【参加者レポート】ついに完結!横浜クラチャレの8ヶ月総集編

【参加者レポート】ついに完結!横浜クラチャレの8ヶ月総集編

■初め

皆さんこんにちは!横浜市クラダシチャレンジ参加者一同です!

2022年2月から開催してきた横浜市でのクラダシチャレンジも、ついに9月で活動を終えました。今回は、10月5日(水)にクラダシのオフィスにて開催した事後報告会の様子や8ヶ月間の活動を通しての学びを報告します!

そもそも、クラダシチャレンジって何?という方はこちらをご覧ください!
【クラダシチャレンジについはこちら

今までの横浜クラチャレの様子もnoteに掲載しているので、ぜひお読みください!!

▼これまでの横浜クラチャレ参加者レポート
①概要
参加者レポート】「“農”のあるまち横浜」で社会貢献型インターンシップ「クラダシチャレンジ」を開催中!

②中間報告会
参加者レポート】学生発信!横浜市クラチャレ 中間報告会編

③マルシェ開催
参加者レポート】農業体験から販売へ 横浜市役所でマルシェを開催!~伝えたい、十菜十食~

 

■レポートを書いた人(クラチャレ参加学生)

池田 裕太郎、宇佐美 大輔、犬童 一裕、金子 愛奈、志村 幹太、宮坂 悠一郎、鈴木 大智、杉山 志穂里、柴田 夕奈、福島 明日夏、川原 紀春

■クラダシチャレンジ in 横浜市の概要

ここで改めて、横浜クラチャレの概要をご説明いたします。
横浜クラチャレは、横浜市内の大学に通う学生が、市内生産者の協力を得て野菜の生産・販売・流通を体験し、食品ロスや地産地消に貢献するアクションを考えて実行するプログラムです。

2022年の2月から9月にかけてクラチャレ初の長期開催となり、12名の学生で活動してきました。横浜市内の3農家さん(矢野さん、土井さん、藤又さん)にお世話になり、隔週での農作業に加え、4月の横浜市役所での意見交換会、6月の中間報告会、8月の横浜市役所でのマルシェ、10月の最終報告会など、活動を通しての学びのアウトプットも積極的に行っています。

横浜意見交換会

横浜市役所での意見交換会(4月)

 

横浜マルシェマルシェでの販売の様子(8月)

 

まずは、クラチャレ後半のそれぞれの農家さんでの活動内容をご紹介します!

 

■6月以降の活動内容・スケジュール

<矢野さん班>

矢野さん班のある日の活動内容
  10:00~12:00 畑のシート貼り
  12:00~12:45 昼休憩
  12:45~13:30 イベント設営
  13:30~15:00 ジャガイモの植え付けイベント
  15:00~16:00 サツマイモの収穫イベント

矢野さん班サツマイモ

サツマイモ収穫の様子

矢野さん班さつまいも写真

立派なサツマイモ!

矢野さん班の活動では、畑の整備のようないわゆる農作業のほかに、矢野さんの畑ならではのイベント型農業も体験しました。
私たちが活動した日のイベントは4家族が参加し、イモの植え付けやサツマイモ収穫などを行いました。子どもたちが目をキラキラさせながら取り組んでいるのがとても印象的でした。

矢野さんは、イベント型農業では野菜の収穫や植え付けといった実体験を通して、生活の知恵や持続可能な農業などの情報を共有されており、日本の農業を次世代へ紡いでいくための消費者教育を意識されているように感じました。実際にイベントを手伝って、参加者の方々が矢野さんの話を真剣に聞く姿や収穫した野菜を大事そうに持ち帰る姿が印象的で、野菜や環境に対する消費者意識の改革手段(結果的に食品ロスの削減につながるもの)として、イベント型農業の有効性を実感しました。
イベント以外の活動でも、昼休憩には毎回ディスカッションの時間を設けていただき、農業から人生の話題まで実りのあるお話を沢山させていただきました。クラチャレに参加したことで、農業・環境のことはもちろん、日々の生活や自分の将来などについても考えを深めることができ、非常に貴重な時間となりました。

