日々の食卓に並ぶことの多い肉加工品にはさまざまな種類があり、子どもから大人まで人気がある私たちにとって身近な存在です。また、お歳暮など贈答品として親戚や知人、友人などに贈られることもあります。しかし肉加工品の種類や、体にどのような影響を及ぼすのかを知らずに食べている方も少なくないでしょう。
この記事では、肉加工品の種類や肉加工品に含まれているもの、体に悪いといわれている理由などを紹介します。肉加工品をよく食べる方や、体への影響が気になるという方は参考にしてみてください。
肉加工品とは
肉加工品とは牛肉や豚肉、鶏肉などを塩漬けや加熱など何らかの処理を施した肉製品のことです。代表的なものはべーコンやハム、ソーセージなどがあり、私たちにとって馴染み深い食品といえます。
肉加工品の特徴は、何といっても保存性が高いことです。処理を施されていない肉類の賞味期限は店頭に並んでから1~3日程度ですが、肉加工品の多くは賞味期限が3~4週間ほどにもなります。
加工処理をした肉類は保存がきくため、まとめ買いをしてストックしておく方が多いです。食材を切らしてしまったときに使えるほか、災害時の非常食としても便利でしょう。
肉加工品の種類
肉加工品は大まかに「ハム」「ソーセージ」「ベーコン」の3つに分けられます。細かい肉片と内臓肉などを混ぜて作られる成形肉や、肉に牛脂を注入して作る脂肪注入加工肉も肉加工品の一種です。
ここからは、肉加工品にはどのような種類があるのか紹介していきます。
ハム
ハムは豚のモモ肉を塊のまま塩漬け、または燻製にして加工した加工品です。そのままでも食べられるうえ、さまざまな料理にも使えるため、ストックされていることが多い傾向にあります。
日本で一般的に知られているハムの多くは既に加熱されていますが、ヨーロッパでは日本で「生ハム」と呼ばれる非加熱のものが一般的です。
ロースハム
豚の肩から腰の部分の肉・ロースの塊を加工し、適度な脂肪を含むため食感がやわらかくまろやかな風味が特徴のロースハムは、特に日本で多く食べられています。
ボンレスハム
ボンレスハムは豚のモモ肉から作り、骨が付いていない(Boneless)ためボンレスハムと呼ばれています。
ボンレスハムは、脂肪が少なく赤身が多くあっさりとした食感なので、カロリーが控えめでダイエット中の方におすすめです。
ラックスハム
ラックスハムとはドイツ系の生ハムを指します。豚のロースを加工し、低温熟成させて作ります。「ラックス」とはドイツ語で「鮭」のことを指し、色が鮭の切り身と似ていることが由来です。
燻製のスモーキーな香りと凝縮された肉の旨味を楽しめます。
ショルダーハム
豚の肩肉を加工したのがショルダーハムです。ロース肉を塩漬けして熟成した後に、燻製して作ります。
豚は肩をよく動かすので、ロースは脂肪分が少ないことが特徴です。赤身が多く、サッパリとした味わいで食べやすいという特徴があります。
生ハム
「生」と名が付く通り、生ハムは一切の過熱をしません。豚のモモ肉を塩漬けにし長期熟成して作ります。ヨーロッパの生ハムは塩漬けした後に乾燥するため、深みのある味わいが特徴です。一方、日本の生ハムは乾燥させないものが多く、みずみずしい食感が楽しめます。
プレスハム
豚肉と牛肉などを混ぜて固めて作るプレスハムは日本独自のハムです。比較的簡単に作れるうえに安価なため、経済的に貧しかった戦後1955〜1973年の高度経済成長期に普及しました。
ベリーハム
豚の脇腹の部分・バラ肉を加工したものがベリーハムです。バラ肉は脂肪分が多い部位のため、しっとりとした食感とまろやかな味わいが楽しめます。
多くの場合はバラ肉を丸めて作るため、ベリーハムを切ると断面が赤身と脂肪が渦巻のような模様を描いており、他のハムとは違った見た目も印象的です。
