プロの厨房で腕を振るうシェフたちに向け、長年ソースやスープを提供してきたキスコフーズ。
そんな業務用食品の専門メーカーが、消費者の食卓に届けるカレーを本気で開発しています。
その原点は、2023年に誕生した「シェフの賄い(まかない)カレー」。
社内シェフの発想から生まれた一皿をきっかけに、消費者に向けた商品の開発が静かに動き出しました。
そして2025年。
Kuradashiアンバサダーとの共創を経て誕生したのが、「フレンチシェフのこだわり欧風ビーフカレー」です。
“まかない”の創造性はそのままに、料理の基礎をベースに特別感を備えた、新たなキスコフーズの提案。
この一皿がどのように生まれ、どんな声を受けてかたちづくられたのか。
その舞台裏を、静かにひもときます。
編集部が密着した方
(山﨑:商品開発部で開発担当のシェフ)
(加藤:商品企画部で商品企画を担当)
(倉田:同じく商品企画部で企画担当、「フードコツ」クラダシインスタライブにて広告宣伝を担当)
業務用食品の専門メーカーとしてのこだわり
キスコフーズは、1979年の創業以来、外食産業などのプロの現場を支える業務用スープ・ソースの専門メーカーとして歩んできました。取引先の多くは、ホテルやレストラン、外食チェーン、セントラルキッチンなど。商品は「あなたのお店のセントラルキッチン」をコンセプトとして厨房に立つシェフへ提供。厨房での効率や味の安定性、アレンジのしやすさを追求しています。
現場では「使い勝手がよく、安心して使える味」が信頼の条件。素材の良さを引き出すために、仕込みの時間や手間を惜しまず、深い味わいに仕上げる工夫が込められています。火の入れ方による風味の変化、油脂の分離を防ぐ設計——すべてがプロの厨房でいかに使われるかを考え抜いた設計です。
食材の旨みをしっかりと引き出し、あくまで“料理を引き立てる”脇役として。派手ではなくとも、プロに選ばれ続けるものづくりが、キスコフーズのポリシーになっています。
そんな「プロの現場」で培ってきた技術と姿勢を、どうやって食卓に届けていくか——。そこから、新たなチャレンジが始まります。
土台となった「シェフの賄いカレー」の経験
2023年秋、キスコフーズが発売したカレーがあります。
その名も「シェフの賄いカレー」。
これは、シェフ経験もある商品開発者が社内試食会で、家庭で食べたいプロの味を “まかない”の発想とともに提案したところから生まれたものでした。
野菜の自然な甘みと、複数の豆、そして10種類以上のスパイスを掛け合わせたこのカレーは、食材を無駄にしない工夫からスタートしたもの。業務用から一歩、消費者向けに寄り添った温かみのある仕上がりが印象的でした。
こうして生まれたのが、消費者向け商品の土台となった「シェフの賄いカレー」だったのです。

このカレーは温かく受け入れられましたが、同時にキスコフーズに新しい気づきももたらしました。
「私たちの技術を、もっと身近に届けたい」
“まかない”という偶然の一皿が、消費者と向き合うための第一歩になったのです。
消費者と向き合う新たな方針
「シェフの賄いカレー」の販売をきっかけに、キスコフーズの中に静かな変化が生まれました。
プロの厨房で長く培ってきた味づくりを、もっと多くの人に、もっと身近なかたちで届けてみたい——。そんな声が、社内でも自然と聞かれるようになったのです。
そこで新たに掲げられたのが、「消費者の声を反映した商品をつくる」という方針でした。
これまでの業務用商品の開発とは異なり、食べる人の暮らしに寄り添った視点、食卓での“体験そのもの”を起点に設計を行う必要がありました。
その第一歩として取り組んだのが、Kuradashiとの連携によるアンバサダー試食の実施。
実際に商品を試食した方々から「もう少しスパイスを効かせてほしい」「贈り物としても映えるようなパッケージが良い」といった、具体的で生活に根ざした意見が多く寄せられました。

