今回は、日々の生活に取り入れやすいサステナブルな文房具を8つ集めました。 毎日使うものだからこそ、環境にやさしいアイテムを選びたい人におすすめです。また、環境にやさしいだけでなく小さなお子様が安心して使えるアイテムもご紹介します。
なぜサステナブルな活動が必要?
サステナブルとは「持続可能である」ということです。地球環境を守り、限られた資源を大切に利用することは、社会を支えるサステナブルな活動といえます。
経済成長や技術開発により、私たちの生活は豊かで便利なものになりました。しかし、それによって以下のようなさまざまな環境問題も発生し、地球環境は限界に達しつつあるといわれています。
- 廃棄物の増加
経済成長や人口増加により、世界における廃棄物の量は増大している。2050年における廃棄物発生量は、2020年の約2.3倍になると予測されている。
- 気候変動(地球温暖化など)
温室効果ガスである二酸化炭素排出量の増大が問題となっている。向こう数十年の間に温室効果ガスの排出が大幅に減少しない限り、世界の平均気温は21世紀中に2℃上昇するという予測がある。
- 海洋プラスチックごみの増加
海洋プラスチックごみとは、陸や川に捨てられて、最終的に海へ流れ込んでしまったごみのこと。毎年800〜1,200万トンものプラスチックが海へ放出されており、世界的な問題となっている。
特に、既存のプラスチック製品は自然界で分解されないため、環境負荷が高くなります。文房具では多くのプラスチックが使用されていることから、回収したプラスチックを積極的に再利用する取り組みも行われています。
全日本文具協会では、SDGsの17の目標である持続可能な生産消費、気候変動、海洋プラスチック問題などを重要課題として、それらの解決を目標としています。
*参考:環境白書、廃棄物工学研究所、気象庁(1)、気象庁(2)、パイロット、全日本文具協会
サステナブルな文房具6選をご紹介
家族の成長やライフスタイルの変化で、使う機会が減っていた文房具を改めて使うようになった方もいるのではないでしょうか。ここからは、環境にやさしいものを求めている方におすすめの文房具を6つご紹介します。
廃棄衣料のアップサイクル素材で作られたノートカバー(コクヨ)
文房具メーカーであるコクヨには、廃棄衣料のアップサイクル素材で作られたノートカバーがあります。アップサイクルとは、ごみとして廃棄されるはずだったものを、新しい価値あるものに生まれ変わらせることです(※詳しくはこちらの記事をご覧ください)。
本来なら捨てられるはずだった、古くなった衣服や製造過程で出た端切れなどが活用されています。ノートカバーは皮革に似た質感で、使えば使うほど風合いが変わるのが特徴です。カラーのラインナップは、廃棄されたデニム由来の紺色と、茶色系の衣料由来のブラウンの2色あります。
手にするたびにアップサイクル素材を身近に感じられ、環境問題を折にふれて考えるきっかけにもなりそうです。
びわ湖のヨシからできたエコノート(コクヨ)
コクヨ工業滋賀は、7月に滋賀県で開催される第39回全国高等学校総合文化祭「びわこ総文」の生徒実行委員会の高校生たちと共同開発した「リエデンカラーズ SHIGA」を7月28日に発売します。http://t.co/K6bZdR9Jrj pic.twitter.com/RqQIRX31Tj
— コクヨのぶんぐ (@kokuyo_st) July 15, 2015
コクヨには、びわ湖のヨシ(水辺にあるイネ科の草木)を中紙に使った、「リエデンカラーズ」というエコノートもあります。
滋賀県は1992年にヨシ群落保全条例を定め、「守る」「育てる」「活用する」の3本柱でヨシ群落の保全に取り組んできました。この取り組みのひとつとして生まれたのがリエデンカラーズです。コクヨグループの一員であるコクヨ工業滋賀によって開発されました。コクヨ工業滋賀は、2007年にリエデン・プロジェクトを発足して以来、びわ湖の環境保全意識を広める商品開発に取り組んでいます。
ヨシは手入れされることで盛夏に急速に生長し、空気中の二酸化炭素を吸収する効果があります。しかし、手入れによって刈り取られたヨシは、焼却処分されて無駄な二酸化炭素を排出していました。
リエデンカラーズは、この焼却処分されるはずだったヨシを活用して作られたものです。また、ノートの売上の一部はヨシの保全活動に寄付されるため、ヨシ活用のサイクルを回すことに貢献できます。
