和食に欠かせない味噌汁。「味噌汁は塩分が高い」とマイナスイメージを持っている人もいますが、実際には味噌汁に含まれる塩分はそれほど多くなく、むしろ毎日飲むことで健康にうれしいメリットがあると言われています。
とはいえ、味噌やだしの種類によって味わいも異なり、どんな味噌を使ったらいいのか悩みますよね。またシンプルだからこそおいしく作るにはどうすればいいのか気になる人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、味噌汁の持つ魅力や味噌の選び方、そしておいしい味噌汁の作り方をご紹介します。だしの取り方なども説明しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
健康効果抜群!味噌汁のメリット
味噌と野菜を使った味噌汁は、シンプルだけど栄養満点な一品。味噌の原料となる大豆には良質なたんぱく質や食物繊維のほか、下記のような栄養素が含まれています。
- ビタミンE:抗酸化作用のある栄養素
- サポニン:血清コレステロールの上昇をおだやかにする栄養素
- コリン:アルコールを体外へ促す働きのある栄養素
加えて醸成の過程ではビタミン類やアミノ酸、ミネラルなどがつくられます。
このように、味噌には豊富な栄養が含まれており、腸内環境を整えたり美肌に欠かせない栄養を補えたりと健康にうれしい効果が期待できます。
「味噌は医者いらず」のことわざがあるように、昔から味噌が健康に与える影響は大きく、積極的に食事に取り入れたい一品なんです。
「味噌汁=塩分量が多い」は間違い
味噌汁は塩分が気になって、あまり飲まないようにしているという方も多いのではないでしょうか。味噌を作るためには味噌全体の5~15%の塩が必要になるため、大量の塩を摂取しているように感じますよね。
しかし、味噌汁は味噌を多量の湯に溶かして使うので、塩分濃度はかなり下がっています。そのため、基本的に1日3食取り入れても問題ないと考えられています。
たとえば味噌汁1杯でみると、含まれる塩分はたったの1.5gほど。カレーライス1人前の塩分が3.3g、塩鮭1切れの塩分が3.5gであることに比べると、決して多くはありません。
塩分量が気になる場合は具材にこだわろう
どうしても塩分が気になる場合には、カリウムを含んだ具材を多く使った味噌汁がおすすめです。
カリウムはミネラルの一種で、塩分を体内吸収をおだやかにする役割があります。
カリウムが豊富に含まれている食材は、藻類・いも類・豆類など。なかでも乾燥わかめや切り干し大根には食物繊維も多く含まれています。
具だくさんにした味噌汁ならば栄養価も高くなり、より塩分を気にせずに食べられるでしょう。
おいしい味噌汁の作り方
おいしい味噌汁を作るには、食感・風味・色の違う具材を組み合わせるのがおすすめです。たとえば豆腐と野菜といったように異なる分類の食材を組み合わせると、見た目も味も良い味噌汁を作れます。
味噌汁に入れる味噌の量は、1人前の場合だし汁200mlに対して大さじ1杯ほどが目安になります。大量に作る場合、単に味噌やだしを人数分増やしてしまうと味が濃くなる場合があるので、味を見ながら少しずつ加えましょう。
味噌汁の基本的な作り方は次の通りです。
1. だし汁が沸騰し具材に火が通ったら、一旦火を止めて味噌を溶かし入れます。
2. 味噌を入れた後は沸騰しない程度に温めたら完成です。
味噌汁を作るときは、具材を入れる順番や火を止めるタイミングを知っておくと、さらにおいしい味噌汁ができあがります。
おいしく作るポイント①具材は火が通りにくいものから
食材によって火が通る早さが異なります。具材を入れる順序を知っておくとさらにおいしく作れますよ。
基本的に根菜や芋類は火が通りにくいため最初に鍋に入れ、葉もの野菜などは火が通りやすいため沸騰してから入れます。「土の下にできる野菜は最初から、土の上にできる野菜は沸騰後」と覚えておきましょう。
崩れやすい豆腐や、香りを楽しむネギやみょうがなどは、煮立てずに火を消す直前に入れると、香りを逃さずに楽しめます。
おいしく作るポイント②火は沸騰直前に止める
味噌を溶いた後は煮えばなで火を止めると風味豊かに仕上がります。「煮えばな」とは調理に使う言葉で、水が煮立つ直前のことを指します。
沸騰直前で止める理由は、味噌の香りが際立つタイミングだから。味噌の香りは発酵過程で生成されるアルコールなどによって生まれていますが、アルコール成分は90℃以上になると揮発してしまいます。
沸騰させずに煮えばなで火を消せば、味噌の豊かな香りも楽しめますよ。
材料で味わいが変わる!味噌やだしの選び方
味噌汁は使う味噌やだしの種類によって味わいが変わります。そこで次は味噌やだしの種類と味の特徴を紹介しますので、味噌選びの参考にしてください。
