食材や料理を包んだり、お皿や容器ごと包む食品用ラップ。日本では1960年代に登場し、電子レンジの普及とともに一般家庭で広く使われるようになりました。便利である反面、再利用が難しく、一度使うとゴミになってしまいます。脱プラスチックは持続可能な地球の実現に向けて解決すべき課題。そこで、「繰り返し使えるラップ」に注目が集まっています。
繰り返し使える「エコラップ」とは
エコラップとは、名前の通り環境にやさしいラップのことで、一度きりで捨ててしまうのではなく、洗って繰り返し使うことができます。プラスチックが原料ではないのが特徴で、「蜜蝋ラップ」や「シリコンラップ」が一般的です。
蜜蝋ラップは2008年にカナダの企業「Abeego」が商品化したことで注目を集め、Abeegoの商品は現在40ヶ国以上で取り扱われているようです。創業者は市場を開拓したと評価され、女性起業家に贈られる賞を受賞しています。
日本で話題となりはじめたのは2019年頃からで、SDGs推進の動きを受けて「エコラップ」市場は盛んになっています。Instagramで「エコラップ」とタグ付けされた投稿は2万件を超え、Amazonや楽天市場でも1000件以上を超える商品が販売されていることから、注目度が高まっていることがわかります。
主なエコラップの種類
「シリコンラップ」と「蜜蝋ラップ」の2つに分けられるエコラップ。それぞれの特徴を紹介します。
- シリコンラップ
シリコンラップは密閉性が高く、耐熱性が高いことが特徴です。容器にかぶせて保存していた状態のまま電子レンジで温めることができ、プラスチック製ラップと同じ使い方ができます。また、数種類のサイズが用意されていることが一般的なので、容器の大きさに応じて使い分けることもできます。商品を選ぶ際には、衛生検査をクリアしているシリコン素材かどうか確認することをおすすめします。
- 蜜蝋ラップ
コットン布地に、蜜蝋やホホバオイルなど天然樹脂を染み込ませて作られている、100%自然由来のラップです。容器の蓋として使えるのはもちろん、切った野菜を直接包むことができます。蜜蝋のもつ保湿性と抗菌性のおかげで鮮度が長持ちすると言われています。蜜蝋の特性上、電子レンジに入れて使ったり生肉や生魚を包んだりはできません。
*参考:Amazon
お手入れ方法と耐用期間
繰り返し使うことができるエコラップですが、長持ちさせるためにはこまめにお手入れをすることが大切です。
- シリコンラップ
使用後は食器と同じように洗剤をつけて洗ってしっかり乾かしましょう。匂いや色がついてしまった場合は、重曹をつけたり、熱湯消毒をすることもできます。しっかりとお手入れをしていれば、耐用期間は5年以上と言われています。
*参考:Chicago Tribune
- 蜜蝋ラップ
中性洗剤をつけて洗い、タオルを干すように風通しの良いところで乾かしましょう。熱を与えると溶けてしまうため、温水は避け、常温または冷蔵庫で保管します。水洗いした時に、撥水せずに生地に水が染みるようになったら、使用期限の目安です。使用頻度にもよりますが、耐用年数は1年前後と言われています。
*参考:BEE’S WRAP
エコラップの選び方
使用目的に応じてエコラップを選ぶ上で確認しておくべきことを紹介します。
- 素材
電子レンジでの温めでも使いたい場合はシリコンラップがおすすめです。購入前に衛生検査をクリアしているかどうかを確認しましょう。身体にも安心な自然素材を使いたい場合は蜜蝋ラップがおすすめです。生分解性の素材なので、最終的には土に還すことができます。
- 形
主に容器の蓋として使い、保存から電子レンジ加熱まで使うことを想定する場合は、耐熱性の高いシリコンラップがおすすめです。直径6センチから最大直径20センチまで数種類のサイズ展開が一般的で、伸縮性も高いのでお家にある容器のほとんどに対応します。
主に切った野菜を包んだり、一時的に容器に蓋をする使い方を想定する場合は、自由自在に形が変えられる蜜蝋ラップがおすすめです。市販のサイズは15〜35センチの正方形タイプが一般的です。
蜜蝋ラップを手作りしてみよう
蜜蝋ラップは自宅でも簡単に作ることができます。
用意するもの
- 綿100%の布
- 蜜蝋ビーズワックス
- 天然オイル(ホホバオイルやココナッツオイル等)
- クッキングシート
- アイロン
アイロン台があればアイロン台を、なければ段ボールを敷いて、クッキングシートの上に布を重ねます。その上から、蜜蝋ビーズワックスとオイルを散らします。その上にクッキングシートを重ね、蜜蝋を溶かすようにゆっくりアイロンをかけます。布の色が変わり、蜜蝋が布全体に浸透したらクッキングシートを剥がし、乾かしたら完成です。
*出典:nunocoto fabric
エコラップを活用してキッチンから出るゴミを減らそう
プラスチックの量を減らすのは難しく思えるかもしれませんが、ラップの代用品としてエコラップが一般的となり、そのハードルはだんだんと低くなっています。繰り返し使えるラップを生活に取り入れれば、ゴミを減らすこともでき、節約にもつながります。ライフスタイルに合わせて、あなたにとって使い勝手のいいエコラップを選んでみてはいかがでしょうか。