パティスリーやベーカリーはもちろん、身近なスーパーなどでも焼き菓子を目にします。焼き菓子は伝統的に世界各国で作られており、その種類は数え切れません。世界の焼き菓子のなかには、日本ではあまり見られない個性的なものもたくさん存在しています。
この記事では焼き菓子の種類や人気の焼き菓子レシピ、焼き菓子の賞味期限などについて紹介します。特徴や種類を知ってから焼き菓子を購入したい方は、ぜひ参考にしてください。
焼き菓子とは
「焼き菓子」とは、名前が示す通り焼いて作られたお菓子のことです。焼き菓子と一口に言っても、洋菓子から和菓子まで多種多様なものが見られます。
焼き菓子に対して、スポンジケーキやシュークリーム、ムースなどのお菓子は「生菓子」と呼ばれます。生菓子は生クリームやフレッシュな果物などを使用しており、水分を多く含んでいるのが特徴です。焼き菓子は焼いて水分を飛ばすため、水分量が少ない点で生菓子と大きく異なります。
また、水分量はお菓子の保存性を左右します。水分が多いと微生物が繁殖して傷みやすくなり、逆に水分が少ないと傷みにくく賞味期限が長くなるのです。水分量が少ない焼き菓子は冷蔵保存が不要な場合が多く、常温での保存や持ち運びも問題ありません。
【国別】焼き菓子の種類
焼き菓子の種類は多種多様で、世界を見渡すとたくさんの個性的な焼き菓子が存在します。ここからは、世界の伝統的な焼き菓子を国別に紹介していきます。
日本の焼き菓子
どら焼きは丸い形に薄く焼いた2枚の生地にあんこを挟み込んだ、日本人にはなじみ深いお菓子です。一説によると、形が楽器の銅鑼(どら)に似ていることが名前の由来といわれています。
表面のこんがり焼けた茶色と、中の鮮やかな黄色のコントラストが美しいカステラは室町時代にポルトガルから日本へ伝来した南蛮菓子で、卵のやさしい味わいと水あめやはちみつによるしっとりとした口当たりが楽しめます。
ボーロやカステラも南蛮菓子で、どちらも小麦粉・卵・砂糖などを原料に使用しており、ボーロは小さく丸い形に生地を整えて焼き上げ、カステラは生地を型に流し込んで蒸し焼きにして作ります。
フランスの焼き菓子
マドレーヌとフィナンシェはよく似たお菓子ですが、材料と形に違いがあります。マドレーヌには全卵と溶かしバターが使われる一方、フィナンシェは卵白のみを使用し、焦がしバターを加えて香り高く仕上げます。マドレーヌはホタテの貝殻の形に、フィナンシェは金の延棒をイメージして長方形に焼き上げるのが一般的です。
ロレーヌ地方に伝わる郷土菓子マカロンは、日本でも高い人気を誇っています。もともとは素朴なお菓子でしたが、近年は生地にガナッシュクリームを挟み、さまざまなフレーバーとカラフルな色合いを楽しむマカロンが主流です。
日本でもよく目にするようになったカヌレは、ボルドー地方の伝統的焼き菓子です。フランス語で「溝がついた」という意味を表すカヌレは、溝のある焼き型を使用して独特の形に仕上げます。もっちりした食感と、バニラと洋酒の香りが特徴的なお菓子です。
イタリアの焼き菓子
トスカーナ地方発祥のビスコッティは「二度焼きした」という名前の通り、固い食感が特徴の焼き菓子です。バゲット状の生地を一度焼いてから、スライスしてもう一度香ばしく焼き上げます。イタリアでは、エスプレッソやワインに浸した食べ方が一般的です。
クリスマスのお菓子であるパネトーネは、丸く大きなパンのような形状をしています。バターと卵を使ったリッチなブリオッシュ生地に、ドライフルーツやオレンジなどの柑橘類をたっぷり加えて作るのが特徴です。
ドイツの焼き菓子
ドイツといえば、バウムクーヘンをイメージする人が多いのではないでしょうか。小麦粉・卵・バターなどを使った生地を、芯に薄く塗りながら焼いて作り上げる、樹木の年輪のような層が特徴的な焼き菓子です。
日本でプレッツェルという言葉から連想されるのは固い焼き菓子かもしれませんが、ドイツのプレッツェルはパン菓子です。腕組みしたような形をしていて、ほんのり塩味が付いており、食事代わりに食べられることもあります。
イギリスの焼き菓子
スコーンは、アフタヌーンティーで提供される定番の焼き菓子です。スコーン自体の味わいは甘さ控えめな素朴な味わいで、ジャムやクロテッドクリームを付けて紅茶と一緒に食べるのが一般的です。
イギリスのレモンケーキは、シンプルながらレモンのさわやかな風味を存分に楽しめる焼き菓子で、スポンジケーキにレモンシロップをたっぷり染み込ませ、レモン風味のアイシングをかけて仕上げることもあります。レモンケーキもイギリスのティータイムに欠かせない焼き菓子といえるでしょう。
人気の焼き菓子レシピ
購入することが多い焼き菓子は、実際に自宅で作られることも多いです。今回は、世界の焼き菓子の中から比較的作りやすいどら焼きとフィナンシェのレシピを紹介します。
どら焼きの生地は小麦粉・卵・砂糖に加え、みりんやはちみつを使用し、生地にしっとり感を加えます。これらの材料を混ぜ合わせて、熱した鉄板の上に薄く丸い形に広げましょう。ぷつぷつと気泡が出てきたら裏返し、焼き色が付くまで焼いた2枚の生地にあんこをはさんで完成です。
フィナンシェは小麦粉・卵白・砂糖と、さらにアーモンドパウダーを使うことで風味よく仕上げます。これらの材料にきつね色に焦がしたバターを加えて生地を作り、長方形の型に流し込んで焼き上げます。黄金色に輝く金の延棒のように、香ばしい焼き色が付けばできあがりです。
