最近、さまざまなメディアで取り上げられている「フードロス」というキーワード。身近な問題だけど、原因や課題、どう削減に取り組めばいいのかは分からないという方も少なくないはず。この記事では、特に家庭におけるフードロスの原因や問題点を解説します。
日本のフードロスの半分は家庭から発生している
フードロスとは、「食べられるのに捨てられる食品」のこと。そして、日本で発生するフードロスの量は年間で612万トンといわれています*。この612万トンのうち、食品に関わる事業者から発生するものが約55%(328万トン)、家庭から発生するものが約45%(284万トン)を占めます。
612万トンといわれても想像がつきにくいですが、実は「国民ひとりあたりお茶碗1杯分のご飯を毎日捨てている」のと同じ計算。つまり、フードロスは決して遠いところで起きている問題ではないのです。
*参考:農林水産省|食品ロスの現状を知る
フードロスの3つの原因
家庭で発生するフードロスには、「直接廃棄」「過剰除去」「食べ残し」と、大きくわけて3つの原因があります。
「直接廃棄」は、賞味期限や消費期限を過ぎてしまうことで発生するフードロスです。買い置きがあることを忘れたり買いすぎたりして消費しきれず、結局食べることなく捨ててしまうことが直接廃棄に含まれます。
「過剰除去」は、食べられる部分を捨てることで発生するフードロスです。特別な理由はないけれど、野菜の皮や芯、お肉の脂身、魚の骨まわりなどを過剰に取り除いて調理している方は少なくないのではないでしょうか。一度の料理で出るロスの量は少なくても、塵も積もれば山となるもの。毎日の料理の積み重ねでたくさんのフードロスにつながっています。
「食べ残し」は、その名の通り家庭や飲食店での食べ残しで発生するフードロスです。フードデリバリーサービスで料理を注文しすぎて残してしまったり、家庭で料理を作りすぎて余らせてしまったり。そうしたものが食べ残しに含まれます。
なぜフードロスを減らすのか
では、なぜフードロスを減らさなければならないのでしょうか。そこには、2つの大きな目的があります。
ひとつは、環境保全。もうひとつは、食料供給の偏りをなくすことです。
必要とされなくなった食品は、基本的にはゴミとして廃棄・処分されます。それに伴う運搬や焼却で多くの二酸化炭素(CO2)が排出されるのです。二酸化炭素は地球温暖化の要因なので、フードロスは地球温暖化に直結しているといえます。
食料供給の偏りは、「世界」に視野を広げてみるとその問題点が浮き彫りになります。日本の食料自給率は67%*と決して高くなく、多くの食品を輸入に頼っています。一方で、世界には食料や栄養の不足で命を脅かされる人も少なくありません。日本は、自分たちでの生産では足りずに輸入しているにも関わらず、年間600万トン以上も捨てている。そのアンバランスさが見えてくるのではないでしょうか。
*参考:農林水産省|食料自給率
明日からできるフードロス削減
家庭で発生するフードロスの原因である、「直接廃棄」「過剰除去」「食べ残し」。これらを減らしていくためにできる工夫をご紹介します。
「直接廃棄」の対策
- 冷凍庫や真空パックを活用して長期間保存できるようにする
- ストックしている食品は定期的に確認し、賞味期限が近いものから消費する
- 余分な買い物をしないよう、買い物にはメモを持参する
「過剰除去」の対策
- 食品の可食部を知る
- 捨ててしまっていた可食部を料理に活用する
「食べ残し」の対策
- 料理を作りすぎない
- 飲食店などでは食べきれる分だけ注文する
- 飲食店の持ち帰りサービスを利用する
フードロス削減はむずかしくない
年間600万トン以上という膨大なフードロスの量やその課題を知って、自分自身の手でフードロス削減するのは難しいと感じたり、ひとりが頑張っても仕方がないと思った方もいるかもしれません。
しかし、くらだしマガジンは、フードロス削減はきっとむずかしくないことだと考えています。
今日、明日、明後日…と毎日の工夫を積み重ねて、家族や友人とも情報をシェアして手を取り合いながら、できる範囲のことを少しずつやってみる。そんなフードロス削減にチャレンジしてみませんか?
参考記事
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2010/spe1_01.html
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/012.html
https://www.showa-sangyo.co.jp/csr/mottainai-life/mottainai01.html