防災備蓄品の廃棄によるフードロスを削減する方法!自治体や企業の取り組みとは?

防災備蓄品の廃棄によるフードロスを削減する方法!自治体や企業の取り組みとは?

3月1日は「防災用品点検の日」です。災害に備えて、食料や水など備蓄品を蓄えている方もいるかもしれません。しかし、近年、多くの防災備蓄品が賞味期限より前に廃棄されていることをご存じでしょうか。本記事では、防災備蓄品のフードロスを削減する方法や、自治体および企業の取り組みをご紹介します。

防災備蓄品によるフードロスが発生する背景

「防災備蓄品」とは、災害に備えて用意する水や食料、生活用品のこと。ご自宅にストックしている方も多いのではないでしょうか。しかし、備蓄品といえども食品には賞味期限があり、食べられずに捨てられてしまうものも多くあります。

長期保存が可能で賞味期限が長いはずの防災食品が、なぜフードロスになってしまうのか。その背景をくわしく解説します。

防災食品市場は10年で1.8倍以上に成長

株式会社富士経済がおこなった調査によると、2021年の防災食品市場は10年前と比較して1.8倍になりました。調査では、防災食品の市場拡大の理由として、東日本大震災や熊本地震など大規模災害が相次いだことを挙げています。

また、防災に関する意識調査(株式会社セコム、2020年)では、災害対策として一定量の食料・生活用品を日常的に備蓄している回答者が6割を超えました。近年、地震や噴火、豪雨災害などがたびたび発生しているため、今後も防災食品市場への関心は高まり続けるでしょう。

※出典:2021年 防災食品のマーケット分析と将来性予測(株式会社富士経済)

*参考:日本経済新聞株式会社セコム富士経済

自治体や企業単位でも備蓄しているため規模が大きい

防災備蓄品を備えているのは、一般家庭だけではありません。たとえば自治体では、災害時の避難場所として指定される学校や施設に備蓄倉庫を設けていたり、独自に備蓄している企業やマンションもあるため、一般家庭以外の備蓄規模も膨大です。

国会の答弁(2021年4月6日)では、2021年時点で都道府県と市町村合わせて米1.3万トン、乾パン1,760万食、インスタント麺約53万個を備蓄していると発表しています。

*参考:日本維新の会 井上一徳消費者庁内閣府

賞味期限切れにより省庁だけでも年間20万食が廃棄されている

防災備蓄品として用意した食料にも賞味期限があります。当然、賞味期限が切れた食料については、廃棄しなくてはなりません。
全府省庁で備蓄している100万食のうち、年間約20万食が賞味期限切れによる廃棄処分の対象になっています(朝日新聞の報道(2021年4月22日)。企業やマンションなども含めると、さらに多くの防災備蓄品が廃棄されていると想定されます。

*参考:朝日新聞

賞味期限前の備蓄品も廃棄されている現状

防災備蓄品のうち、食料や保存水の賞味期限は、そのほとんどが3〜5年と長めに設定されています。一見すると賞味期限切れまで余裕があると感じるかもしれません。

しかし、防災備蓄品にはほかの食品と同じように3分の1ルールが原因で廃棄されるケースもあります。3分の1ルールとは、製造から賞味期限までを3等分した際に、最初の3分の1までにメーカーから小売店に納品しなければならない、という小売業界の慣習です。

たとえば、賞味期限が3年の商品であれば、製造から1年以内に小売店に納品しなければ行き場をなくしてしまい、1年以上賞味期限が残っている食料であっても、廃棄せざるを得なくなります。災害に備えて備蓄した食料を使わずに廃棄するのはもったいないと感じるのではないでしょうか。

防災備蓄品の廃棄によるフードロスを防ぐ3つの方法

本来は食べられる防災備蓄品のフードロスを減らすために、何ができるでしょうか。すでに実践されている3つの方法をご紹介します。

フードバンクへの寄付

1つめは、防災備蓄品をフードバンクへ寄付する方法です。フードバンクとは、賞味期限が切れていないにもかかわらず廃棄せざるを得ない食料品を引き取り、食料を必要としている方に無償で提供する活動です。