ミルクパックを使ったキャンパスノート(スターバックス)
スターバックスは、コクヨとのコラボにより、リサイクルされたミルクパックを使った「スターバックス キャンパスリングノート」を販売しています。
スターバックスは、2010年からミルクパックのリサイクル活動を続けており、その量は年間で約1,000トンにのぼります。ノートにはその一部が使われています。
ノートの中紙はシンプルな方眼罫で使い勝手がよく、ミルクパックが使用されている表紙と裏表紙のやわらかい風合いが印象的です。
海洋プラスチックごみをリサイクルしたボールペン(パイロット)
パイロットは、回収された海洋プラスチックごみのリサイクル材料を、国内で初めて筆記用具材として活用しました。それが「スーパーグリップG オーシャンプラスチック」というボールペンです。
ボディの一部に海洋プラスチック由来の再生樹脂が使われており、他の部分にもリサイクル材料が使用されているエコな商品です。また、グリップ感や書き味にも優れ、幅広い層から支持を得ています。
*参考:パイロット、パイロット・プレスリリース
ネスプレッソの使用済みカプセルから作られた筆記具(カランダッシュ)
使用済みのコーヒーカプセルから作られた筆記具は、スイスを代表する企業のネスプレッソとカランダッシュのコラボによって生み出されました。
ボールペン・フィックスペンシル・鉛筆のタイプがあり、中でも鉛筆は、FSC認証※を受けた木材からできているサステナブルなアイテムです。また、商品だけでなくパッケージにも、100%リサイクル可能な再生紙などが使われています。
※FSC認証は、環境、社会、経済のそれぞれを尊重し、木製品であることを見える化して消費者に届け、それにより経済的利益を生産者に還元する仕組みです。
*参考:カランダッシュ(1)、カランダッシュ(2)、FSCジャパン
森林認証の木材を使用したサステナブルでおしゃれなボールペン(ペノン)
ペノンのボールペンは、伐採した量以上の植林が約束されたPEFC認証(※国際的な森林認証制度)の木材から作られています。また、梱包にプラスチックが使用されていないため、製造時の二酸化炭素排出量の削減にも貢献しています。
さらに、替芯のパッケージは返信用封筒になっており、使い終わるとごみになってしまう替芯を無料で回収しリサイクルする仕組みです。
このようにとてもエコな商品ですが、デザイン性にも優れているのが特徴です。ボールペンのクリップ部分には「メガネ」や「ネクタイ」があしらわれており、ファッションアイテムとしても使えそうです。日常的に使うからこそ、見た目も気にしたい方におすすめします。
環境にも体にもやさしい子ども向け文房具2選をご紹介
ここからは、環境に対してだけでなく、小さなお子様がいる家庭にもおすすめな商品をご紹介します。
子どもが口に入れても安全なクレヨン(mizuiro)
mizuiro株式会社の「おやさいクレヨン」は、国産の米ぬかと野菜からできているクレヨンです。精米時に捨てられることもある米ぬかや、廃棄されるはずだった野菜の外葉が活用されており、環境にやさしい商品になっています。
おやさいクレヨンの最大の特長は、万が一、口に入れても安全な素材だけで作られていることです。そのため、小さなお子様でも安心して使えるでしょう。
クレヨンは全部で10色あり「ゆきにんじん」や「きゃべつ」といった、素材そのままの色が反映されています。自然のもので描く気分を味わえて、お絵描きの楽しさも倍増しそうです。
*参考:おやさいクレヨン
誤飲の心配がない針なしホッチキス(コクヨ)
コクヨから発売されているホッチキスの「ハリナックス」。ハリナックスの特徴は、針を使わないため、穴をあけずに紙をとじられることです。
針を使わないので経済的で環境にやさしく、誤飲の心配がないことから小さいお子様でも安全に使えます。お子様と一緒に紙工作などをする際も、安心して楽しめるでしょう。
*参考:コクヨ
環境にやさしい文房具を使ってみよう
今回ご紹介した文房具メーカーは、環境にやさしい素材や取り組みだけでなく、使用する人の安全にも配慮した商品開発を行っています。
普段使いするアイテムを使う理由や目的があると、愛着が湧き自然と物を大切に使うようになります。お子様と一緒に使う際などに、商品について説明してあげるとよいかもしれません。
最近、あまり文房具を使うことがなかった方も、この機会にサステナブルな文房具を使ってみてはいかがでしょうか。