の1ルール」を見直し、納品期限を「2分の1」に緩和する対策も進めています。

そのほか、食べ切りサイズの販売や期限切れ商品の飼料・肥料化といった食品廃棄物のリサイクル、フードバンク団体への寄付など、さまざまな施策を実施しています。

くわえて、消費期限を延長するために長鮮度を保つオリジナルデイリー商品を開発し、2022年4月現在、約84%の商品で24時間以上の販売期限を設けられるようになりました。

ファミリーマート

ファミリーマートでは食品ロスに対する取り組みとして、積極的なリサイクルの実施や規格外商品の活用を行っています。

リサイクルではコンビニから発生した食品廃棄物を飼料・肥料にするために、リサイクル可能な廃棄物処理委託業者と取引し、その飼料で育てた豚を商品の原材料に使用しています。店舗で販売する商品に使った廃食用油は、100%リサイクルして石鹸などにしているのも特徴です。

また、規格外で廃棄されていた食材を原材料とした、オリジナルブランド商品の開発・販売。サラダや惣菜などの商品では独自の包装を採用し、従来とくらべ消費期限が最大3日延長できました。

ほかにも、食品ロスが発生しやすいクリスマスケーキや恵方巻きなどの季節商品の予約販売強化や、消費期限が迫った商品の値下げなども行っています。

ローソン

ローソンでは「発生抑制(リデュース)」「再利用(リユース)」「再生利用(リサイクル)」を組み合わせて、食品ロスの削減に取り組んでいます。

リデュースは、工場では製品を製造する段階で、原材料の投入量や盛り付け量など無駄が出ないようグラム単位で計測。店舗の仕入れでは自動的に必要な商品別発注量がわかるシステムを導入しており、一貫して無駄な廃棄を出さない仕組みをとっています。

リユースでは、まだ食べられる商品を一般社団法人全国フードバンク推進協議会へ、定期的に寄贈する取り組みを始めました。寄贈先は順次拡大されており、2021年度には約240万個の商品を寄贈しています。

リサイクルでは食品廃棄物の飼料化・肥料化や、廃油の再利用などを実施。2021年度の食品リサイクル等実施率は、法定目標の50.5%を超える65.5%を実現しています。

ミニストップ

ミニストップでは、創業以来ファストフードの調理で出る使用済みの食用油を、飼料や石鹸などにリサイクルしてきました。販売期限切れの食品も家畜の飼料とする取り組みも行っており、東京都や神奈川県、千葉県など関東の一部地域では飼料・堆肥・バイオガス化を実施しています。

食品以外でも、店舗の改装・閉店時にはその店舗で使用していた備品をリペアして再利用したり、店舗の廃材をリサイクルして新たな店舗を建築したりしているのも特徴です。また、レジ袋や割り箸の提供量を減らすための声がけも積極的に行っています。

個人ができる食品ロス対策

買い物カート

コンビニをはじめとする買い物の際に、個人でもできる食品ロス対策があります。食品ロス対策を積極的に実施している小売店を選ぶことも重要ですが、あわせて以下のような対策を日頃から行い、食品ロスの削減に貢献しましょう。

手前から購入する

食品を購入するとき、なるべく新しい商品を手に取りたいと考えるのは自然なことです。しかし、期限が短いものは先述した3分の1ルールにより、廃棄されてしまう可能性が高まります。

当日中に食べたり、記載されている賞味期限・消費期限内に使ったりできる場合は、積極的に手前の商品を購入しましょう。

農林水産省では、消費者および小売店に「てまえどり」を意識するよう呼びかけています。実際に一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会に加盟している大手コンビニ4社では、「てまえどり」を呼びかけるポスターやPOPを掲示しています。

買いすぎに注意する

買いすぎにも注意が必要です。コンビニではオリジナル商品や、人気のキャラクターとコラボレーションした期間限定商品が販売されています。

コンビニに立ち寄った際、そこでしか購入できない商品を見つけると「せっかくだから買っておこう」と考えがちですが、期限内に食べられるかどうかを判断しましょう。

購入したものの食べる機会がなく期限が過ぎてしまったり、期間限定・数量限定だからとまとめ買いしたのに食べ切れなかったりすれば、食品ロスを増やしてしまいます。

廃棄予定の商品を扱うサービスを活用する

すぐに食べるものや生鮮食品以外の場合は、廃棄予定の商品を扱うソーシャルグッドサービスを活用するのもおすすめです。

食料品のなかには、食べる分には問題がないにもかかわらず3分の1ルールにより廃棄されるものや、パッケージに傷があるといった見た目の問題で販売できないものもあります。そのような食料品を、割安で購入できるサービスがいくつかあるのでチェックしてみましょう

当然、どれもあらかじめ設定されている賞味期限を迎えたわけではなく、通常販売されている商品と品質は同じです。

また、形が不ぞろいといった規格外で出荷できない野菜や果物を、生産者から直接購入できるサービスも増えています。急ぎで必要なものでなければ、買い物の前にサイトを確認すると良いでしょう。

買い物で食品ロス対策を始めるには

コンビニで食品ロスが発生する理由は、3分の1ルールや大量陳列などコンビニ側の問題だけでなく、消費者の意識も関わっています。コンビニでは食品ロス対策を各社が行っており、問題となっている食品ロスの削減を目指しています。

消費者側も個人でできることを意識して、食品ロスの削減を目指しましょう。個人でも「てまえどり」を心がける、買いすぎに注意する、廃棄予定の商品を扱うサービスを利用するなど、すぐに取り組めることがいくつかあります。

廃棄予定の商品を扱うサービスでおすすめなのが「Kuradashi」です。「Kuradashi」では、賞味期限が近い商品やパッケージの印字ミスといった理由で、捨てられてしまう可能性のある商品をお得な価格で販売しています。

またスーパーやコンビニよりも、少し良い商品がお得に購入できることもあります。さらに、売上の一部を社会貢献団体に寄付しており、食品ロスの削減に取り組みながらほかの社会貢献も可能です。

まとめて販売している食料品も多いため、近所の人やお友達とシェアするのも良いでしょう。すぐに食べたい食料品でない場合、まずは「Kuradashi」をチェックしてみてください。欲しい食品をお得に購入できる可能性があります。

無料で会員に登録すると、会員限定でさらにお得なキャンペーン情報も見られます。

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くらだしマガジン編集部

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