<土井さん班>

土井さん班のある日の活動内容
  10:00~12:00 竹林整備
  12:00~13:00 休憩・昼食
  13:00~15:00 アロエの植え付け
  15:00~16:00 片付け・活動の振り返り

土井さん班竹林

暑い夏も竹林の中は涼しいです

 

矢野さん班竹林竹林整備の様子 

土井さん班での活動は、ヤーコンやタケノコの収穫などの他、竹林の整備や、竹を使って屋根やお箸などの小物を作るなど、農業にはとらわれない活動も広く行いました。昼食をみんなで作ったこともあります。

土井さんのところでの活動は新たな発見の連続でした。例えば、土井さんがやっていらっしゃる「自然農法」という農法についてです。先述した通り、他の農家さんと比べて、土井さん班ではいわゆる農作業の活動が多くはありませんでした。水も肥料も与えず、自然のサイクルの中で野菜が育つというのは、今まで抱いてきた農業のイメージとはかけ離れていました。それでも、土井さんはわたしたちに自然農法のシステムを分かりやすく詳しく説明してくださり、そのおかげで活動がより納得できる、また楽しいものになったと思います。
また活動中、農業に関する話題だけでなく土井さんが考える人生に関してのお話をはじめとして、様々なことを語り合いました。土井さん班での活動では、「とことん考えること」「自分と向き合うこと」の大切さも学べたと思います。クラチャレ参加当初では想像できなかった活動の幅の広さに、実りも大きいものになったと実感しています。

<藤又さん班>

藤又さん斑のある日の活動内容
  10:00~12:00 オクラの収穫
  12:00~13:00 お昼休憩
  13:00~13:30 さつま芋の収穫
  13:30~15:00 玉ねぎ&キャベツの種まき
  15:00~16:00 片付け/活動の振り返り

藤又さん班 トマト

そのまま食べても美味しいトマト!

 

藤又さん班オクラ

収穫した立派なオクラ

 

藤又さんの畑では、夏は収穫のオンパレード!さまざまな夏野菜を収穫することができました。オクラは生育速度が早く、2週間後に伺うととても背丈が高くなっていたのが印象的でした。また収穫が遅れると規格外になってしまうということも学びました。

藤又さんの畑では、玉ねぎやキャベツの種蒔き、オクラ、サツマイモ、ミニトマトなどの収穫、梱包など、様々な体験をすることができ、種蒔き、収穫、梱包と流通されるまでの過程を一通り体験できました。
農作業を通じて、農業には見えない所での苦労が数多くあることを身をもって感じました。農業と聞くと収穫することばかり想像してしまいますが、実際は種蒔きや畑を耕すことなど、多くの作業を経て収穫へと繋がっていることを改めて実感しました。
農作業は夏は暑く、冬は寒い屋外での作業がほとんどです。そのため、農作業中は体調管理を徹底しながら、多くの作業をこなしていることを多くの方に知ってほしいと思います。
また、藤又さんは、「稼げる農業」を目指されており、作業中も費用対効果、時間対効果などを意識しながら、働かれていることが印象的だったとともに、自分自身もそのような時間とお金についての意識を高めるきっかけとなる貴重な経験になりました。

■最終報告会について

10月5日(水)に目黒にあるクラダシのオフィスで、クラチャレin横浜市と、9月12日~18日に開催されたクラチャレin和歌山県すさみ町の事後報告会を行いました。(すさみ町クラチャレの事後報告会については最後にご紹介します!)