骨付きハム
その名のとおり、骨付きモモ肉やスネ肉を使ったハムのことで、もともと海外では骨付きハムが主流でした。
骨付き肉は骨に含まれる髄液が肉に染み出し、旨味とコラーゲンが大量に含まれています。そのため、ジューシーな食感を楽しめるでしょう。
ソーセージ
ソーセージは、香辛料やハーブなどを加えたひき肉を羊などの腸に詰めて乾燥または燻製にしたものです。日本では、豚肉を用いるのが一般的ですが、海外では牛肉や羊肉、馬肉などさまざまな肉を用いたソーセージがあります。
茹でたり焼いたりするなど、加熱して食べるのが一般的ですが、パッケージに「加熱食肉製品」と表示があればそのまま食べられます。
フランクフルトソーセージ
日本でも一般的なフランクフルトソーセージは、調味したひき肉に肉同士を結着させる小麦粉やコーンミールなどを加え、豚の腸に詰めたものです。牛や羊の腸は使われず、直径20mm~36mm未満の太さになります。
ドイツの都市フランクフルト・アム・マインが発祥のため、この名が付きました。
ウィンナーソーセージ
ひき肉などを調味して羊の腸に詰めたのがウィンナーソーセージで、牛や豚の腸を使いません。ソーセージの中では細く小ぶりで、直径は20mm未満程度。
オーストリアの首都・ウィーンで生まれたため、「ウィンナー(ウィーン風の)ソーセージ」と呼ばれています。
リオナソーセージ
リオナソーセージはフランス中部の都市・リヨンが発祥です。豚肉や牛肉が用いられ、豚脂肪やグリーンピース、ピーマン、にんじんなどを牛の腸に詰めてスモークし、茹でて作ります。なかには麦などの穀類やチーズなどが入っているものもあります。
混合ソーセージ
畜肉のひき肉に魚肉を加えたものが混合ソーセージで、日本発祥です。戦後、豚肉が手に入りにくかったときに作られていました。
日本農林規格では、魚肉は15%から50%未満とされています。一方、魚肉が原材料の50%以上を占めるものは「魚肉ソーセージ」と呼ばれています。
ボロニアソーセージ
調味したひき肉を牛の腸に詰めたボロニアソーセージは、イタリア北部にある都市・ボローニャで誕生しました。
直径36mmを超えるものと大きさが特徴的で、大きなもので断面の太さが20cmのものもあるほどです。
レバーソーセージ
レバーソーセージは、豚や牛などのひき肉に細かく刻んだレバーを加えたものを指し、多くの場合は豚のレバーが使われます。加熱をしないでそのまま食べられるのが特徴です。
日本ではあまり馴染みがありませんが、ヨーロッパ諸国、特にドイツではパンと一緒によく食べられています。
ドライソーセージ
ひき肉などを腸詰めしたあとに加熱をせず、乾燥させて水分が35%以下になったものをドライソーセージと呼びます。焼いたり茹でたりせず、そのまま食べられることが特徴です。
腐敗の原因となる水分が少ないため、日本では常温での流通が許可されています。
セミドライソーセージ
ドライソーセージと製法は同じですが、水分量が55~35%以下になるとセミドライソーセージと呼びます。そのため、ドライソーセージよりもやわらかい仕上がりです。
ロシア発祥の「カルパス」がセミドライソーセージの代表といえるでしょう。
ベーコン
ベーコンは主に豚のバラ肉を使用し、塊肉を塩漬けして熟成させた後、低温で燻製にします。ハムは燻製にした後、茹でたりスチーム加工などを施しますが、ベーコンは燻製させたら完成です。
ハムはやわらかい食感でそのまま食べたり、サラダに入れたりしますが、ベーコンは含まれている塩分や旨味を活かして、ダシのような役割で使われることもあります。
ショルダーベーコン
