■「クラチャレ」とは
「人手不足」と「フードロス」は、日本の地方が直面する深刻な課題です。日本では、年間約472万トン(令和4年度)の食品ロスが発生する一方で、地方では担い手不足により、収穫できずに廃棄される農作物が発生するいびつな状況が起こっています。この課題に立ち向かうべく、クラダシはクラダシ基金(※)を活用し、社会貢献型インターンシップ「クラダシチャレンジ(通称:クラチャレ)」を展開しています。全国各地の自治体と連携し、第一次産業の現場で、大学生が地域の方々と共に汗を流し、その貴重な経験から得た気づきを、具体的なソリューションとして提案していただくプログラムです。
※クラダシ基金とは:
クラダシ自らが社会貢献活動を行うために創設した基金で、「Kuradashi」における支援先の1つです。地方創生事業・フードバンク支援事業・教育事業・食のサステナビリティ研究会の社会貢献活動に充てられています。
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そんな社会貢献型インターンシップ「クラダシチャレンジ」の集大成として、クラチャレピッチアワード2025を開催いたしました。
■イベント趣旨
2025年6月からクラチャレを日本各地10か所で開催し、参加学生23名は6つのグループに分かれて現地活動をしてきました。
約1週間ほど地域に滞在し、農作物の収穫や水産物の加工などの現場での実務体験や、地域の方々との対話を通じて、その土地ならではの課題や可能性を学びました。
実際の経験から得た知識と感動をもとに、フードロスの削減やその地域の魅力を広め、関係人口を増やすための提案をまとめ、ピッチコンテスト形式で発表していただきました。
審査員・オーディエンスのみなさまからは
①親和性
②新規性・創造性
③展開性・成長性
④実現可能性
⑤熱量・共感度
の5つの観点から評価をいただき、「最も実施してみたい」と思う施策案を1グループ表彰いたしました。
■イベント概要
開催日時・会場
・日時:2025年11月28日(金) 13時00分~17時30分
・会場:ビジョンセンター東京駅前
(東京都中央区八重洲1-8-17 新槇町ビル7F)
審査員
・農林水産省 食品ロス・リサイクル対策室 室長 鈴木 学 氏
・環境省 環境再生・資源循環局 資源循環課 課長補佐 村井 辰太朗 氏
・株式会社デニーズジャパン 環境部会長/環境カウンセラー
mottECO普及コンソーシアム 代表 中上 冨之 氏
・積水ハウスホテルマネジメント株式会社
FF道の駅カンパニー 取締役 カンパニーCEO 岡本 勇治 氏
・愛媛県八幡浜市 政策推進課 徳田 翔士 氏
・株式会社クラダシ 代表取締役社長CEO 河村 晃平 氏
■当日の様子
当日は会場に65名、オンラインで54名、計119名にご参加いただきました。
オンライン配信のアーカイブ映像をYouTubeにて公開しています。
ピッチアワードの熱気あふれる様子を是非ご覧ください。
学生6グループが地域での実体験を基に考案した施策案を発表したのち質疑応答を行い、審査タイムを挟んで、審査員評価と参加者投票による優勝グループの発表・表彰が行われました。
各グループの提案内容は、以下のとおりです。
グループ① (沖縄県石垣市・島根県益田市)
施策名:農業ボラまっち
施策概要:クラダシのシステムを活用した農業ボランティアのマッチングシステム
グループ② (北海道仁木町・長野県松本市)
施策名:クラチャレ学生課"SLD"
施策概要:クラチャレ参加者を中心に地方創成の課題解決を目的としたクラダシ内の学生主体の部署の創設
グループ③ (鹿児島県喜界町・愛媛県伊予市)
施策名:〈未来を創る〉ふるさとyoUターン
施策概要:将来Uターンする可能性のある島内の学生向けに島の魅力を伝える・再発見してもらう授業
グループ④ (和歌山県すさみ町・新潟県新潟市)
施策名:地域に貢献!お悩み解決マップが繋ぐあなたのまちの未来は
施策概要:地域課題解決を促す「お悩み解決マップ」を軸に地域通貨と認定バッジで継続的な関係人口を育成
グループ⑤ (京都府京丹波町)
施策名:オフライン農業婚活
施策概要:地域のファン獲得と移住への動機付けを図る農業体験婚活プログラム
グループ⑥ (鹿児島県和泊町)
施策名:島人員制度(しまんちゅ in 生土)
施策概要:裁判員裁判制度をモデルとした、サプライズ感を与えるびっくり移住&農業体験プログラム