ちなみに、味噌やだしは2種類を混ぜて使うと奥深い味わいに仕上がるので、お気に入りの配分を見つけてみてください。
味噌を選ぶときのポイント
味噌汁に使う味噌を選ぶときには、主原料・色・塩分量の3つのポイントをチェックして選びましょう。
味噌の色
味噌の色は主に3種類あり、白っぽい白味噌、濃い褐色の赤味噌、白と赤の中間の淡色味噌に分けられます。
色に違いが出るのは、製造の過程で「メイラード反応」が起こるため。メイラード反応とは味噌に含まれるアミノ酸と糖が反応し褐色に色づくことを指し、製法や原料によって反応の度合いが変わります。
一般的に、白みそは糖などを取り除いて短時間熟成させて作られます。一方、赤味噌は浸水させた豆を高温で蒸し煮た後、長期間醸造することで色がつきます。
ちなみに、地域によって色の分け方が変わります。たとえば関西で白味噌といえば白っぽいクリーム色の味噌を指しますが、関東では白と赤の中間の淡色味噌を指すこともあります。
味
味噌には甘口と辛口といった味の違いもありますよね。甘口と辛口の違いは塩分濃度によるもので、塩分が多いほど辛くなります。
また、味噌の甘みは大豆の量に対する米や麦の量によっても変わり、この比率は「麹歩合」と呼ばれています。
一般的には、大豆1に対し、麹8~10の割合の味噌が多い傾向にあります。塩分が同じ場合、麹の割合が高い味噌の方が甘いので覚えておくと便利ですよ。
だしの種類
だしはうまみ成分のある食品を煮出した汁のこと。味噌汁には欠かせない調味料で、だしの食材によって香りや栄養素が異なります。
味噌汁に使われる代表的なだしといえば、にぼし・昆布・かつおが挙げられます。この3種類のだしの特徴とだしの取り方を知っておきましょう。
にぼし
煮干しだしは酸味が弱く、魚の風味が強いのが特徴です。味噌汁の他にも、めんつゆや煮物にも向いています。
また煮干しに含まれるカルシウムやタンパク質、鉄などの栄養素は、だしがらにも残っています。軽く味付けして食べることもできますよ。
ちなみに、鮮度のよい魚を使用しているにぼしは腹側がくの字になっているので、購入の参考にしてください。
にぼしだし取り方
1. 煮干しの頭とワタを取り除きます。残っていると生臭さの原因になるので、きれいに取り除きましょう。
2. 鍋に水と水の重量の2%ほどのにぼしを入れ、30分以上置いた後、強火で沸騰させます。
3. 沸騰したら弱火にし、アクを取り除きながら5~10分煮ます。
4. ざるやキッチンペーパーでこせば、にぼしだしの完成です。
昆布
和食のだしとして使われることが多い昆布。昆布だしは控えめな味わいで、どんな具とも好相性です。味噌汁では、特に野菜や豆腐などの具材と好相性ですよ。
また昆布は産地によっていくつかの種類があり、味や風味に違いがあります。上品な味わいの昆布は、かつおや煮干しと合わせて使うと、より深いうまみが味わえます。
昆布だしの取り方
1. 鍋に水の重量の1%ほどの昆布を入れ30分以上浸しておくと、より濃いだしがとれます。昆布は5cm角に切ったものが約2gになるため、水400mlの場合は切った昆布2枚ほどが目安です。
2. 鍋を火にかけ、沸騰する直前で昆布を取り出します。沸騰させると昆布のねばりが出て風味が損なわれるので注意しましょう。
かつお
かつおだしは、燻したような香りと風味があり、しっかりとした味わいが特徴です。存在感のあるだしですが、さまざまな具材と相性が良く、味噌汁作りにも使いやすいですよ。
かつお節にはうまみ成分のイノシン酸、ビタミン、カリウム、カルシウム、リンなど骨や身体を作る栄養素が多く含まれているのも魅力の1つ。
ちなみに、かつおだしに含まれるイノシン酸は、昆布だしのグルタミン酸と組み合わせると、単体で使うより強いうまみが感じられると言われています。
かつおだしの取り方
1. 水の重量の3%ほどのかつお節を用意します。
2. 鍋の水を火にかけ、沸騰したら火を止めてかつお節を入れます。
3. 火を消したまま、かつお節が沈むまで1~2分置きます。
4. 付近やキッチンペーパーを敷いたざるでこすと完成です。
ざるに残ったかつお節をしぼるとえぐみが出るので、フライパンで調味してふりかけにするとおいしく使い切れますよ。
だし入り味噌なら家庭でも簡単!
栄養豊富でおいしい味噌汁。健康面でも嬉しいメリットがたくさんあるので、ぜひ毎日の食事に取り入れてみてくださいね。複数の味噌を常備してだしとの組み合わせを工夫すると、味噌汁作りがさらに楽しくなるはずです。
とはいえ、イチからだしを取って味噌汁を作る時間はない……という方がほとんどではないでしょうか。そんな時、だし入りの味噌なら簡単においしい味噌汁を作れます。Kuradashiではお得な価格でだし入り味噌を購入できるので、ぜひチェックしてみてくださいね。