たとえば以下の団体がフードバンクを行っています。

  • むすびえ
  • セカンドハーベスト・ジャパン
  • グッドネイバーズジャパン

フードバンクへ食料品を寄付すれば、食料を必要としている人々を支援することができます。

*参考:gooddo

ローリングストック法による管理

普段から災害に備えて自宅に食料を備蓄している方もいるでしょう。そのような方におすすめの管理方法がローリングストック法です。ローリングストック法とは、常に一定量の食料を家に備蓄しておく方法で、以下のような流れで管理を行います。

  1. 少し多めに食料をストックしておく
  2. 日常的に備蓄した食料のうち古いものから使う
  3. 使った分だけ買い足す
  4. 1〜3を繰り返す

ローリングストック法で管理すれば、品質を保ちながら、備蓄品を保管しつづけることができます。さらに、備蓄品の賞味期限切れによる廃棄をせずに済むでしょう。

*参考:tenki.jp 

防災備蓄食品の飼料化

賞味期限切れや保管状況の悪化で食べられなくなった備蓄品も、活用可能です。実は、ほとんどの防災備蓄品には栄養が豊富に含まれていて、アルファ米や乾パンは以前から家畜の飼料として活用されてきました。防災備蓄品の飼料化を進めている団体では、備蓄品を養豚農場に届けており、育てられた豚肉は学校給食にも使われています。

*参考:日刊工業新聞企業・学校防災.com

行政や企業のフードロス削減の主な取り組み

近年、防災用品のフードロスが問題として認識されはじめ、行政や企業も対策に乗り出しています。ここからは、行政や企業の具体的な取り組みについて見ていきましょう。

給食や学生食堂での活用

消費者庁では、フードロス削減に向けた国民運動を推進しています。獨協大学の学生食堂では、学生や教職員に防災とフードロスへの意識を高めてもらう目的で、防災備蓄品を利用したメニューを提供しています。防災備蓄品を利用したメニューは、5日間限定にもかかわらず、連日約80食を売り上げる大盛況でした。

また、岐阜県土岐市の教育委員会では、毎年1回防災の日に非常食のレトルトカレーを学校給食として提供しています。ほかにも、大学生が災害時用備蓄食料を活用した料理レシピを考案しています。

*参考:食品ロス削減関係参考資料(令和3年8月26日版) |消費者庁消費者教育推進課食品ロス削減推進室

省庁による啓蒙活動やフードバンクへの提供

農林水産省では、公式ホームページ上で「災害時に備えた食品ストックガイド」を公開し、備蓄に適した食品の選び方や災害時に役立つ簡単レシピなどを紹介しています。

また各省庁でも、以下のような災害用備蓄食品をフードバンク団体に提供しました。多い時期では、1週間に8,000食以上提供した事例もあります。

  • アルファ米
  • レトルト食品
  • パン缶詰
  • 備蓄用飲料水

*参考:消費者庁農林水産省

フードロス削減ショッピングサイトでの販売

社会貢献型ショッピングサイト「KURADASHI」を運営する株式会社クラダシは、通常ルートでの販売が難しい防災備蓄品を販売しています。この取り組みは2021年9月1日の防災の日に合わせてスタートしたもので、防災用の食品や日用品などを通常よりもお得な価格で購入できるのが特長です。

購入額の一部は自動的にNPO団体や基金に寄付される仕組み。フードロス削減と社会貢献を同時に達成できます。

 

家庭でも防災備蓄品の廃棄削減に取り組もう

防災備蓄品のうち食料や水には賞味期限があるため、賞味期限が切れれば廃棄されるものがほとんどです。しかし、フードバンクへ提供したり家畜の飼料として再利用したりすれば、フードロスの削減につながります。

日頃からご自宅の防災備蓄品のストックに目を配りながら「もしも」に備えつつ、フードロス削減にも取り組んでみませんか?

くらだしマガジン編集部

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