地球にやさしいコスメを選ぼう 『サステナブルコスメアワード2021』からみる、私たちのコスメとの向き合い方とは?

地球にやさしいコスメを選ぼう 『サステナブルコスメアワード2021』からみる、私たちのコスメとの向き合い方とは?

環境問題・サステナビリティ・SDGsが日本でも少しずつ浸透してきているこの頃。コスメ業界でも、環境に配慮した取り組みが徐々に増えています。そうした世界的な流れから、「環境にやさしい製品を選んでいきたい」「日常からサステナブルを手軽に取り入れたい」と感じる人も多いのではないでしょうか。

今回は、年に1回開催されている「サステナブルコスメアワード」を通じて、日本のコスメブランドのサステナブルな取り組みを知り、消費者である私たちが今求められている「コスメとの向き合い方」とは何なのかを深掘りしていきます。

サステナブルコスメアワードとは

サステナブルコスメアワードとは、地球にも優しいライフスタイルを提案するアクティビストチームMOTHER EARTHが主催する「人にも地球にもやさしいコスメ」を表彰するアワードです。

「コスメ」という女性にとっては欠かせないライフスタイルこそ、持続可能なものであることが重要という考えから、コスメ業界のサステナビリティの推進を目的に開催されています。

*参考:サステナブルコスメアワード

自然や働く人の環境にもやさしいのがサステナブルコスメ

サステナブルコスメアワードでは、SDGs視点の評価基準をベースに、コスメ製品の成分をはじめ原料生産・製造・販売・流通・消費・廃棄といったあらゆるプロセスにおいて評価、審査を行います。同アワードは評価基準として7つのサステナブルな取り組みを例に挙げています。

  • 会社としての取り組み
    出産や育児、介護、高齢者雇用や障がい者雇用など、ダイバーシティ(多様性)を認め合い、全ての人が平等に働けるための環境づくりが目指されています。
  • 社会や地域との関わり
    地域の資源を活用したり、雇用を生み出したりするなど、社会や地域と連携した取り組みがなされていることも、持続可能な社会のためには重要な要素です。
  • 原材料の調達
    適正価格であるフェアトレードの原料や、オーガニックを扱うこと、生産農家との契約など、原料調達に人や環境の負荷がかかっていないかという視点も必要です。
  • 製造過程でのエネルギー対応
    再生可能エネルギーや自社発電システム、省エネなどに取り組むことで、製造時の環境への負担を大幅に削減することができます。
  • 水資源、自然資源の保護
    コスメを含む美容製品のほとんどは水を主要成分として作られているのが現状です。水の代わりに精油や果皮エキスを使用することで、水資源の保護につながります。
  • CO2対策
    CO2の排出量と吸収量を合わせて0にするカーボンニュートラルや、貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用へと転換するモーダルシフトなどの考え方もSDGsには欠かせない視点です。
  • 廃棄への取り組み
    容器をノープラスチックにすることや空き容器回収、包装の簡易化など、コスメ使用後の廃棄にも目を向けることが大切です。

このように「サステナブルコスメ」は、単に原料やパッケージに配慮するだけではなく、働く人の環境や地域社会への貢献も大切な要素のひとつです。人にも環境にもやさしいコスメづくりが、持続可能な社会の実現へと繋がっていくと期待されています。

*参考:サステナブルコスメアワ―ド|2021アワード概要VOGUE

受賞コスメのサステナブルな取り組み

サステナブルアワードで特に評価の高かったGOLD賞、SILVER賞、BRONZE賞をピックアップし、製品の開発ストーリーやサステナブルな視点において評価された点を紹介します。

GOLD賞 ヤエトコ|伊予柑しっとり石鹸(無茶々園)

 

  • 評価されたポイント
      • 廃棄される柑橘の果皮をアップサイクル
      • 原料はすべて自然由来のものを使用
      • 製造において農福連携の取り組みを行う

柑橘栽培が盛んな愛媛県西予市明浜町で生まれたコスメブランド「ヤエトコ」。収穫された柑橘は多くが青果として出荷されますが、一部ゴツゴツしていたり大きすぎたり小さすぎたりするなど、規格外のものは果汁として活用されます。しかし、搾汁後の果皮はそのまま破棄されてしまっているのが現状です。

無茶々園は、搾汁後の果皮から精油を抽出し、石鹸に活用することに成功しました。伊予柑しっとり石鹸は、廃棄される伊予柑の果皮からとれる精油と蒸留水が主な原料です。一般的には廃棄される果皮を精油としてアップサイクルし製品化。原料がすべて自然由来なので、水に流した後も微生物によって分解されやすく、環境にやさしい製品です。

また、製造を奈良県の社会福祉法人青葉会に依頼。雇用の創出を実現し、福祉と農業を連携させた取り組みが評価されました。

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*参考:製品部門:GOLD賞 無茶々園ヤエトコ伊予柑しっとり石鹸伊予柑しっとり石鹸|無茶々園

SILVER賞 BOTANICANON|Passion Fruit Lotion(株式会社 ボタニカルファクトリー)

 

  • 評価されたポイント
      • 地産地消で農家支援に貢献
      • 原料はすべて自然由来のものを使用
      • 容器もサトウキビや穀物由来で環境に配慮
      • 廃校を製造工場として再活用

鹿児島県南大隅町ではパッションフルーツが特産品です。その多くが出荷されるなか、一部は完熟不良、キズ、色あせ、シワなどにより出荷前に廃棄されてしまいます。その量は毎年1.5tほどにもなります。

