サステナブルなジーンズの選び方。長く愛用できるブランドも紹介

サステナブルなジーンズの選び方。長く愛用できるブランドも紹介

カジュアルなファッションの定番であるジーンズ。実は、衣類のなかでも特に環境負荷が高い工程でつくられていることをご存じですか?サステナブルやSDGsが推進されるいま、環境や社会に配慮したジーンズアパレルも増えています。

「環境のことを考えたいけれど、どんなジーンズを選んだらいいかわからない」。

そんな方に、ジーンズの従来の製造工程やそれに代わるサステナブルな技術、それらをすでに取り入れているブランドをご紹介。自分に合うサステナブルジーンズの選び方をお伝えします。

ジーンズの魅力とは

カジュアルの代表格ともいえるジーンズは、実は本来サステナブルなファッション。「履き込み」や「デニムを育てる」というワードがあるように、レザーと同じようなエイジング(経年変化)を楽しむことができる衣類です。味わい深い色に変化し、履き心地も馴染むようになります。

従来のジーンズの製造工程

石油産業に次いで世界で第2位の環境汚染産業といわれているファッション産業。なかでもジーンズの製造では、環境負荷がかかる染色や加工が行われているのが現状です。

原料のコットンには農薬が使われている

ジーンズの原料である綿花は、栽培に大量の化学肥料と農薬が使われています。綿花栽培は全世界で使用される殺虫剤の4分の1、農薬の11%を占めています。大量の化学肥料や農薬は土壌汚染や生態系を破壊するだけでなく、綿花栽培を行う労働者の健康被害にも深刻な問題を引き起こしています。

大量の水を消費する

ジーンズを製造する際、化学物質や合成染料を洗い流すために大量の水が消費されます。望ましい色合いになるまで何度も繰り返し洗浄され、ジーンズを1本作るのに消費される水はなんと約7,500リットル。これは平均的な人が飲む水の量の7年分に相当します。

ジーンズの加工には薬品が使われている

ジーンズの加工では、独特のかすれた風合いを出すために酸性の薬品や漂白剤が使われたり、ストーンウオッシュ加工が施されたりしています。ストーンウォッシュとは、ジーンズを天然の軽石と一緒に洗いかすれた風合いにする加工のこと。洗浄時に軽石が砕けて粉状になるため、綺麗に洗い流すために大量の水が必要です。

*参考:国際連合広報センター,プロが指南する、サステナブルなデニムを買うためのQ&Aガイド|BAZZER,「ジーンズ1本の綿花栽培で飲み水10年分失う」 国連がファッション業界に警告|WWD,オーガニックコットンとは|日本オーガニックコットン協会,環境省,UNIQLO

サステナブルなジーンズへ。変わりつつあるアパレル業界

原料や加工時に大きな環境負荷がかかるジーンズ。世界的にSDGsがうたわれているなかで、アパレル業界もジーンズ製造での変革を進めています。

サステナブルな素材を使用

環境にも社会にも配慮したオーガニックコットンや、綿に代わる環境に優しい素材が積極的に使われるようになっています。

・オーガニックコットン

化学肥料や農薬を使用しない有機栽培で育てられた綿花。環境や労働者に配慮した持続可能な方法で栽培されています。

・リヨセルやヘンプ

木材パルプが原料のリヨセル、麻が原料のヘンプは、ジーンズ製造時に使用する水の量が少なく、環境に優しい素材です。このように少ない水で製造されるジーンズのことを「ローウォータージーンズ」といいます。

・パイナップル繊維

パイナップルの葉からとれる繊維でつくられたジーンズも。日本を代表するジーンズブランド「エヴィス(EVISU)」では、沖縄の畑に放置されていたパイナップルの葉からジーンズをつくるという試みに成功しています。

*参考:日本オーガニックコットン協会,プロが指南する、サステナブルなデニムを買うためのQ&Aガイド|BAZZER,サステナブルな生分解性繊維、リヨセルについて徹底解説|Happy Quinoa Vegan Media,キャリア20年のデニム担当も思わず「いいね!」の沖縄発のサステナブルジーンズ|WWD

トレーサビリティが常識の時代へ

トレーサビリティとは、商品の生産から消費までの過程を追跡(トレース)できること。原産地や生産過程を公開するアパレルも増えてきました。

サステナブルファッションを志向するブランド「Reformation(リフォーメーション)」は、繊維にトレーサビリティ技術を組み込むことに成功。消費者はジーンズのタグをスキャンすれば、デニム生地がオーストラリアのコットン農場で作られているという情報など、さかのぼって知ることができます。

また、サンフランシスコ発のエシカルブランド「EVERLANE(エバーレーン)」では、材料費や輸送費、人件費などを公式サイトで公開。消費者へ商品の透明性の高さをアピールしています。

*参考:MY INPERFECT LIFE,EVERLANE

ジバンシィがコレクションでヴィンテージドレスを発表

「GIVENCHY(ジバンシィ)」が2020年春夏コレクションで発表したのは、ヴィンテージジーンズから作られたドレスやパンツ。90年代のヴィンテージデニムをアップサイクルして作られました。大手アパレルブランドもサステナブルなファッションを大々的に打ち出しています。