「風味を生かして、おいしい感動を食卓に」——
こうした声をもとに、キスコフーズは味の方向性からデザインまでイチから見直し、新しい商品開発へと踏み出します。
今回の新商品は、「シェフの賄いカレー」から派生した“欧風カレー”という“スタンダードながらより本格的なプロの味を提供する”新たな方向性を持ち、さらなる一歩を刻むことになります。
アンバサダーとつくる“打ち出し方”の再構築
味の方向性が固まりはじめた段階で、もうひとつ大きな課題が立ち上がってきました。
それは、どんな商品名で、どんなデザインでこのカレーを届けるかという、“打ち出し方”の設計です。

キスコフーズは今回、ネーミングやパッケージの開発にもアンバサダーの声を積極的に取り入れました。
食べた印象や届けたいイメージ、受け取ったときの印象まで──
さまざまな角度からヒントを集め、方向性を探っていきました。
試食者からは、「味が本格的で特別感がある」「贈り物としても喜ばれるレベル」「“まかない”という表現では少しカジュアルに感じる」といった声が届きました。
なかには「家庭で食べるにも、特別な時間に似合う雰囲気がほしい」という意見も。
そこで導き出されたのが、今回のネーミング「フレンチシェフのこだわり欧風ビーフカレー」です。

この名前には、2つの意図が込められています。
ひとつは、“プロの厨房の味”であることを明示するための「フレンチシェフ」。
そしてもうひとつは、今回の味が「欧風」であることを明確に伝えること。
“まかない”の特別感、魅力や自由な発想は受け継ぎながら、洗練された一皿として新たな立ち位置を築くためのネーミングに進化しました。
パッケージも黒を基調に、艶感があり、落ち着きのあるビジュアルを採用。
食卓で映えるだけでなく、冷凍庫の中でもひときわ存在感を放つ仕様に仕上げられました。
このように、「味」と「容姿」の両面から丁寧に組み立てられたことで、今回の新商品は、消費者向け商品でありながらキスコフーズらしい“プロ品質”の特別感をまとった一皿として完成に近づいていきます。
フレンチシェフの“発想”を、食卓の一皿に
このカレーの出発点は、もともと“まかない”でした。
まかないとは、レストランのシェフが限られた材料と時間で作り上げる、即興の創作料理。
その日の余りものや食材の端材で、驚くほど洗練された味が生まれることもあります。
キスコフーズのシェフたちも、日々の開発現場でその感覚を自然と磨いてきました。

今回の「フレンチシェフのこだわり欧風ビーフカレー」も、そんな発想と、完成度を高めるための“技術”が共存する一皿です。
コクや旨味は残しながら、脂っぽさや重たさを感じさせない絶妙な配合。
冷凍状態からの温めでも、しっかりと香りが立ち、味に奥行きがあるよう設計されています。
スパイスは「香る深さ」に重点を置き、口に入れた瞬間の香りと飲み込むときの深みで二度楽しめ、また食べたいと思わせるような余韻を残す工夫も施されました。
ベースに欧風のブイヨンを使うことで、味の基調はシンプルながら“ごちそう感”のある深みとコクに仕上がっています。
もともとプロの現場で培われた技術と、家庭での食卓にふさわしい華やかさ。 その“間”をつなぐようにして、このカレーは完成へと至りました。
「フレンチシェフのこだわり欧風ビーフカレー」できました
“まかない”から始まった挑戦が、プロの技術と消費者視点での意見を重ねながら、ついに一つの“完成形”にたどり着きました。
「フレンチシェフのこだわり欧風ビーフカレー」は、牛肉の旨味を活かしたベースに、香り高いスパイスと滑らかな口当たりを融合させた一品。
つくりたての様な風味、香りと深いコクが特長です。

カレーを盛り付けるだけで、食卓が少し豊かに感じられる。
がんばった日のご褒美にも、大切な人との時間にも、さまざまな場面でそっと寄り添います。
キスコフーズの新たな一歩を、ぜひご家庭で体験してみてください。
そして、このカレーを実際に味わった人たちの声は、こちらの記事にたっぷり詰まっています。