ボタニカノンでは、廃棄予定のパッションフルーツを契約農家から買い取り、自社でエキスを抽出。「アップサイクル化粧品」として生まれ変わらせています。鹿児島県産パッションフルーツを丸ごと使用し、アルコールや合成界面活性剤、防腐剤などの化学物質は一切使用していないところも魅力です。

容器もサトウキビや穀物由来の「バイオマスポリエチレン原料」を100%使用したものを採用。環境に配慮した製品づくりにこだわっています。さらには、過疎地域で廃校予定だった鹿児島県の小学校を工場として再活用。地域の魅力を最大限に生かした製品づくりが評価されました。

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*参考:製品部門:SILVER賞 株式会社 ボタニカルファクトリー BOTANICANON Passion Fruit LotionBOTANICANON

BRONZE賞 SHIZOOJU|ホワイトエッセンスローション(美容薬理株式会社)

 

  • 評価されたポイント
      • 無農薬の赤紫蘇を使用
      • 地元農家と連携し地域活性化に取り組む
      • 有機JAS認定の自社農園で栽培
      • 赤紫蘇の機能性で特許を取得

地元福岡県芦屋町で育った赤紫蘇をコスメにするため、当時、無農薬で育てることが難しいと言われていた赤紫蘇を、提携農家の協力を得て無農薬で栽培することに成功。有機JAS認証を受けた自社農園、汚染物質を排出しない自社工場で製造されていることも評価されています。

また、赤紫蘇の機能性を大学と共同研究して特許を取得。高品質であるエビデンスをもって消費者に伝えたいとする姿勢も高評価のポイントとなりました。

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*参考:製品部門:BRONZE賞美容薬理株式会社SHIZOOJUシズージュ ホワイトエッセンスローションSHIZOOJU|シズージュ

BRONZE賞 FofO|ビーバーム カーブチー/月桃(フローモ)

 

  • 評価されたポイント
      • 沖縄の特産品を使用した地場産コスメ
      • 自社養蜂のこだわり
      • 省資源のパッケージを採用

沖縄特産のみかん「カーブチー」と、民間伝承的に伝わるハーブ「月桃」の2種類のラインナップがある天然バームです。

沖縄では栽培が難しいとされるオリーブを「なるべく沖縄産で」との想いから、農家の研究と努力により実らせることに成功。貴重な沖縄産オリーブオイルを使用しています。また、沖縄産みつろうを使用するために自社養蜂を行うこだわりも評価されました。外装は袋型ではなく、底面がない被せる形に。できるだけ省資源となるようサステナブルなものづくりに努めています。

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*参考:製品部門:BRONZE賞フローモFofOFofO ビーバーム カーブチー/ FofO ビーバーム 月桃Fofo|ビーバームカーブチーFofo|ビーバーム月桃

ここで、私たち消費者がサステナブルコスメを選択するために意識したい5つのポイントをまとめました。

  • 雇用支援など働く人に対する取り組みがされているか
  • 原材料や製造において地域資源を活用しているか
  • 廃棄される原材料のアップサイクルに貢献しているか
  • 水やCO2などの資源を削減し環境保全に取り組んでいるか
  • 包装紙、容器は環境に配慮したものか

この5つのポイントすべてに当てはまる製品を選ぶことは難しいかもしれませんが、ポイントのなかで一つでも共感できる、応援したいと思える製品を手に取ることが大切です。

*参考:持続可能な開発目標 活用ガイド(環境省)エコマーク事務局

サステナブルな取り組みを行う日本のコスメブランド

サステナブルコスメアワードを受賞したブランドのほかにも、サステナブルな取り組みを行っている日本のブランドは多数あります。

SHIRO

自然派スキンケアやコスメなど様々なアイテムを展開するSHIRO。使用される原料は、剪定後に捨てられてしまう枝葉や製造工程で生まれる副産物、規格外とされてしまうものを優先的に使用しています。

また、雇用創出にも力をいれており、沖縄産のタマヌの実は現地のシルバー人材センターと提携。シアバターはガーナの女性団体によって丁寧に作られ、直輸入を行っています。

*参考:SHIRO

アルジェラン(マツモトキヨシ)

ドラッグストア「マツモトキヨシ」の国産オーガニックコスメブランドです。国産の果皮や花、植物から採れた精油を使用。各製品のオーガニック原料を具体的に開示することや動物実験は実施しないことなど、独自のオーガニックコスメ基準を掲げています。

さらに、容器は植物を原料とした「バイオマスプラスチック」を使用することで、廃棄後も環境に配慮した取り組みを実践しています。

*参考:アルジェラン

amritara(アムリターラ)

2019年のコスメアワードで受賞歴のある国産オーガニックコスメブランド。九州にある自社農園をはじめ、休耕田などを利用したハーブ栽培などを行い、無農薬の原材料を使用しています。さらに、化粧品の容器やパッケージは、環境負荷の少ない資材を積極的に取り入れています。

*参考:アムリターラ

サステナブルコスメを日常に取り入れて

サステナブルコスメをみてみると、それぞれが独自の取り組みを行っており、地域の素材を生かした製品が数多く展開されています。

消費者である私たちが今求められていることは、今回ご紹介したコスメブランドやサステナブルな製品を選ぶ際のポイントを知り、人や環境にやさしいコスメを正しく選ぶ目をもつことではないでしょうか。

サステナブルコスメに真摯に向き合っているブランドをしっかりと見定め、製品の背景にあるストーリーに共感するものを選ぶことで、愛着も湧き長く使い続けることができるはずです。

環境のためのアクションがなかなか起こせないと思っている人も、ぜひコスメから、サステナブルな意識をもって選んでみませんか。

くらだしマガジン編集部

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