審査員の方からは、実施に向けたコストや競合との差別化、具体的な仕組みなど、日頃、地方創生や食に携わる方ならではの鋭い質問が投げかけられ、学生たちと活発な質疑応答が行われました。
審査の結果、審査員・オーディエンスのみなさまから選ばれた「最も実施してみたい」と思う施策案を発表した優勝グループは、グループ⑤(京都府京丹波町)の「オフライン農業婚活」でした。
①親和性:「体験地のファンを増やす」というゴールと施策との一貫性。
②実現可能性:数字的根拠に基づいた、実現可能性に対する客観的な納得感の醸成。
③実現可能:実体験に基づいた施策提案により、聞き手への共感性の向上。
上記3点が高く評価されました。
優勝グループには、積水ハウス様より「フェアフィールド・バイ・マリオット 道の駅ホテル ご宿泊券」を優勝賞品として贈呈いただきました。
■審査員からの総括コメント
・農林水産省 食品ロス・リサイクル対策室 室長
鈴木 学 氏
実際に様々な地域を巡り、その土地の状況を肌で感じているからこそ、単に食品ロスという大きなテーマだけでなく、地域固有の、様々な課題が深く見えてきたのだろうと感じました。
・環境省 環境再生・資源循環局 資源循環課 課長補佐
村井 辰太朗 氏
IT技術が発達している現代において、机上の論理ではなく、実際に体験されたからこそ見えてきた視点が、今回の発表の最大の魅力だと感じました。今後も、学生ならではの柔軟な発想を忘れることなく、活動を続けていかれることを期待しております。
・株式会社デニーズジャパン 環境部会長/環境カウンセラー
mottECO普及コンソーシアム 代表
中上 冨之 氏
今回、想定外のトラブルに対しても臨機応変に対応されていた点は、素晴らしいと感じました。これは、徹底した準備の賜物であり、その対応力も高く評価いたします。加えて、「クラダシチャレンジ」の仕組みは、非常に独創的かつ優れており、今後の展開に大いに期待しております。
・積水ハウスホテルマネジメント株式会社
FF道の駅カンパニー 取締役 カンパニーCEO
岡本 勇治 氏
昨年に引き続き審査員を務めておりますが、学生の皆様の発表レベルは年々高まっているように感じます。特に現実性という点で、企業が少しアレンジするだけで事業化が可能なレベルのアイデアも散見されました。今回の「クラチャレピッチアワード2025」のように、身近な地域の課題感について深く考える学生が増えることが、地域社会をより豊かにしていく大きな原動力になると期待しております。
・愛媛県八幡浜市 政策推進課
徳田 翔士 氏
八幡浜市では、今回のご提案内容に付随するような取り組みが多数行われており、私自身も関わっている事業が多いため、学生の皆様の深い調査力に感銘を受けました。これから皆様は多様なキャリアを歩まれることと思いますが、訪れた地域との接点が今後も途切れることなく続いていくことを心から願っております。
・株式会社クラダシ 代表取締役社長CEO
河村 晃平
2019年からクラダシチャレンジを行っておりますが、毎年、新たなアイデアが生まれており、大変興味深く感じています。今回発表された素晴らしいアイデアを、ぜひ今後の皆様のキャリアを通じて現実のものとして実行し、社会に貢献していっていただきたいと強く期待いたします。
■交流会の様子
発表会終了後には、自治体や関係者がブースを出展し、学生・関係者間の活発な交流が行われました。 各地域・企業・団体の取り組みや魅力が紹介され、和やかな雰囲気の中、各回のクラチャレやピッチアワードの提案についての会話など、関係者同士の情報交換も活発に行われました。
■振り返りと今後について
クラチャレ ピッチアワード2025では、若い世代が実体験を基に地域課題の解決に取り組むことで、次世代リーダーの成長を支援し、食に関わる一次産業や地域活性化について、参加者みんなで考える場となりました。
参加者からは、「学生の熱量やアイデアに触れることができて、非常に面白かった。」「多様な背景を持つ学生が、各活動で得た意見を知る貴重な場であった。また参加したい。」との声をいただきました。
クラダシは今後も、クラダシチャレンジを通じて地方創生とフードロス削減の両立を目指し、より多くの若者たちが地域の未来を共に描いていける場を創出していきます。
来年もさらに多くの学生や地域、企業が参加し、より大きく社会に貢献できるよう、クラチャレの活動を広げていく予定です。
※クラダシチャレンジについての詳細は以下のウェブサイトをご覧ください
https://kuradashi.jp/pages/kurachalle

