ごみゼロの日に考えよう。ごみの出ない「ゼロウェイスト」を実現できる生活とは

ごみゼロの日に考えよう。ごみの出ない「ゼロウェイスト」を実現できる生活とは

全国でゴミ拾いや清掃活動が行われる、ごみゼロの日。

最近は街中からゴミを拾う、リサイクルを推進するといった活動だけでなく、そもそもゴミを出さない社会を実現しようと「ゼロウェイスト」に注目が集まっているのをご存じでしょうか。

今回は「ごみゼロの日」の起源から、ゼロウェイストとは何か、私たちが日ごろの生活の中でできることまでをご紹介します。

市民の運動がきっかけ。「ごみゼロの日」とは?

毎年5月30日は「ごみゼロの日」です。この記念日は、ゴミ削減とリサイクル推進のための活動を行う日として定められました。5月末は地域で行われる清掃活動やゴミ拾い活動に参加しているという方も多いのではないでしょうか。

実はこの「ごみゼロの日」、制定のきっかけには市民の運動が大きくかかわっています。

それは1970年代のこと。愛知県豊橋市では、観光地として葦毛湿原を中心とした豊橋市自然歩道が人気を集めました。ところが、観光客が増えるにつれてゴミのポイ捨てが増加。自然・環境保護の観点から地域の関係者によって清掃活動が行われましたが、きれいにしたそばから観光客がゴミを捨てていくため、状況の改善は困難でした。

そこで豊橋山岳会会長の夏目久男さんは、1975年5月に「530運動」を提唱。「自分のゴミは自分で持ちかえりましょう」を合言葉に登山者が自然歩道を歩く際のモラルを訴え、それを身近な道路や公園、河川などの生活の場、ひいては社会全体にも当てはまることだと提言したのでした。

その後、市民と豊橋市が一体となって活動を行ったことで、「530運動」が全国に拡大。1993年には当時の厚生省(現・厚生労働省)によって、5月30日から始まる「ごみ減量化推進週間」が正式に制定されました。現在は5月30日から環境の日である6月5日を「ごみ減量・リサイクル推進週間」と定め、全国各地でゴミを減らし、リサイクルを行っていくためのさまざまな活動やキャンペーンが実施されています。

*環境省,愛知県豊橋市

1人で毎日1kgも!このまま放置できない、日本のゴミ問題

環境省によれば、日本のゴミ総排出量は2019年に4,274万トンとなりました。これは東京ドーム約115杯分で、国民一人当たり毎日918グラムのゴミを捨てていることになります。

これらのゴミは、半分は資源として再利用されたり自然に返されたりしていますが、残りの半分は「燃やす」「埋める」といった処分を行っており、環境に大きな負担をかけてしまっています。

さらに深刻なのが、国内のゴミ処分場の問題です。現在、燃やしたり細かく砕いたゴミは、最終的に処分場に埋め立てられています。しかし、この処分場の許容量が残り少なく、2040年には埋め立て処分ができなくなるとの試算があります。将来的にゴミの処理ができなくなる恐れがあるのです。

また、ゴミを燃やして処分する場合は、当然CO2が排出されます。CO2は温室効果ガスとして、地球温暖化につながってしまいます。

とはいえリサイクルの量を増やせばいいかというと、実はそうでもありません。ゴミとして捨てられた物をリサイクルするためには、輸送や再資源化のためのコスト・エネルギーがかかってしまうのです。

ゴミの処理はどのような形であれ、環境に大きな負荷をかけています。だからこそ「ゴミを出さない暮らし方」を考える必要があるのです。

*環境省,上勝町

そもそもゴミを出さない社会へ。「ゼロウェイスト」とは

環境にやさしい暮らし方として、最近「ゼロウェイスト」が話題となっています。

「ゼロウェイスト」とは、無駄や浪費、ゴミをなくすという意味の言葉です。これまでの社会は「ゴミをいかにエコに処理するか」「いかにゴミを拾って街をきれいにするか」という発想でさまざまな取り組みを行ってきましたが、そもそもゴミを出さない社会をつくろうとする動きが生まれています。

「ゼロウェイスト」への取り組みは意外と歴史が古く、世界では1996年にオーストラリアの首都・キャンベラが世界で初めて「ゼロウェイスト宣言」を出したことを皮切りに、ニュージーランドや北米、ヨーロッパなどに広がっていきました。

日本では2003年に徳島県勝浦郡上勝町が、2008年に福岡県三潴郡大木町が「ゼロウェイスト宣言」を発表しています。なかでも上勝町は積極的にゼロウェイストへの取り組みを進めており、2020年4月には旧ゴミステーションをリニューアルした「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」がオープンしました。

