食品ロスの現状を日本・世界で比較。個人でできる対策も解説

食品ロスの現状を日本・世界で比較。個人でできる対策も解説

食品ロスは世界における深刻な課題であり、単純に食べ物が無駄になることだけでなく、環境破壊や人口増加にともなう飢餓の加速など、さまざまな問題をはらんでいます。

本記事では食品ロスの概要や、世界と日本の現状、消費者が個人でもできる食品ロス対策などを解説します。また良い商品を安く購入でき、社会貢献にもつながる方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

食品ロスについて

食品ロスの現状を深掘りする前に、まずは概要として食品ロスが発生する原因や問題点、SDGsとの関連性を見てみましょう。

食品ロスが発生する原因

食品ロスは家庭や飲食店、小売店などで日々発生しています。主な原因としては、規格外や3分の1ルール、季節商品、賞味期限切れの加工食品、小売店での廃棄、飲食店・家庭での食べ残しなどが挙げられます。


小売店では、味や品質に問題がないにも関わらず捨てられる規格外の商品や、クリスマスケーキ・恵方巻きといったイベントに関する商品が、時期を過ぎることで廃棄されるケースなどが代表的です。


また、古い商慣習として製造日から賞味期限までの期間を3等分し、製造から最初の3分の1を超えると賞味期限が残っていても返品・廃棄される3分の1ルールなども、一部の企業では未だ残っています。


ほかにも飲食店や家庭では、購入したものの使い切れなかった食材や食べ残しによる廃棄、調理時に野菜の皮を剥きすぎるといった、使えるはずの部分までも捨ててしまうケースなども食品ロスの主な原因です。

食品ロスの問題点

食品ロスが進むことによる問題点のひとつには、将来的に深刻な食糧危機につながる恐れがあります。


2022年の世界の人口は約80億人といわれていますが「世界人口推計」によると、2080年代には約104億人にのぼると予想されています。このまま食品ロスが続けば、増加した人口分の食料が足りず栄養不足で苦しむ人が増え、ますます貧困が進むでしょう。


また、大量の食品を廃棄するためには焼却処理をする必要があり、その際温室効果ガスが発生し、地球温暖化につながります。


また、焼却して出た灰を処分する最終処分場を新設するためには海や森林を開拓しなければならず、環境破壊が進んでしまうことも問題です。


このように、食品ロスが進むことは単純に食料が無駄になるだけでなく、あらゆる問題につながります。

食品ロスへの課題はSDGsの目標にも含まれている

食品ロスの削減は、SDGsへの取り組みにも含まれています。SDGs(Sustainable Development Goals)とは、持続可能な世界を目指すための国際的な目標のことです。SDGsには17のゴール(目標)と169のターゲット(達成基準)があり、そのなかで食品ロスは主に目標2「飢餓をゼロに」、目標12「つくる責任 つかう責任」に関連しています。


特に目標12には「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の1人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」というターゲット(12-3)が含まれています。


食品ロスをなくすためには、飲食店や小売店だけでなく個人それぞれが前向きに取り組み、自治体やNPO法人なども巻き込んだ多方面からのアプローチが必要です。

日本・世界の食品ロスの現状

日本・世界のフードロスの現状

本項では日本・世界全体の食品ロスの現状をそれぞれお伝えします。また、日本が実施している取り組みについても見てみましょう。

日本で発生している食品ロスの現状

農林水産省・環境省の推計によると、日本で廃棄されている食品ロスの量は年間522万tとのデータがあります。これは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食糧支援量(年間約420万t)の1.2倍に相当します。


さらに日本の年間廃棄量を人口で割ると、1人当たりお茶碗1杯分(約113g)の食料を毎日捨てている計算になります。日本は食料の自給率が低く、全体の62%を輸入に頼っているにも関わらず、大量の食料を廃棄していることは大きな問題といえるでしょう。

世界における食品ロスの現状

FAO(国際連合食糧農業機関)によると、世界での食料廃棄量は年間約13億tといわれており、これは世界中で生産される食料全体の3分の1にあたります。


また、世界では9人に1人が飢餓で苦しんでおり、必要な人に食料が行き渡らずに捨てられていることを意味します。前述の通り今後も世界の人口が増えることが予想されるなかで、このまま食品ロスが進めば状況はますます悪化すると考えられるでしょう。


発展途上国でも食品ロスは発生していますが、生産した食材が技術不足で収穫できないケースや、保存設備・流通環境・加工施設などが整っておらず市場に出回る前に腐らせてしまうなど、原因は先進国と異なります。


くわえて世界の現状としては、食料廃棄物をビジネスとする動きが高まっていることも特徴的です。例えば、ヨーロッパ諸国では廃棄処分の対象となった食品専門のスーパーマーケットや、廃棄予定の食材を活用したレストランなどが増えています。日本も含め、こういった動きは今後いっそう求められるでしょう。

食品ロス削減に関する日本の目標

日本においては、2030年までに2000年時の廃棄量の半分以下に減らすことを目標としています。国や自治体の具体的な取り組みとしては、企業への商慣習の見直しを訴えたり、消費者に対する啓発として食べ残しの削減や賞味期限への正しい理解を促したりといったものが代表的です。


