近年サステナブルな子ども服を取り扱うブランドが徐々に増えています。子どもは成長が早いため、大人よりも服を買い換える頻度が多くなります。とはいえ、着なくなった服を廃棄するのはもったいないと感じている方も多いのではないでしょうか。この記事では、サステナブルな子ども服を購入するメリットや取り扱っているブランドについて紹介します。
サステナブルファッションとは?
サステナブルファッションは、衣服の生産から着用・廃棄までの過程において、地球環境や社会に配慮した取り組みです。環境省の発表によれば、1日に焼却・埋め立てされる衣服の総量(平均)は1300t。この大量廃棄の背景には、ファストファッションによる大量生産があり、消費者がトレンドや子供の成長に合わせて新しい服をすぐに購入することを好んできたからです。
このようなファストファッションと呼ばれる安価な服は、人件費を抑えるために発展途上国の工場で製造されるケースがほとんどで、そこでは環境破壊や労働者の人権問題などの問題も多く発生しています。そのため、近年では環境に配慮された素材を使ったり、長く利用できる丈夫な服を販売したりする企業も徐々に増加しています。
しかしながら、子ども服は子どもの成長が早いため、年齢とともにすぐに着られなくなりますよね。とはいえ、少し着ただけで子ども服を捨てるのはもったいないと考える方も多いのではないでしょうか。
*参考:環境省
サステナブルな子ども服を購入する4つのメリット
大人向けの服だけでなく、子ども服にもサステナブルな商品が販売されています。サステナブルな子ども服を購入する4つのメリットについて紹介します。
地球環境の保全につながる
一般的に流通しているファストファッションは、製造過程で二酸化炭素を排出したり大量の水を使ったりと環境負荷が高いことが問題となっています。そのため、コットンや合成繊維の服を工場で大量に製造すると、環境へ与える影響も大きいといえます。
衣服の原材料 |
環境への影響 |
コットン |
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合成繊維 |
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さらに、環境省のデータによると、原材料調達から製造までに排出される二酸化炭素の排出量は約90,000ktもあります。しかし、オーガニック素材やアニマルフリー素材(動物性素材を使わない)で作られた子ども服を購入すれば、地球環境の保全につながるでしょう。
*参考:FashionHR、環境省、VOGUE、Ethical Choice
労働者の人権を守れる
ファストファッションを販売しているメーカーの多くは、製造コストを削減するために、発展途上国に工場を開いて服を製造しています。しかし、それらの工場では、長時間労働・児童労働・低賃金など労働者の人権問題も多く発生しています。
また、製造時に化学製品も使用するため、労働者の健康状態の悪化にもつながるでしょう。サステナブルな子ども服を購入することで、労働者の人権を守れるかもしれません。
*参考:Spaceship Earth
衣服の廃棄量を減らせる
衣服を手放す際、約68%の服が可燃ゴミや不燃ゴミとして廃棄されているのが現状です。
特に、以下のような理由で子ども服を廃棄せざる得ないケースもあるでしょう。
- 子どもの成長に伴いサイズが合わなくなる
- 兄弟姉妹で性別が違うとお下がりとしても利用できない
- 子どもが服を汚したり破ったりする
しかし、サステナブルな子ども服であれば丈夫に作られているので、長くお下がりとして使用できます。さらに、男女関係なく着られる服もあるので、廃棄量も減らせるでしょう。
*参考:Neutral
環境や人権保護について、子どもと勉強するきっかけになる
サステナブルな子ども服を普段から着用すれば、環境や人権保護について子どもと勉強するよいきっかけにもなるのではないでしょうか?
