生鮮食品を購入したのに、途中で腐ってしまいやむなく廃棄した。そんな経験のある方も多いのではないでしょうか。
廃棄量が多いのであれば、保存方法がよくないのかもしれません。正しい方法で保存すれば、生鮮食品を長持ちさせられます。この記事では、野菜・肉・魚の生鮮食品が腐る理由とその保存方法について解説します。
食材を廃棄する原因の1位は「直接廃棄」
食材を購入したにもかかわらず、使い切れず廃棄した経験はありませんか?フードロス量の調査(農林水産省、2018)によると、日本の年間のフードロス量600万トンのうち家庭から廃棄された量が276万トンを占めます。
2017年に実施された調査(消費者庁、2017年)では家庭でのフードロスの原因は、直接廃棄(食品の賞味期限・賞味期限切れ、腐敗やカビ、色や匂いで食べられるか不安になった)が26.7%と最も多いことがわかっています。
食材や食品を使わないまま捨ててしまうことは多くの方が経験することですが、フードロスの原因の2割以上を占めるということは、改善の余地がある結果ではないでしょうか。
食品の賞味期限・消費期限が過ぎたため |
23.9% |
食品の鮮度が落ちたり腐敗したりカビが生えたりしたため |
17.8% |
色や臭いなどで食品の安全性に不安を感じたため |
4.0% |
引用:平成28年度消費生活に関する意識調査結果報告書(消費者庁)
*参考:消費生活に関する意識調査結果報告書(消費者庁、2016年)
生鮮食品が腐ってしまう3つの原因とは?
直接廃棄を減らすためには、購入した生鮮食品をできるだけ長持ちさせる必要があります。生鮮食品を長持ちさせる方法について触れる前に、どのような原因で生鮮食品が腐るのか解説します。
食品には微生物が付着している
生鮮食品を腐らせる原因は微生物です。もともと食品には微生物が付着しています。そして、食品のたんぱく質などの有機物が微生物により分解されると、食品は腐ります。
微生物は人の手指や空気にも含まれているため、完全にゼロにするのは難しいもの。そのため、できるだけ早く適切な方法で保管する必要があります。
*参考:株式会社ウエノフードテクノ
微生物が分裂して増殖する
とはいえ、微生物が存在するだけでは腐りません。微生物が分裂して増殖することで、食べ物の成分が分解されます。微生物が増殖するためには、温度・水分・栄養などの条件を満たさなければなりません。
生鮮食品には多くの水分が含まれており、微生物が繁殖しやすい環境が整っています。また、食品の温度が高くなると微生物が増えやすくなります。食品安全セミナー「家庭でできる食品安全」(農林水産省、2018年)によれば、食品の温度が5℃未満の場合、腸炎ビブリオの数は増えていません。しかし、温度が20〜35℃になると、100〜1,000の菌数が2~3時間で10万以上まで増加しています。
*参考:京都府中小企業技術センター応用技術課,J-Net21,日本食品分析センター,食品安全セミナー「家庭でできる食品安全」
微生物により食品の成分が分解され腐敗が進む
温度が高い状態が続き微生物が増殖すると、食品のたんぱく質が分解され腐敗が進み、結果として食品が傷みやすくなります。食品の腐敗を止めるためには菌の働きが弱くなる低温の環境で保管しなければなりません。
*参考:株式会社東邦微生物病研究所
生鮮食品を長持ちさせる保存方法とは
生鮮食品には、加工食品などと比べて多くの水分が含まれています。そのため、気温や湿度が高いと微生物が増殖しやすくなるのです。ここからは、微生物の増殖を抑え、鮮度を保つ保存方法を食品ごとにご紹介します。
野菜や果物の保存方法
野菜や果物は種類によって保存方法が異なります。
きゅうりや人参は自然に近い環境で保管した方が長持ちするため、できるだけ立てて保存しましょう。そのまま冷蔵庫に入れるのではなく、キッチンペーパーなどで包んで袋に入れれば、さらに長持ちしやすくなります。
大根やかぶなどについている葉っぱは本体から栄養素を吸い上げてしまうので、鮮度が落ちやすくなる原因のひとつ。すぐに切り分けてください。葉っぱを料理に使いたい場合は、切り口にキッチンペーパーを巻いて、ポリ袋に入れた状態で立てましょう。
ジャガイモや玉ねぎなど根菜類は、冷蔵庫に入れると低温障害により腐りやすくなるので注意が必要です。
バナナは冷蔵庫での保存をおすすめしません。熱帯地域で育つ果物なので、低温の環境で保存すると皮の細胞が破壊されます。さらに房がつながったままの状態で保存すると、バナナ同士で熟すスピードが早くなります。1本ずつに分けて房をラップで包めば、熟すスピードを遅らせられます。
保存方法 |
野菜 |
立てて保存する |
|
葉っぱを切り分ける |
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ネットに入れて涼しい場所で常温保存 |
|
1本ずつに分けて房をラップで包む |
|
*参考:CHINTAI情報局,COSMOPOLITAN,Sumifru
肉類の保存方法