横浜最終報告会

最終報告会の様子

クラチャレに参加した学生だけではなく、すさみ町の方々、横浜市役所の職員さんや、クラチャレの活動でお世話になっている農家さん、クラダシの社員さんにもご参加いただききました。

 

■私たちが考える横浜市の課題

横浜市が出している情報では約86,000トンもの食品ロスが、家庭から出される燃えるゴミに含まれており、市民一人当たり年間約23キロになる量になります。
これは事業者側から出るロスとほぼ同じくらいの量であり、横浜市に限らず1人1人の意識の問題でもあります。

横浜市の課題

参照:横浜市HP「2021年度(令和3年度)の食品ロス発生量」


また、食品ロス削減のためのリーフレットやパンフレットなどの啓発資料の作成もしていますが、特効薬となる取組みが現在のところあまりありません。
1人1人の意識を変えていき、各家庭での取組、外食の際の心掛けによって食品ロスを減らして行く取り組みが必要であると考えました。

 

■私たちが提案する解決策

上記の課題に対し、実際に農業体験をしてきた私たちは農業を多くの人に体験してもらうことが大切であると考え、「会員制クラダシ農業クラブの発足」を提案しました。 

横浜最終課題

ポイントとしては、横浜市というアクセスのしやすさや、友人や家族と参加することができ、採れたての野菜も持って帰ることができることなどが挙げられます。

フードロスの削減という面では、農業体験を通して野菜を育てる大変さを学ぶことや、様々な農家さんや会員同士の出会いなどによって意識が変わり、食について考えて行動が変わっていくことで貢献ができると考えます。

そして、クラダシユーザー層の多くは野菜のロスに興味・関心を持っていることからも会 員を獲得できるのではないかと考えて上記のような政策立案につながりました。

横浜最終報告会

家族での参加を希望する場合も考えて、子ども用のジュニア会員制度も設けることによって子どもの食育促進にもつながります。

期待できる効果としては以下の通りです。

・農家さんにとっての定期的な収入が見込める
・農業を身近に感じてもらえる(都市農業)
・農家さんにとっては人手になる
・予約プラン制による自由度の高さ
・子ども用の会員制度を設けることで家族での参加による食育促進
・地産地消促進にもつながる
・生産現場での体験によって食べ物に対して改めて考えてもらう(フードロス削減)

余談ですが、今回の提案をする上で農業体験のアンケートをとったところ、参加したいと回答した人が想像以上にいました。是非もっと気軽に農業体験ができる機会が増えればいいなと思いました。

■クラチャレ㏌横浜での8ヵ月の学びや感想

今回は参加学生のうち3名を抜粋して紹介します!

「クラチャレに参加してよかった」この一言につきます。
農作業を通じて農家さんの思いや考え方、食品ロスに関する知識など、普段の学生生活では体験することのできない貴重な時間となりました。
そして、自分の足を動かして学んできたからこそ、食品ロスや農業をする上での問題点などを、自分ごととして考えることができるようになりました。
また、普段の私生活でも食品ロスなど環境問題に対してアンテナを貼ることができるなど、「意識が変わることで行動が変わる」ことを強く実感いたしました。
様々な知識や体験を提供してくださった、矢野さん、土井さん、藤又さん、本当にありがとうございました。(関東学院大学4年 宇佐美 大輔 )

横浜の意外な一面を知ることができ、地元横浜の農業をもっと応援したい!と思えるようになりました。というのも、私は生まれも育ちも神奈川県横浜市ですが、自分の近所には目立った田園風景はなく住宅地やビル群のイメージが強かったので、横浜に農業のイメージは一切ありませんでした。だからこそ、都市部に突然現れる大小様々な農園や都市農業に従事されている若い農家さんの存在には驚きました。各々で自由な農業スタイルを実践し生計を立てていらっしゃる様子は、大都会である横浜市でも農業で生活できるという証明であり、農業が活気づいてきているように思えました。
またこのインターンに際してクラダシの社員さんや市の職員さん、地域の農作物専門コンシェルジュさん達と意見交換をしたことも、自分の視野を広げることができてとても意味のある経験だったと感じております。
このインターンを通して、食品、特に野菜に関する知識や考え方や、都市農業の実態、フードロスに関する実情など、様々な学びを得ることができました。今後もクラダシさんと関わったり、他の知人などにこの考え・経験を広めていったりするとともに、消費活動など日々の生活から横浜の農業を応援していきたいです。(関東学院大学3年 宮坂 悠一郎) 