*参考:プロが指南する、サステナブルなデニムを買うためのQ&Aガイド|BAZZER,VOGUE

私たちができるサステナブルなジーンズの選び方

世界的にサステナブルな取り組みが進んでいるなか、私たちもサステナブルな視点でジーンズを選ぶことが必要になっています。ここでは、私たちができる「サステナブルなジーンズの選び方」をご紹介します。

サステナブル素材を使った商品を購入する

「100%リサイクルコットン」など、リサイクルされたコットンでつくられたジーンズを選ぶことは、ものを大切に扱うというサステナブルな選択のひとつ。

また、環境や社会に配慮して栽培された「オーガニックコットン」や、再生セルロース繊維の「リヨセル(またはテンセル)」など環境負荷のかからない素材を選ぶことも、環境保全のための大きなアクションです。

オーガニックの国際基準である「GOTS(ゴッツ)認証」は、原料が製品として消費者に渡るまで「繊維製品が正しくオーガニックであること」を保証するマーク。この認証をもつ製品を選ぶのもよいでしょう。

*参考:GOTS認証とは マークの意味・基準を解説 オーガニックコットン選びの目印|ELEMINIST

水の消費が少ないジーンズを選ぶ

ジーンズ製造は、風合い加工や染色のために大量の水を使いますが、いかに水の消費をい少なくできるかがサステナブルの実現に向けた大きなカギとなっています。水の消費が抑えられたローウォータージーンズを選ぶとよいでしょう。

古着を購入する

古着屋やフリマアプリでヴィンテージデニムを購入することもサステナブルな選択のひとつ。長く付き合うことでジーンズの経年変化が楽しめます。

持ち物をリメイクする

購入後のジーンズや、すでに持っているジーンズを修復したりリメイクしたりしながら楽しむ方法もあります。カバンやクッションカバーなど小物にリメイクすれば、ライフスタイルに合わせて使い方を変化させたり、子供にプレゼントしたりなど用途が拡がるでしょう。

デニムのリメイク参考はこちら

*参考:サステナブルジーンズとは?ジーンズ生産を取り巻くサステナビリティ|Happy Quinoa Vegan Media

サステナブルなジーンズブランドとは?

環境負荷が高いといわれるジーンズ業界ですが、オーガニック原料を使うことや水の使用を抑制するなど、環境保全のために改善がなされています。そのなかでも積極的にサステナブルな取り組みを行っている国内外のジーンズブランドをご紹介します。

岡山デニム/JAPAN BLUE JEANS

岡山県倉敷市に拠点を置く国産デニムブランド「JAPAN BLUE JEANS」は、熟練職人の技術と環境にやさしいモノづくりを大切にしています。

2017年からジーンズの水消費の改善に取り組み、約3年の歳月をかけて製造時に使用する水の80%を再利用できる浄化設備の開発に成功しました。

ジーンズの原料にはバナナやりんごの繊維を使っており、生産から製造までサステナブルに取り組んでいる国産ジーンズブランドです。

JAPAN BLUE JEANSのジーンズはこちら

ユニクロ

従来のストーンウォッシュ加工は天然の軽石が使われ、洗浄で粉砕した軽石を洗い流すために大量の水が必要でした。ユニクロは耐久性が高く、すり減らない人口のエコストーンを採用。

さらに、オゾンガス洗浄や水をほとんど使わないナノバブル洗浄を用いて、従来の製造工程と比べて、水の使用量を最大で99%削減。ティーカップ約1杯という少量の水で、ジーンズ独特の風合いに仕上げることが可能になりました。

ユニクロのサステナブルジーンズはこちら

リーバイス

環境や社会に配慮して栽培されたオーガニックコットンを使用することはもちろん、ヘンプやリヨセルを使用することで、栽培における76~95%の水の量を削減しました。

柔軟剤でデニムを洗う代わりに、ビンのふたやゴルフボールによる独自のウォッシュ加工で仕上げます。これにより、仕上げ工程から96%の水を排除することに成功しました。

リーバイスのジーンズはこちら

*参考:世界一エシカルなデニムを作るってどういうこと?【JAPAN BLUE JEANSの教科書 前編】|e-Bigin,UNIQLO,Levi’s

つくる人も買う人も、サステナブルな選択を

原料栽培や加工による化学物質と水の大量使用など、環境負荷が高いとされるジーンズの製造ですが、サステナブルやSDGsの流れでジーンズブランド各社が環境保全に向けて取り組んでいます。

ファッションを楽しむ私たちも、環境にやさしい商品を選ぶこと、大切に長く着続けることの選択が大切になってくるのかもしれません。

この記事で紹介したサステナブルジーンズを選ぶポイントや、すでに取り組んでいるジーンズブランドの商品をチェックして、あなたのファッションをサステナブルなものに変えてみませんか。

くらだしマガジン編集部

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