豚の肩肉を燻製にしたショルダーベーコンは、脂肪が比較的少ないため低カロリーです。塩分が浸透しやすい赤身が多いため、味は塩気が強いことが特徴です。そのため、サラダやスープに入れたり、野菜と一緒に煮込んだりして、料理の味付けに使われています。
ロースベーコン
豚のロースを用いたロースベーコンは、適度な脂肪分があり、やわらかいベーコンです。豚バラ肉を使ったベーコンほど脂肪が多くなく、上品な味わいを楽しめるでしょう。
アメリカでは「カナディアンベーコン」と呼ばれ、朝食には欠かせない食材の一つになっています。
肉加工品に含まれるもの
肉加工品は長期間保存ができるうえ手軽に料理に加えられるため、日常的に食べられることが多い食材です。その分、肉加工品には何が含まれているのか、また健康的な食材なのか気になる方は多いのではないでしょうか。
ここからは、肉加工品に含まれている添加物と栄養素を解説します。
添加物
肉加工品には、見た目をおいしそうに見せる、旨味を加える、腐敗を防ぐといった目的でさまざまな食品添加物が入っています。よく用いられているのが亜硝酸ナトリウム、リン酸塩、結着剤、保存料、酸化防止剤、合成着色料、化学調味料などで、その数は多岐にわたります。
食品添加物は保存性を高めて味や香りをよくしてくれますが、健康被害を引き起こすリスクが懸念されているのも事実です。子どもに人気の赤いウィンナーは、合成着色料のタール色素が入っており、じんましん発症の恐れがあるといわれています。
栄養
一方で、加工肉は肉が主原料のため体を作り上げるタンパク質を豊富に含み、栄養価は高いといえるでしょう。さらに、糖質をエネルギーに変換するビタミンB1や、老化現象を引き起こすのを防ぎ、皮膚の再生やコラーゲン生成に欠かせないビタミンCなども含まれています。
ただし、加工されていないお肉に比べて脂質や塩分は多めなので、食べ過ぎないよう注意が必要です。
肉加工品は体に悪いって本当?
肉加工品には、発がん性リスクがある食品添加物の亜硝酸ナトリウムや硝酸カリウム、硝酸ナトリウムなどが使用されていることから、体に悪いという説があります。しかし、日本国内で市販されている食品は安心して食べられるように、また1日の摂取許容量を超えないようにさまざまな制限が設けられています。しかし、前述したように食べ過ぎは禁物です。
参考:東京都福祉保健局 食品衛生の窓「食品添加物の使用基準と成分規格」
肉加工品の原料であるお肉には、タンパク質に加えて体の代謝や神経伝達物質を生成するのに欠かせないアミノ酸がバランスよく含まれています。そのため、健康的な体作りには欠かせない食材です。しかし、血中総コレステロールが増加し、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高める飽和脂肪酸も含まれているので、食べ過ぎないよう注意しましょう。
また、肉加工品ばかり食べたことによる脂質や塩分の過剰摂取も、高血圧となることから心筋梗塞や脳卒中を引き起こす可能性があります。
加工肉は国際的に1日平均90g以内の摂取が適量といわれているため、一つの目安にするとよいでしょう。
健康的な肉加工品の摂取を心がけよう
肉加工品は保存性が高いだけでなく、香りや旨味が凝縮されているため、手軽に料理に加えられたりそのまま食べたりできる使いやすい食材です。
食べ過ぎには注意したいので、日常的に肉加工品を食べている方は購入する頻度や食べる回数を見直すことをおすすめします。 また、肉加工品を購入する際にKuradashiを利用してみてはいかがでしょうか。Kuradashiは肉加工品を含め、まだ食べられるにも関わらず捨てられてしまう可能性のある商品をお得に販売しています。興味のある方は、ぜひのぞいてみてください。