クラダシチャレンジとは 社会貢献型インターンシップ「クラダシチャレンジ(通称 クラチャレ)」は、人口減少・少子高齢化により人手不足に悩む地域・農家さんのもとへ、地方創生やフードロス問題に興味がある学生やクラダシスタッフを派遣するプログラム。一次産品の収穫をはじめとした農業体験により、フードロス削減を目指します。参加者は、現地での農作業や現地の方との意見交換を通して、地域の現状や課題など座学では得られないたくさんの学びを得られます。 |
概要
社会貢献型インターンシップ「クラダシチャレンジ」in 沖縄県石垣市・愛媛県宇和島市
開催期間:(石垣市)2024年6月23日~6月29日・(宇和島市)2024年8月19日~8月25日
参加人数:学生4名、クラダシ社員2名
開催の背景
~沖縄県石垣市~
2022年1月に石垣市、ロート製薬、株式会社クラダシの3者が「石垣市におけるSDGsの推進に係る食品ロス削減および特産品のPRに向けた連携協定」を締結しました。
~愛媛県宇和島市~
2023年9月、宇和島で生じるフードロスの削減や人手不足の解消・地域活性を目的に、クラダシ、宇和島市、愛媛銀行の3者にて「宇和島市におけるSDGsの推進に係る食品ロス削減及び特産品のPRに向けた連携協定」を締結する運びとなりました。
【活動内容】作業の詳細
~沖縄県石垣市~
収穫、背負っている大きなかごに農家の方が収穫したパイナップルを入れて集める作業や除草作業を行いました。パイナップルは繊細なため、かごに投げ入れるのではなく、かごの底に優しく置くようにして入れます。もし投げ入れてしまったり落としてしまったら、衝撃を受けた直後にパイナップルの表面に傷が見えなかったとしても日持ちが短くなってしまうそうです。しかし、このかごに入れる動作は普段の生活ではあまりしないものであったため、コツをつかむまでに時間がかかりました。また、石垣島特有の高温多湿な環境下で、重量感のあるパイナップルを複数個かごに入れて持ちながら足元が不安定な畑を歩くことも、体力的に辛いと感じる要因の一つでした。パイナップルを切る作業(収穫)の体験もさせていただきました。パイナップルの果実の上についている冠芽は苗として使用するため丁寧に切り落とす必要がある作業で、パイナップルの切り方は農家さんによって異なるため、他の農家さんのパイナップルを収穫をする際には技術等の信用ができる方しか切れないそうです。また、どのくらいパイナップルが熟しているのか等を確認することがマニュアル化されていない、またはマニュアル化しにくいことが要因となり、収穫の技術の伝承が難しいこともパイナップルを育てる上での難しさの1つだそうです。
他にも今回お世話になったやえやまファームさんの畜産部を見学に行かせていただいたり、工場に伺い収穫後の流れについても学ばせていただいたりと充実の1週間でした。
~愛媛県宇和島市~
養生管理(貝掃除)や真珠の取り出し体験をさせていただきました。貝掃除とはグラインダーという機械でアコヤ貝についているフジツボなどをきれいに掃除する作業です。真珠を育てるアコヤ貝は、普段は沖で養殖されていますが、貝が入った網を定期的に船に引き上げ、作業場に持ち帰り、掃除をし、また沖に戻します。宇和島に行くまで、店頭に並んだ状態でしか真珠を見たことがありませんでしたが、今回の作業を通じて、真珠が商品として出来上がるまでの過程を身をもって知ることができました。作業には、肉体的に過酷なものや、習得までに何年もかかるものもあり、真珠養殖の厳しさを知りました。また、これらの身体的難しさと技術継承の難しさの2つが真珠養殖繁栄への障害となるではないかと感じました。それと同時に、真珠の素晴らしさも改めて感じた1週間でした宇和島の真珠産業は、「宇和島産の真珠」というものを広めていきたいが、全国各地で知ってもらうには生産量が追いつかないという二律背反の状況に陥っているのではないかと思います。せっかく宇和島で生産された真珠も何百個という単位で競りにかけて売られると、消費者の手元に届くときには、それがどこで採れたものなのか、分からなくなってしまうという状況の中で、「宇和島産の真珠」というものを広めていくために私たちには何ができるのか、これから考えていきたいです。また、今回お世話になった真珠養殖業者が加工・販売まで行っているという、ヤマシタパールならではの取り組みも、さらにアピールできるような出口戦略を考えたいと思いました。
【活動内容】意見交換会
~沖縄県石垣市~
市役所の方、やえやまファームの方、ファーマーズクラブの方から、石垣市の農作物のブランド化について、現在行われている取り組みについて学ぶとともに、課題を考え、議論する機会を与えていただきました。パイナップルを全国展開したいという目標はあるが、それに足る生産量が確保できていないというお話を伺った際、農地面積や人手が限られている中で、どのように生産量を確保すればいいのか、自分には解決策があまり思い浮かびませんでした。しかし、その後のお話の中で、実際どれだけのパイナップルが販売され、消費者のもとに届いているのかというデータが一切ないということを知り、そこがカギになるのではないかと強く感じました。JAから、スーパーなどへ卸されたパイナップルの廃棄量などが分かっていないということを踏まえると、単純に生産量を増やすだけでなく、廃棄量を減らすことでも、流通量を確保できるのではないかと感じました。廃棄量を報告してもらうような仕組みづくりも求められているように感じます。
