フードロスは“どこで”発生するの?いま知っておきたい基礎知識

フードロスは“どこで”発生するの?いま知っておきたい基礎知識

食品は多くの人の手を介して生産・製造され、生活者の手元に届けられます。日本で発生しているといわれている廃棄食品の量は年間600万トン。そのうち約55%が、生活者の手元に届くまでにフードロスになっていると言われています。フードロスという単語はもはや馴染みのあるものになりつつありますが、自分自身が食べずに捨てる以外に、“どこで”発生しているのか、基礎知識を解説します。

生産者・小売店のホスピタリティが裏目に フードロスの実情

世界的にも量り売りコーナーの面積が少なく、個包装商品が所狭しと丁寧に並べられている日本のコンビニエンスストアやスーパー。核家族化や単身世帯の増加によって「少人数でも扱いやすく」、そして新型コロナウイルスの影響を受けて「衛生面にも配慮を」と、小売店やメーカーは日々売り方の試行錯誤を推し進めています。

一方、生活者の使い勝手や安全性を重んじたがために、店頭に並ぶまでに「これはもう売れない」と判断されてしまい、廃棄となってしまう食品も。現在、日本国内で発生していると言われている廃棄食品の量は、年間で600万トン以上。そのうち約55%が、生活者の手元に届くまでにフードロスになっていると言われています。

生産・製造の現場で発生するフードロスについて

近年、「日本産」「日本製」というキーワードから、品質の高さを測る方も少なくないと思います。国内で生産・製造された食品を実際に販売するに至るには厳しい基準があり、その基準が日本で生まれた食品の高い品質を保証してきました。

一方で、「美味しく食べられるのに」店頭に並ばない食品が生まれてしまうことも。生産・製造の現場で発生してしまうフードロスについて、細かく見ていきましょう。

みんなと同じでないと売れない“規格外商品”

日本の店頭に並ぶ商品の大きな特徴として、そのほとんどが「同じような大きさ」「同じような形」「同じような見た目」であることが挙げられます。同じ価格で購入されていく商品なので、生産・製造の現場では不公平さが出ないように厳しい基準でサイズや見た目を管理されるため、中身は他と変わらず美味しいのですが、基準に満たない食品は“規格外商品”として廃棄されてしまうこともあります。

美味しくても売れない“原材料の取り違え”

たとえば、「ひじきの五目煮」の五目のひとつについて、こんにゃくとしいたけを取り違えてしまい、販売することができなくなってしまったという例も。こんにゃくを愛する方にとっては深刻ではあるものの、味はまったく変わりません。

それでも、「いつもと違う」内容となってしまったために、購入者の誤解を招かないように販売を控えるという判断をする場合もあります。製造メーカーも各社が細心の注意を払っているため滅多に起こることではありませんが、美味しいのに売ることができなくなってしまった食品について、廃棄されてしまうということが発生してしまいます。

▼こんにゃくとしいたけを入れ間違えた商品の例

 

高齢化による農業従事者不足で発生する“未収穫食品”

2022年現在、農業従事者の平均年齢は60歳を超えており、高齢化に伴う労働力・人手不足によって農作物の収穫作業が十分に進まず、未収穫食品がフードロスになってしまう事態も発生しています。
クラダシの収穫支援「クラダシチャレンジ」では学生を中心としたインターン生が収穫を手伝うことで、未収穫品をフードロスにせず、生活者に届けられるように取り組んでいます。

流通の現場で発生するフードロス

生産・製造の現場で基準を満たしても、流通の過程で発生した外傷などによって販売できなくなってしまうことも。事例と併せてご紹介します。

ワインやジュースなど瓶もので多発 “ラベルのキズ・よれ”

ワインを運搬する過程で発生しがちなラベルのキズやよれ。中身の品質には影響ないのですが、ラベルがよれているだけで販売することが難しくなってしまうということは、ワイン以外でも瓶に詰められたジュース、ジャムなどで頻繁に発生します。

  • 実例:「イタリアを満喫する 赤白ワインセット」750ml×6本

ポテトチップスなどスナック菓子に多い“油シミ”

美味しさには欠かせない油ですが、時間の経過と共に染み出てきてしまうことでパッケージが汚れて見えてしまい、販売されずにフードロスに繋がってしまいます。長年にわたってパッケージの改良も進められてきたものの、人類と油シミとの戦いはまだまだ続いているのが実情です。

  • 実例:ハンター「ポテトチップス ハニーバーベキュー風味」40g×24個

パッケージ変更

ブランドのイメージ変更や訴求内容の変更などによってパッケージが変更となる際に、旧パッケージの商品が売れなくなってしまうことがあります。また、季節やイベントによってパッケージデザインが変更になる商品についても、季節が終わると売り控えをされる傾向にあります。中身は同じでも、「なんとなく新しいもの」や季節を感じられるものが選ばれてしまうのです。

  • 実例:結わえる「北海道小豆の圧力釜炊き玄米」150g×60個

日本独自の販売ルール「3分の1ルール」

「3分の1ルール」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。国内の生産者と小売のあいだでは、生産・製造から賞味期間までの3分の1の期間に小売店舗に納品するというルールがあったのですが、実はこれ、法律ではなく日本独自の商慣習なのです。

日本だけでなく、各国でも似たような習慣はあるのですが、日本は特に納品可能な期間が短いとされてきました。そのため、賞味期限まで猶予があり、美味しく食べられるのに廃棄される食品が、海外と比べても多くなってしまいます。

社会みんなで取り組み始めている改善策

最近では、社会みんなでフードロスを減らすための取り組みとして、賞味期限の延長や、3分の1ルールの改善など、これまで当たり前とされてきた基準を見直す動きも活発化しています。もちろん、食の安全性や衛生面のためにも十分な管理は必要ですが、見た目の完璧さや使い勝手の便利さを求めすぎず、バランスを取っていくことが重要です。

生産者・製造者と消費者が一体となってフードロス削減に取り組もう

食品が手元に届くまでに関わる企業は、フードロスの削減に向けて様々な努力をしています。しかし、企業努力は実際に購入する生活者のみなさんの理解があってこそ。「美味しいのに捨てられてしまう」ちょっと切ない行く末に向かってしまう食品、見た目で判断せずに一度食べてみるのもいいですね。

くらだしマガジン編集部

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