学校教育においてもESDやSDGsなどを学ぶ機会は増えています。しかし、ただ学ぶだけでなく実際にサステナブルな子ども服を着用した方が、より環境保全や人権保護について考える良い機会になるでしょう。
*参考:アスエネメディア
サステナブルな子ども服を販売しているブランド6選
子どもにサステナブルな服を着せたいと思っても、どんなブランドが扱っているのかわからない方も多いでしょう。そこで、サステナブルな子ども服を販売しているブランドを6つ紹介します。
H&M CONSCIOUS
H&Mでは、通常の商品だけでなく、地球環境に配慮したConscious choice(コンシャス)製品を扱っています。Conscious choice製品は、オーガニックコットンやリサイクルポリエステルなどのサステナブルな素材を50%以上使用しています。
コットンTシャツやリサイクリングショーツなど数百種類以上の商品が販売されているなど、品揃えも豊富です。
JaneCollection(ジェーンコレクション)
JaneCollectionは、2020年11月にオープンしたオーストラリアの子ども服ブランドを専門に販売するオンラインショップです。たとえば、以下のようなブランドを20種類以上扱っています。
- Grown (グロウン)
- WILLOW SWIM(ウィロースイム)
Grownは、商品のほとんどが100%オーガニックコットン、WILLOW SWIMは80%のリサイクルポリエステルと20%のライクラで服を製造しているブランドです。新作のアイテムも多数取り揃えているため、ぜひ一度利用してみてはどうでしょうか。
*参考:JaneCollection
Gap Teen(ギャップティーン)
アメリカの大手衣料品ブランドであるGapも、サステナブルなファッションブランドであるGap Teenを立ち上げています。Gap Teenは、8〜13歳(女子)をターゲットにしており、以下のような特徴がある商品を販売しています。
- 水を節水するデニム洗浄加工技術を使用
- 素材にリサイクルポリエステルやオーガニックコットンを使用
- ハングタグの廃止
おしゃれなデザインの服も多く販売しており、Gapのオンラインショップから購入可能です。服だけでなく、水着や帽子などの取り扱いもあります。
Petit Bateau(プチバトー)
プチバトーでは、通常のデニムより製造時に使用する水の量を40%も削減したウォーターレスデニムを販売しています。オーガニックコットンも使っているため、自然にも優しい製品です。
さらに、長持ちする素材を使っているため、兄弟姉妹のお下がりにも利用しやすいといえます。子どもが誤って紐やボタンを飲み込まないように作られているので、安心して購入できるでしょう。
*参考:Aneひめ.net、PETITBATEAU(プチバトー)
オーワユリカ
オーワユリカはロンドンの子ども服ブランドです。衣服の素材の95%以上は、以下のような天然繊維を使用しています。
- オーガニックコットン
- テンセル
- キュプロ
- リネン
- リサイクルポリエステル
そのため、製造時に有毒な化学物質や水質汚染は発生しません。また、リサイクルポリエステルも使用しており、生地の原料となる石油の量も減らしています。3〜14歳向けのワンピース・トップス・スカートなど幅広い商品を販売しているので、ぜひ一度購入してみてはどうでしょうか?
*参考:オーワユリカ
Jake + Maya Kids
Jake + Maya Kidsは、ロンドンのサステナブルブランドです。子ども服は子どもの成長とともに着られなくなります。とはいえ、子どもにはおしゃれをさせてあげたいと考えている方も多いのではないでしょうか?
Jake + Maya Kidsでは、そんな願いを叶えるために、以下のような特徴がある商品を販売しています。
- ウエストがアジャスター付きのバンドで伸び縮みする
- 成長に合わせて袖やズボン裾の長さを調節できる
また、素材はオーガニックで再利用可能な生地しか利用していません。さらに、性別に関係なく着られるデザインを採用しているため、性別の違う兄妹間での共有も可能です。服の廃棄量も減らせるので、ぜひ一度利用してみてください。
*参考:HEAPS
お下がりを推奨するネームタグを導入したベビー服
一般的に子ども服についているネームタグの数は1人分のみです。したがって、お下がりで利用するときは、名前を書き込むスペースがなくて困っている方もいるでしょう。しかし、ベビー服ブランドであるHaruulala(ハルウララ)の商品は、ネームタグに3人分の名前を書けます。
最初の子どもが利用するときは、ネームタグの一番下に記入します。そして、次の子がお下がりで利用する場合は、下の欄をカットして違う欄に名前を記入できる仕組みです。また、Haruulalaはバングラデシュで子どもを持つ現地の人に安定した労働を提供しているため、児童労働の問題が起きないように努力しています。
現地の労働環境改善に貢献したい方は、ぜひ購入を検討してみてはどうでしょうか。
*参考:alternas
子どもの服もサステナブルな商品を購入しよう
GapやH&Aなどファストファッションとして有名なブランドも、サステナブルな子ども服を取り扱うようになりました。そのため、以前に比べると地球環境に配慮した子ども服を手に入れやすくなっています。
サステナブルな子ども服を購入すれば、兄妹間でお下がりの服を着やすくなるでしょう。また、服を長く着続けられるため、廃棄量の削減も可能です。ぜひ、この機会にサステナブルな子ども服を購入してみてはどうでしょうか?