私は 今回のクラチャレ参加で、食品ロスに関してたくさんの学びを得ることができました。
まず、そもそも食品ロスはなぜ問題なのかについてです。食品ロスの解決すべき理由を「食べられる食品が捨てられるのがもったいないから」だと考えている人は多いと思います。しかし食品ロスの問題点はそれだけではありません。食品は水分を多く含んでおり、焼却には大量の燃料を必要とします。つまり食品ロスが放置されると、不要な食品を燃やすために、貴重で有限な燃料が大量に使用され続けることになります。この「燃料のロス」も食品ロスの大きな問題です。私はこのことを農家さんから伺い、食品ロスがエネルギーの持続可能性とも関係していることに大変驚きました。
また食品ロスの原因についても学びました。農業を体験すると、規格外野菜のほとんどは肥料として利用されており、生産過程で生まれる食品ロスはほぼないように感じがちです。しかし私は、生産過程での食品ロスも存在すると考えています。なぜなら、農家さんから「規格外野菜はほとんどなくても、生産調整で廃棄される野菜は大量にある」というお話を聞いたからです。生産調整で廃棄される野菜を減らすには、生産者が野菜の生産量を減らす必要があります。しかしそのためには、生産者の収入を安定させる為の支援が必要です。この事実を知り、私は、食品ロスは生産者と消費者だけでは解決できないのではないかと考えるようになりました。
これらの学びは、生産者と直接関わることができたからこそ得られたものです。またクラチャレ参加は、「食品ロス」という一つのテーマを環境や政治など様々な視点から考える良いきっかけになりました。今回の学びをもとに、食品ロスだけでなく様々な社会問題について考え、解決策を見出せるように頑張りたいと思います。(明治大学3年 福島 明日夏)

■すさみクラチャレについて

最後に横浜市の最終報告会と一緒に行われた、すさみクラチャレの事後報告会についてもご紹介します!
和歌山県すさみ町は農林漁業と観光を主要産業としている町です。
伝統漁法であるケンケン漁が盛んで、カツオ、ヨコワ、ブリ等が水揚げされています。
クラチャレ参加者は主に、漁業体験や道の駅での商品販売などを行いました。

 

すさみの様子

漁での様子

また、事後報告会ではすさみクラチャレでの学びや、「魚の市場価値を高める」ために、学生が考案した政策立案などが共有されました。

詳しくはすさみクラチャレのnoteをご覧ください!
【すさみクラチャレのnote

■最後に

改めて、横浜市クラダシチャレンジを開催するにあたりご協力いただきました、横浜市役所の皆様、農家さん、その他多くの皆様、本当にありがとうございました。
8ヶ月間の活動を通して、貴重な経験を積むことができ、たくさんの学びを得ることができました。
この経験を今後の生活でも生かせるよう、引き続き頑張っていきたいと思います。
また、クラダシチャレンジは今後も全国様々な地域で開催予定です。クラチャレ公式InstagramやFacebookグループにて、優先的にご案内するため、是非以下をフォロー&グループへのご参加をお願いいたします!

▼クラチャレ公式Instagram
https://www.instagram.com/kuradashi_challenge/

▼応募者限定Facebookグループ
www.facebook.com/groups/kuradashistudent/

※ 横浜市とクラダシの連携について
クラダシと横浜市は、2020年2月に横浜市内の食品ロス削減とフードバンク活動支援に取り組むため、公民連携の覚書を締結しました。
この連携は「環境白書」にも取り上げられています。

クラダシスライド

出典:『令和2年環境白書』p.95

くらだしマガジン編集部

くらだしマガジン編集部

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