また国や自治体だけでなく、食品ロス削減を目指して、規格外の食材や廃棄予定の食品を割安で販売するような企業も徐々に増えています。そういったサービスを利用することは食品ロス削減に直接的に関われるだけでなく、消費者としての意思表示にもなります。今後そのような取り組みがますます活発になるためには、消費者が積極的にサービスを使うことも必要でしょう。

食品ロス削減を目指すための日本の法律

日本の法律

日本では、食品ロスを減らすための取り組みとして施行されている法律があります。本項では主な2つの法律を簡単に紹介します。

食品ロス削減推進法

食品ロス削減推進法(食品ロスの削減の推進に関する法律)は、まだ食べられる食品が廃棄されないよう方針を定めたものです。国や自治体、企業の責任、消費者の役割などを明らかにし、社会的な取り組みをまとめています。


また、主な施策としては以下が挙げられます。

  • 食品関連事業者の取り組みに対する支援
  • 食品ロスの削減に関して顕著な功績がある者に対する表彰
  • 理解・関心を深めるために毎年10月を食品ロス削減月間と制定
  • 消費者や事業者に対する教育・学習の振興、知識の普及・啓発
  • 食品ロスの実態調査や食品ロスの効果的な削減方法に関する調査研究 など

食品リサイクル法

食品リサイクル法(食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律)は、食品の売れ残りや食べ残し、製造過程に発生する廃棄物を減らし、最終的な処分量を減少させることが目的です。


さらには食料廃棄物を飼料や肥料などの原材料としてリサイクルするために、食品関連事業者への再生利用を促進することも目指しています。


具体的な国としての取り組みは、以下の通りです。

  • 再生利用すべき量的目標を業種別に設定
  • 再生利用を促進するための資金の確保や情報収集、広報活動
  • 再生利用が著しく不十分な事業者に対する勧告・公表・命令 など

食品ロスを削減するためにできること

食品ロス削減に向けてできること

個人ができる範囲で食品ロスを削減するために気をつけたいことやできることを、買い物・調理時など、状況別に解説します。

買い物時にできること

買い物の際に重要なのは、必要以上に買いすぎないことです。そのためには買い物の前に家にある食材を確認し、使い切れる量のみ買うことを心がけましょう。事前に冷蔵庫内をスマートフォンのカメラで撮影しておくのも効果的です。


また、すぐに使う食材の場合は手前の商品から取るようにしたり、見切り品を活用したりすることも、食品ロス削減につながります。くわえて、規格外や食品ロス予定の商品を割安で販売しているサービスもあるので、活用するのも良いでしょう。

調理のときに注意すること

調理の際には期限が迫っている食材から使い、食べ切れる量を作ることを心がけましょう。家にある食材は計画的に使い切り、食材の食べられる部分はできるだけ無駄にしないようにすることも重要です。


食卓に並べる料理は無理せず食べ切れる量を心がけ、食べ切れなかったものは翌日リメイクするといった工夫をすると、飽きずに食べられるでしょう。

保存の際に意識したいこと

食材にはそれぞれ適した保存方法があるため、食材を長もちさせるためにも正しい方法を調べ、把握するようにしましょう。


例えば、根菜類のなかでもさつまいもや生姜などは、室内での常温保存が適しています。また、キャベツやレタスなどは乾燥させないよう、新聞紙に包んでビニール袋に入れて冷蔵庫で保存するのが良いとされています。


また、使いきれない食材は下処理をして冷凍する、冷蔵庫には期限が迫っているものを手前から置いて使い忘れを防ぐ、などの工夫も大切です。

外食で気をつけること

外食時には注文のしすぎに注意する、食べ残してしまった場合には店側に確認して可能であれば持ち帰る、といったことを意識しましょう。また、食品ロス対策に積極的な店舗を選ぶだけでも、少なからず食品ロスを削減できます。


くわえて、宴会では食べ残しが出やすいため、食べ切るよう呼びかけることも重要です。乾杯後の30分と終了前の10分間は席について料理を楽しむ「3010運動」という取り組みも推奨されています。

食品ロスを家庭から減らすために

食品ロスは世界全体の課題であり、今後も持続可能な状態を目指すためには避けられない問題です。日本においても国や自治体を中心に食品ロス削減に取り組んでおり、個人でできる対策も多数あります。


まずは買い物や調理時に気軽にできることから、始めてみると良いでしょう。特に、規格外の商品や3分の1ルールなどにより廃棄予定となっている商品は、専門に扱うサービスを活用することで割安で購入できるため、食品ロス削減に興味がある方にはおすすめです。


お得に買い物を楽しめるKuradashiは、まだ食べられるにもかかわらず捨てられてしまう可能性がある商品を通常よりもお得に購入できるサービスです。また、購入金額の一部が環境保護や災害支援などを行う社会貢献団体に寄付されるため、食品ロス削減と同時にほかの社会貢献にもつながります。

 

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くらだしマガジン編集部

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