また、全国展開するにあたっては、まずは知ってもらうということが必要になります。その方法に関して、クラダシ社員の方がおっしゃっていたことが印象的でした。石垣市ややえやまファームのHP経由で購入していただくとなると、HPの存在を知っている人があまり多くはないということが懸念されます。しかし、大手通販サイトで販売を行えば、石垣市のHPを知らない人の目にも止まることとなり、結果として販売量の増加につながると考えられます。また、石垣市の広告を行うとしても、対面で行うより、通販サイトなどで実施したほうが人件費を抑えられるというメリットもあります。生産者目線で言えば自社HPよりも高い金額で購入してもらうことに心苦しさを感じるということも伺いましたが、知名度向上の手段として有効であると感じました。
~愛媛県宇和島市~
意見交換会では宇和島市長の岡原文彰さんはじめ宇和島市役所職員の方、山下パールの山下社長ご夫妻、愛媛銀行の中井さんを交え、真珠産業や宇和島市の課題特定や今後の展望について話し合いました。
話す中で浮き彫りになったのは担い手不足の問題。真珠業者も例に違いませんが、特に深刻なのは母貝業者の人手不足でした。70代が中心であり担い手がほとんどいないため、価格の高騰や仕入れ量が頭打ちになっているという課題があります。一次産業の担い手不足は全国的に課題となっていますが、少しでも多くの人に真珠養殖の世界を知ってもらうことが必要だと言えます。
参加者のほとんどの方が宇和島市出身ということでしたが、全員が口を揃えて仰っていたのは「生まれ育った宇和島を守っていきたい」ということでした。今回宇和島で得た経験を少しでも多くの人に発信していく必要性を強く感じました。
【活動内容】施策提案の詳細
2地域のクラチャレ参加で得た知見をもとに、「石垣産のお土産が少ない問題」に着目し、施策提案を行いました。石垣産パイナップルの生産量が少なく、全国に供給できない、パイナップルが有名なイメージがないという課題にアプローチするために提案したのは「石垣ポケットパイン」です。石垣空港で本来は廃棄されてしまう規格外の小さなパインを販売し、観光客に持ち帰ってもらうことで、石垣産パイナップルを広め、同時に食品ロス削減も行うことができればと考えました。
参加者の声
~沖縄県石垣市~
石垣島での一週間で学んだすべてのことが新しい発見であり、驚きの連続でした。今回のクラチャレで強く感じたのは、「食の選択」は強い意思表示になるということです。やえやまファームの農産部や畜産部の方々から、地域社会への取り組みや環境への配慮、そしてどのような熱意をもって作物や畜産物が育てられているかについてお話を伺ったことで、その食材にどれだけの労力と情熱が注がれているのかを知ることができました。これにより、食べ物をいただく際に、その価値が適正であるかどうかを考えるきっかけになりました。そして、こうした考えに基づいて食の選択をすることが、生産者や地域社会への支援につながると強く感じました。今後はそのような考えを持ち、食の選択行動をとっていきたいです。石垣島での一週間でお世話になったすべての方々に感謝するとともに、第二の故郷としてこれからも関わり続けていきたいと思います。
【大学4年 倉本さん】
~愛媛県宇和島市~
今まで触ったこともなかった本物の真珠。真珠養殖の作業は体力的に大変ですが、そこで学んだのは真珠の美しさだけでなく、その裏に隠された多くの努力と自然の力です。真珠を一粒育てるためには、貝の健康を維持するための手作業での丁寧なお世話が必要です。また、真珠が綺麗だと感じる背後には事業者様の知恵と努力、そして自然の力が関係しています。真珠の本当の価値とは、ただのアクセサリーとしての価値だけではなく、養殖の過程や、そして何より一生懸命育てた貝の命を頂いていることだと学ぶことができました。このような貴重な経験を通じて、養殖業に従事されている方々への尊敬の念が芽生えました。真珠養殖という貴重な体験させていただいたことに深く感謝して、この学びを自分の周りの人々にたくさん伝えたいです。さらに、真珠が人々に届けられるまでの過程を知ることで、消費者としての責任も感じるようになりました。ただ「美しいものを身につける」という行為にとどまらず、その背後にある価値や物語に目を向けることの大切さを、今後も意識していきたいです。
【大学3年 安藤さん】
活動レポート詳細
この記事でご紹介したクラチャレをもっと詳しく知りたい方はこちら!より詳細な活動レポートをご覧いただけます。
クラチャレ&クラチャレふるさとだより
Kuradashiでは、クラチャレをきっかけとする商品「クラチャレふるさとだより」を販売しています。日本全国の地域経済の活性化や特産品の魅力発信を実現したい。「クラチャレふるさとだより」は、そんな思いで生まれた商品です。
商品の収穫・梱包をおこなうのは、社会貢献型インターンシップ「クラダシチャレンジ」の参加学生たち。 地方創生を志し、強い思いでクラダシチャレンジに参加するメンバーです。
「クラチャレふるさとだより」の購入によるクラダシ基金への支援が、また次のクラダシチャレンジにつながります。