ギフト向きの焼き菓子
焼き菓子は家庭でおやつなどに食べられるほか、贈り物によく利用されるお菓子でもあります。ここからは、なぜ焼き菓子がギフトに向いているのか解説し、ギフトにおすすめの焼き菓子を紹介します。
なぜ焼き菓子はギフトに向いているのか
前述のように、焼き菓子は水分量が少ないため保存性が高い食品です。常温保存が可能なので、長時間常温で持ち運んでも傷む心配はありません。相手に渡してからも賞味期限が長く、「早く食べないと」と相手に気を遣わせることがないため、焼き菓子はギフトに適しているといえます。
またギフト用の焼き菓子は、1箱に多種多様な個包装のお菓子が詰め合わされていることが多くあります。大人数で分けたり、数日間に渡って少しずつ食べたりしやすいことも、焼き菓子がギフト向きであるポイントです。
さらに焼き菓子は仕事関係などフォーマルな場面から、友人同士のプレゼントのようなカジュアルなシーンまでどのようなシチュエーションにも対応できます。有名菓子店や人気ブランドの焼き菓子は喜ばれやすく、お菓子やパッケージの見た目がおしゃれでかわいいものが多い点も、焼き菓子がギフトに重宝される理由といえるでしょう。
ギフトに選ばれやすい焼き菓子
焼き菓子の中でも、特にギフトに選ばれやすいものがあります。
バウムクーヘンは年輪のような層を、年齢や幸せが重なることに見立てて相手の幸せを願うギフトとして選ばれます。フィナンシェは、黄金色の見た目が華やかで高級感がありながら、価格が手頃で個包装されていることが多いため、ギフトにしやすい焼き菓子です。
カステラは細長い形から「末長いお付き合い」という意味を込めた縁起物として贈られます。ふわふわ、しっとりとした食感は子どもからお年寄りまで食べやすく、長寿のお祝いや内祝いなど、シーンを選ばない点も人気の理由です。
クッキーも、ギフトによく選ばれます。バニラやチョコレート、アーモンドなど味わいのバリエーションが豊かなため、相手に喜ばれやすい傾向にあります。
種類が豊富な焼き菓子は、さまざまな贈り物の場面に対応できます。特別な日のギフトには有名店の高級焼き菓子、友人に配りたいときは焼き菓子の詰め合わせなど、状況に応じて選ぶとよいでしょう。
焼き菓子の賞味期限
比較的日持ちする焼き菓子はギフトに向いていますが、実際の賞味期限はどの程度なのか知っておくとプレゼントするときに安心です。ここからは、焼き菓子の賞味期限の目安や適切な保存方法を紹介します。
焼き菓子の賞味期限の目安
焼き菓子のうち、市販品と手作りしたものとでは賞味期限に差があるため注意が必要です。
市販の焼き菓子の賞味期限は、一般的に1ヶ月〜数ヶ月程度とされています。製造時に保存料などを使用したり、包装内に品質保持剤を入れたりして保存性を高めているため、市販の焼き菓子は長期保存が可能です。
一方、手作りした焼き菓子の賞味期限は、1週間程度と考えておくとよいでしょう。市販の焼き菓子は厳密な衛生管理のもとで製造されていますが、家庭で手作りする場合は衛生的な環境を整えるのにも限界があります。市販の焼き菓子よりも保存性が劣ってしまうため、賞味期限の目安に関わらずできるだけ早めに食べましょう。
日持ちしやすい条件
比較的日持ちする焼き菓子の中でも特に賞味期限が長いものには、どのような特徴があるのでしょうか。
賞味期限が長いのは、水分が少なく砂糖が多めに使われている焼き菓子です。砂糖は水分と結びつく性質があるため、お菓子が傷む原因となる微生物に水分を与えず、お菓子の保存性を高める効果があります。微生物はアルコールに弱いため、アルコール度数が高いリキュールを使用した焼き菓子も、保存性が高くなります。
リキュールを使ったフルーツケーキや、しっかり焼いて水分を飛ばしたクッキー、フィナンシェ、マドレーヌは比較的日持ちする焼き菓子です。
クリスマスシーズンによく見られるシュトーレンは賞味期限が長く、数週間かけて少しずつ食べる風習があります。シュトーレンの保存性が高いのは、よく焼くことで水分量を減らし、アルコールに漬けたドライフルーツを混ぜ込んでいるためです。さらに、表面に溶かしバターをかけて砂糖でコーティングすることで、傷みの原因となる微生物からシュトーレンを守っています。
焼き菓子の適切な保存方法
焼き菓子は常温保存が可能なため、保存にあまり気を配る必要はありません。しかし、より適切な方法で保存すると長持ちします。
焼き菓子は、基本的に冷蔵庫で保管する必要がありませんが、室温が高いと傷みやすくなるため、日光が当たらず湿度の低い場所で保管するとよいでしょう。特に気温が高くなる夏場は、冷蔵庫で保管すると安心です。
また、焼き菓子は冷凍保存が可能なので、どうしても食べきれない場合は冷凍するのも一つの方法です。食べるときは冷蔵庫に移して、時間をかけてゆっくり解凍してください。解凍後は、早めに食べ切るようにしましょう。
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焼き菓子は、世界各国にさまざまな種類が存在するバリエーション豊かなお菓子です。常温保存ができるほか、ギフトにも向いているため多くの人に愛されています。適切な保存方法を活用すれば一度の購入で長く楽しめるでしょう。