肉類を冷蔵保存した場合、1〜5日ほどで腐ります。特に空気に触れると酸化が進むため、傷みやすくなります。そんな肉類を保存する際のポイントは3つです。
- チルド室やパーシャル室などで保存
- ドリップは拭き取る
- 空気に触れないようにする
チルド室やパーシャル室は、冷蔵庫よりも温度が低く保存に適しています。また、ドリップが残っている状態でそのまま保存すると臭みが残るので注意してください。必ずクッキングペーパーで拭き取ってから、空気に触れないようにラップやジッパー付きのバッグなどに入れて保存してください。
また、すぐに使わない肉は、小分けにして冷凍庫で保存します。なお、肉の脂肪が変化しにくくなるのはマイナス30℃です。冷凍庫に入れるだけでは脂肪やたんぱく質の酸化を止められないため、1ヶ月ほどの保存期間になります。
*参考:Lidea
魚類の保存方法
魚は、冷蔵保存では長くても1日程度しか持ちません。腐敗が進みやすいえらや内臓は速やかに取り、水気をペーパータオルで拭いておきます。
そして、密閉用の保存袋に入れて、空気を抜いた状態で冷凍庫に入れましょう。冷凍庫での保存なら2週間ほどは持ちます。
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生鮮食品を冷蔵庫で保管する際の7つの注意点
生鮮食品を冷蔵庫で保管する際の注意点を7つご紹介します。ぜひ普段の買い物や保存する際に取り入れてみてください。
生鮮食品は早く冷蔵庫や冷凍庫へ保管する
スーパーなどで購入した生鮮食品を家まで持ち帰る際には、どうしても外気に触れてしまうために鮮度が落ちやすくなっています。食品を買うとき、腐りやすい肉や魚はなるべく最後に購入し、外気に触れる時間を減らしましょう。
また、ほかの食品へ微生物が付着するのを防ぐために、肉や魚介を持ち帰る際は、食材ごとに分けてポリ袋に入れてください。そして、帰宅後はに生鮮食品を最初に冷蔵庫や冷凍庫に入れましょう。
*参考:mammemo
生鮮食品の保存はチルド室がよい
生鮮食品を冷蔵庫で保存する際は、チルド室を選びます。チルド室の温度は0〜3℃と低温のため、食品の発酵や熟成を遅らせられるからです。チルド室は前面に蓋がついているため、冷蔵庫を開けても温度が上がりにくく、冷蔵室よりも鮮度を保ちやすいでしょう。
*参考:エステー
食品を詰め込みすぎない
冷蔵庫は、冷気ファンを回し空気を循環させて冷やす仕組みです。食品を詰め込みすぎた場合は冷気が隅々まで行き渡らないため、場所によって温度のムラが生じます。また、冷気の吹き出し口を食品で塞ぐリスクも高くなります。冷蔵庫内に詰める量は、多くても7割前後に留めておきましょう。
*参考:Eatreat
扉の開け閉めは最小限にする
冷蔵庫の温度は、扉を開け閉めするだけでも上がりやすくなります。何度も冷蔵庫から食品を取り出すと食品の持ちが悪くなるので、冷蔵庫が開く時間をなるべく減らしてください。
育った環境と同じくらいの温度で保存する
基本的に、野菜は育った環境と同じくらいの温度で保存しましょう。原産地が暑い地域で育った野菜や夏野菜は低温の環境が苦手なので、風通しの良い日陰で保存します。一方、レタスや白菜など寒い環境で育った野菜は冷蔵庫で保管しましょう。
*参考:厨房マガジン
肉や魚などは1回で使う量に小分けする
肉や魚などを1回で使い切らない方も多いでしょう。すぐに調理をしないのであれば、1回分ずつを小分けにラップで包み、保存袋に入れて冷凍庫で保管しましょう。小分けにすることで冷凍が早まるので、鮮度が落ちにくくなります。
カットした食品はラップで包む
カットした食品は、ラップで包むのを忘れないでください。なぜなら、生鮮食品は空気に触れる面積が増えるほど酸化しやすくなるからです。ラップで包んで乾燥や酸化を防ぎ、長持ちさせましょう。
食品によっては常温保存した方がよいケースもある
以下のような食品は、冷蔵庫よりも常温での保存をおすすめします。
ジャガイモやピーマンなどは、新聞紙で包み涼しく日当たりが悪い場所で保存すれば2〜3ヶ月持ちます。玉ねぎは、風通しがよく日が当たらない場所で保管してください。ネットなどに入れて吊してもよいでしょう。
冷蔵庫で保管すると腐りやすい食品もあるので、注意してください。
野菜 |
冷蔵庫で保存しない理由 |
ジャガイモ |
|
ピーマンやなす |
|
玉ねぎ |
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*参考:農林水産省
食品を正しい方法で保存してフードロスを減らそう
食品が腐るのは、微生物の増殖によりたんぱく質が分解されるからです。しかし、正しい方法で保存すれば長持ちさせられます。特に肉や魚は外気に触れると鮮度を失いやすいため、一番最後に購入して最初に冷蔵庫や冷凍庫に入れてください。
また、野菜はそれぞれ保存方法が異なります。冷蔵庫で保管すると逆に腐りやすい野菜もあるので注意が必要です。食品を正しい方法で保存すれば、フードロスの削減につながります。ぜひ紹介した保存方法を試してみてください。