上から見るとクエスチョンマークをしているこの施設。宿泊機能のほか、オフィスや会議ができるスペースなど、循環型経済・共同経済・ゴミのない社会に向けて学び、考えられる機能を備えています。全国でも珍しい「くるくるショップ」という場所もあり、まだ使える物を持ち込み、気に入った物を無料で自由に持ち帰ることが可能です。

上勝町も含めた国内外のゴミ問題に対する取り組みについては、こちらに詳しく記載しています。ぜひご参照ください。

*上勝町

私たちが「ゼロウェイスト」に向けて、できること

私たち自身も、日々の生活の中で「ゼロウェイスト」に向けた取り組みを行うことができます。その際、大切なのは下記の「5R」の考え方です。

①Refuse:不要なものは買わない、断る

②Reduce:ゴミを減らすために、他の活用方法を考えて使う

③Reuse:物をできるだけ長く大切に使う

④Repair:壊れても修理して使う

⑤Recycle:再資源化できる物はリサイクルする

もし何かを買う場合も、リサイクル品や中古品を買うようにすることで、資源の無駄を減らせます。たとえば、気軽に誰でも販売できる「メルカリ」や家具や家電など大きなものまで地元で譲り合う「ジモティー」などを利用してはいかがでしょうか。

捨て方や保存の仕方を変えるだけでも、ゼロウェイストに近づくことができます。

例えば、日本で年間612万トンも発生しているといわれる「フードロス」。これは冷凍による保存期間の長期化や、食品の可食部を改めて調べて「過剰除去」を減らす、食べきれるだけの料理をつくる・買うといった取り組みでフードロスの削減に貢献できます。

▼詳細はこちら

日本は「フードロス大国」。家庭におけるフードロスの原因や問題点

調味料の捨て方も、意識することで環境保全につながります。

調味料は、基本的に可燃ごみ。それぞれの調味料に正しい捨て方がありますので、ビニール袋やキッチンペーパー、新聞紙などを駆使しながら、少しでも環境にやさしい捨て方を心がけるようにしましょう。

▼詳細はこちら

調味料の「捨て方」をご紹介。正しく捨てて環境を守ろう

そもそも食品を捨てないようにするために、長持ちさせられるよう正しい保存方法を実践することも大切です。

葉物野菜は立てて保存する、根菜類は新聞を巻く、肉・魚は水けをとって塊で保存する、穀類は乾燥させて冷蔵庫保存など、食品ごとにふさわしい保存方法があります。

▼詳細はこちら

気軽に実践。正しい保存方法で食品を長持ちさせよう

生活の中で毎日使う物を手作りすることも可能です。例えば、食品の保存に欠かせないラップも手作りできることをご存じでしょうか。コットン布地に蜜蝋やホホバオイルなど天然樹脂を染み込ませた、とてもエコな「蜜ろうラップ」は自宅でも簡単につくれます。

▼つくり方など詳細はこちら

繰り返し使える&環境に優しい!「エコラップ」の選び方や手作り方法をご紹介

そして、買い物では規格外野菜を買うことで、社会全体のゴミ削減に貢献できます。色や形の悪い野菜・果物は「規格外」として市場で流通されることなく、多くが廃棄されています。

味は規格に適合した野菜とほとんど変わらず、まだ食べられるにもかかわらず捨てられている野菜は、直売所や規格外野菜を扱うサイト、スーパー、コンビニなどで購入可能です。

▼詳細はこちら

「規格外野菜」はお買い得? 購入するメリットや販売場所を紹介

ごみゼロの日をきっかけに、ゴミを出さない工夫を考えよう

日本だけでなく世界中で深刻なゴミ問題。各個人が地球全体の限りある資源の循環に目を向けて、できることに取り組んでいくことが求められています。

これまで意識せずに捨てていたものや買っていたものも、買い方や再利用の工夫をするだけで、地球にやさしいゼロウェイストな生活に変えていけるかもしれません。

くらだしマガジンでは、ゴミ問題をはじめ、暮らしの中で少しずつ取り入れられるさまざまな工夫を紹介しています。「ごみゼロの日」をきっかけに、他の記事も読んで、今日できることからチャレンジしてみてくださいね。

社会貢献型ショッピングサイト「KURADASHI」は、フードロス削減に向けて、賛同いただいたメーカーから協賛価格で提供を受けた商品を最大97%OFFで販売しています。このようなサイトや店舗を使って買い物をすれば、必要なものをお得な価格で手に入れながら環境保全にも貢献できます

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くらだしマガジン編集部

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